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【業界研究】印刷業界が半導体事業?業界の最新動向を徹底解説!

印刷業界といえば、紙を媒体とした事業が想像されますが、それだけではありません。意外と知られていない、印刷業界の基本から今後の動向までを解説します。業界研究や面接対策に役立ててくださいね。

印刷会社のビジネスモデルを理解しよう

人気企業である大日本印刷や凸版印刷がリードする印刷業界。具体的にどんな事業をしているのでしょうか。 今から業界研究を始める方は、イメージしづらい方も多いのでは?

印刷業界には数万社が存在しますが、そのほとんどが出版印刷・商業印刷を行なっています。

最初は印刷業界全体を理解するために、2つの事業を解説します。

小説や雑誌を届ける、出版印刷

出版印刷には、出版社、印刷会社、流通会社が関わっています。 これらの関連している会社が、印刷出版という事業を進めます。

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出版印刷の印刷ステップは大きく4つのステップがあります。 1.出版社  企画・原本の作成 2.印刷会社 企画提案 3.印刷会社 印刷 4.流通会社 配送 5.小売業者 販売

事例を挙げて、考えていきましょう。 step1 出版社 「企画・原本の作成」 A社が「受かる!面接!」という本を制作しました。全国の就活生に届けるために、印刷しなくてはなりません。そこで、登場するのが印刷会社Bの営業社員です。

step2 印刷会社 「企画提案」 営業社員は「受かる!面接」がより多く売れるように、適切なデザインや紙の種類を提案します。

step3 印刷会社 「印刷」 そこで、出版社と合意が取れると、印刷を行います。 印刷の段階では、機械のメンテナンスやオペレーションを行います。

step4 流通会社 「配送」 印刷が終了すると、印刷物を流通業者に依頼をし配送するという流れになります。

step5 小売業者 「販売」 配送されると、書店などの小売業者が販売を行います。

続いて、商業印刷です。

チラシやビラでマーケティング、商業印刷

印刷は、本や雑誌だけではありません。みなさんが普段目にするチラシやパンフレットなどを通して、企業が広告をするサポートも行なっています。

商業印刷は、 顧客(チラシ・パンフ・社内広報などの企画)→印刷会社(企画→印刷→サポート)→消費者 という順番で、作成されていきます。

商業印刷の印刷ステップも大きく3つのステップになります

1.顧客 依頼 2.印刷会社 企画提案 3.印刷会社 印刷

step1 顧客 依頼 今度は、A社が「受かる!面接!」をより多くの就活生に認知してもらいたいと考えます。

step2 印刷会社 企画 例えばチラシの場合、A社が考えている、「どのような人に」「どのようなイメージを」届けたいのかという考えを元に、デザインや紙の種類を提案します。

step3 印刷会社 印刷 顧客との合意が取れると印刷に移ります。ここも出版印刷と同様、機械メンテナンスやオペレーションを行います。

step4 印刷会社 サポート 最後に配送代行を行なったり、チラシを見たより多くの消費者が「受かる!面接!」を購入するためのサポートなどを行います。

このように、顧客が考える理想を紙などの印刷物といった形にするのが、印刷会社の基本的な事業になります。

後述しますが、印刷業界には上記の事業だけでなく、その他の分野に展開している企業も存在します。

特に、凸版印刷・大日本印刷の大手2社は、印刷だけではなく半導体や食品包装などの事業も展開しています。

印刷業界の基本的なビジネスモデルが理解できたところで、続いて業界の市場規模について解説します。

5兆円!?印刷業界の市場規模を解説!

平成29年工業統計表によると、印刷業界の市場規模は約5.1兆円で、労働人口は約300,000人ほどです。同程度の市場規模の業界は他に、人材派遣・証券事業・放送事業などがあります。

市場規模自体は業界動向サーチの調べによると、50位前後(123業界中)に位置しており、小さくはありません。 しかし、2002年からの推移を見てみると、年々数%ずつの減少がみられ、2002年と2016年では2兆円の差が生まれています。 市場規模縮小の大きな要因はIT化による紙のニーズの減少にあると考えられます。 例えば広告。今まではチラシやパンフレットなどを紙で印刷し、配布しておりましたが、ダイレクトメールやsnsなどインターネットを使用した広告が主流となっています。

このままでは、印刷業界の多くの会社は衰退していくことが考えられます。

そのため、慎重に企業を選ばなければ、自分の思い描くキャリアを歩めない可能性もあります。

しかし、印刷業界全体が衰退していく中で、大きな売り上げを維持している会社が存在します。 企業研究を綿密に行うかどうかで、キャリア選択の納得感が大きく変わります。

企業ごとの理解を深めるために、まずは売上から見て行きましょう。

※三社のIR資料を参考に筆者作成

凸版印刷と大日本印刷が約60%を占めており、残り40%を約3万社が分け合っている状況です。

業界の市場規模は年々減少傾向にありますが、大手二社の売上高は他業界と比較しても高水準を示しています。

業界自体が衰退していく中、なぜTOP2社は安定した業績を残せているのでしょうか。 業界全体の市場規模、企業ごとの売り上げがわかったので、次はTOP2社の安定した業績の謎を紐解いていきましょう。

TOP2企業を徹底解剖

上記のグラフにもあるように、TOP2社は群を抜く売上です。なぜそのような実績をあげられるのか、2社の違いは何かを解説していきます。

新しい技術を導入、凸版印刷

凸版印刷は1900年に創業され、日本の印刷業界を牽引し続けてきた歴史の長い企業です。 デパートなどでのポスターの印刷に始まり、コンピューターの組盤の製造などを行なってきました。 また、低コスト大量生産の技術をいち早く導入、海外の印刷技術を取り入れるなど、印刷業界に多くの影響を与えてきました。

売上構成は情報コミュニケーション分野が57%、生活・産業事業分野29.2%、エレクトロニクス事業分野13.8%となっています。出版印刷やマーケティングなどの部門である、情報コミュニケーション分野が半分以上を占めている状況です。

各分野の解説をします。 情報コミュニケーション分野では、独自の機密情報取扱ノウハウを生かしセキュリティサービスを拡大しています。クレジットカードなどのICカード事業なども行なっています。ナナコカードやスクラップ宝くじなど、皆さんに便利さや楽しみを提供している商品も凸版印刷が関わっています。 生活・産業は、建装材関連で「Smart NANO」を開発。スペインの建装材メーカーを買収し海外進出しています。生活に関わる分野で新商品を開発し、海外にも進出しております。 エレクトロニクスは、半導体関連がスマートフォンの大容量化により需要が高まり、業績アップしております。他にも、テレビやパソコンに使われるディスプレイなども作成しております。

今後は、これまでの事業で培ってきた印刷技術を駆使し、広告や教育、電子出版や空間デザインなどの分野に発展していくようです。

生活・産業、エレクトロニクス分野で世界トップに!大日本印刷

大日本印刷は1876年に創業され、こちらも日本の印刷業界を牽引し続けてきた企業です。 紙幣の印刷を行なっていたり、活字を自家鋳造するなど、凸版印刷より伝統的な印象です。

売上構成は、情報コミュニケーション分野が54%、生活・産業事業分野が29%、エレクトロニクス分野が13%、清涼飲料水分野が4%となっています。

こちらも、各分野の解説をします。 情報コミュニケーション分野では、電子書籍サービス「honto」を展開しております。また、大手書店の丸善やジュンク堂を傘下に、大手古本店のブックオフに出資することで、デジタルとアナログを掛け合わせたビジネスを展開しています。 生活・産業分野は、リチウムイオン電池用バッテリーパウチが世界でトップに位置しています。 また、自動車軽量化に最適なガラスに利用されるフィルムなど、今後のあらゆる産業の発展に欠かせない商品を製造しています。 エレクトロニクス分野に関しても、ディスプレイ用光学フィルムが世界でトップに位置しています。 加えて、独自のナノインプリント技術は、微細加工が必要とされる自動化技術やIOTに貢献しています。

売上の構成比は凸版印刷と類似したものになっていますが、清涼飲料水という分野や世界への進出という点は大日本印刷の特徴と言えます。 また、研究開発費が凸版印刷より100億円多い332億円となっており、新しい分野へ進出する意欲が見られます。

上記から、海外勤務や新規事業に挑戦できる環境が整っていると考えられます。 最先端技術を持ち合わせ、今後の社会の技術発展に貢献していく事業に関わりながら働くことができるのではないでしょうか。

ここまでで、大手2社についてご説明しました。続いて今後の印刷業界の動向について解説します。

印刷業界各社、成長のカギは他分野への進出

上述したように、印刷業界は市場規模が縮小することが予想されます。その中で生き残っていくために、TOP2社はどのような動きをするのでしょうか。

IR情報を読み解いたところ、今後の動きに大きな違いは見られませんでした。 しかし、両社ともに印刷という分野のみでなく、他事業に進出していることがわかります。この事実や、3位以下の企業の売り上げから判断すると、不況である出版業界で明暗を分けているのは、「印刷分野以外に挑戦しているかどうか」と言えるでしょう。

核となる印刷事業以外に挑戦することは簡単ではありません。時間や資金など莫大なコストがかかることが予想されます。また、コストだけでなく新しい分野を開拓する人材も必要となります。

そのため、TOP2社が生き残っている要因は、 「あらゆる事業に挑戦できる大きな資金を持っていること」、 「新事業に挑戦するための優秀な人材がいること」だと考えられます。

実際に両社の採用メッセージは以下のようになっています。

凸版印刷「求めている人材は、まさにビジネスにイノベーションをもたらすことのできる人財です。 まだ誰も知らない、「新しい価値」をつくり出してほしい。」 ※凸版印刷HPより 大日本印刷「高い志を持ってビジョンを描き、「未来のあたりまえ」を体現できる人」 ※大日本印刷より

印刷業界で活躍して行くためには、新しい価値を作っていく、新しい分野へ挑戦できることが必要だと予想されます。

企業理解を深めよう

ここまでで、印刷業界の基本から求める人材像までご説明してきました。いかがでしたでしょうか? 「働くイメージがまだまだできない」「選考対策のためにもっと情報が知りたい」という方も多いのではないでしょうか?

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