人材業界への志望を考えている就活生へ
「人と関わることが好きである。」という学生や、「就職・転職・人事部門など人にまつわる仕事をしてみたい。」という学生にとって、人材業界への就職はかなり可能性の高い選択肢かと思います。
そんな人材業界への就職を考える際や業界研究を行う際に、情報の1つとして取り入れておくべき部分の1つは「年収」ではないでしょうか。
仕事選びを年収だけで判断してはいけない、ということはよく言われていますが、かと言って年収を全く調べずに就活をしてしまい、後から知って驚く・不満に思うということであれば、事前に情報を調査をしておいた方が良いはずです。
そこで今回は人材業界の年収について、企業別や職種別といういくつかの観点を用いながら、そのレンジ・平均をそれぞれご紹介させていただこうと思います。
自身のキャリアプランや人生設計に沿って、それぞれどのくらいの年収を獲得できるのか、また「それが自分にとって、どのような意味をもたらすのか」を考えながら、以下の内容を読んでいってみてください。
人材業界の年収は高い?低い?
まず、人材業界全体として、平均の年収レンジをご紹介いたします。
(参照:業界動向SEARCH.COM)
このサイトのデータによりますと、人材業界の平均年収は509万ということです。
平均年収の額だけで見ると、1,000万円近くになる「総合商社業界」や「コンサルティング業界」などに比べてかなり低く、メーカー・金融などの業界と比べても比較的低い水準にあるということが言えるでしょう。
しかし、人材業界には多くの若手・新卒社員がいる他、商社やコンサルティング業界などと比べると、マネジメント層の年収レンジが大きく違ったりすることもあります。
つまり、平均年収という数字は1つの参考として、企業や職種・年齢別に大まかな年収レンジを見ていかないと、はっきりとした実になる情報とは言えないのです。
そこで以下では、それぞれの観点別に人材業界に関するいくつかの年収例をご紹介させていただきます。
人材業界の大手企業での年収の違いは?
人材業界の年収について、まずは企業ごとの違いを見ていきます。
リクルートやパーソルキャリアなど、比較的大手と言われる日系企業から、IT分野とのシナジーで勝負しているベンチャー企業など多くの企業がある人材業界において、年収という観点で上にくる企業はどこなのでしょうか。
今回は、人材業界の中で売上高ランキングTOP3である、リクルートホールディングス・パーソルホールディングス・パソナグループと、ベンチャーのHR企業として有名なエス・エム・エスをご紹介します。
企業の売上高・利益率・ビジネスモデルに非常に大きく左右されてしまう、社員の年収を企業ごとの特徴を見ながら理解出来ると良いですね!
・リクルートホールディングス 日本の人材業界と聞いてまず真っ先に思い浮かべるのはやはり「リクルート」ではないでしょうか。
新卒・転職・アルバイトから、人材業界以外の分野まで手広く大規模で事業を行なっているリクルートは、日本の人材業界への就職を考える際にまず選択肢としてあがる企業かと思います。
そんなリクルートの平均年収は、先ほどの業界動向SEARCH.COMによりますと、958万円という数字だそうです。
商社やコンサルティング、金融などの平均年収にも劣らない、非常に高い水準であることが分かりますね。
この年収額の裏にあるのは、リクルートキャリアの圧倒的な市場競争力と、それに基づく高い売上高・利益率があります。 (売上高は2兆円超えで、利益率は10%程度)
新卒領域ではリクナビ、転職領域ではリクナビNEXTやリクナビエージェント、アルバイト領域ではIndeedなど、ほぼほぼ日本で最大手となるサービスを抱えているリクルートは、多くの企業、そして個人にとって「使わざるを得ない」ような人気を誇っていますし、だからこそこの営業成績をキープできるのですね。
また、ビジネスモデルとしても、たくさんの企業と個人を繋げ、そのマッチングによって収益を生み出す「リボンモデル」というモデルを多用しており、この仕組みの妙が高い利益率に繋がっているのでしょう。
したがって、この仕組みが人材業界で打破されない限りは、人材業界の企業内では高い年収と優位性がキープされるかもしれませんね。
・パーソルキャリア 転職のdudaなど大規模な人材サービスを手がけるパーソルキャリアは、国内の人材業界企業としては2番手にあげられるような企業となっています。
その平均年収はいくら程度なのか?
そのデータを見てみると、656万円という数字でした。
リクルートHDと比べると、少し低い印象を持ってしまうかもしれませんね。
数字の理由としては、リクルートよりも利益率・営業利益が大きくなく、社員に分配するキャッシュがそこまで潤沢ではないという理由が挙げられます。
バイト求人anについては最近サービス終了が決まりましたし、その他dudaなどで売り上げを上げているとは言っても、なかなか業界の覇権を握れずに営業費用がかさむ、またどうしても単価の低い派遣領域などに依存するといったマイナス要素が年収にも影響しているのでしょう。
また、リクルートHDと比べて若い組織体制も低い年収額に寄与していることは考えられますね。
もともとインテリジェンスという1989年に設立されたベンチャー企業が元となっているパーソルキャリアですので、これからグローバルやテクノロジーなど新しい分野とのシナジーによって利益を上げて、社員の年収も上がっていくことが期待されます。
・パソナグループ 人材派遣や海外人材サービス、更には福利厚生のサービスまで幅広く展開を行い、人材業界の中では3位という地位を築いているパソナグループ。
平均年収は、585万円というデータが公表されていました。
パソナがリクルート、パーソルキャリアなどと比べて低いデータを記録しているのは、事業の中心が「派遣領域」にあるということが影響しているかもしれません。
新卒領域や転職領域に比べて、1人あたりの成約単価が低い派遣・アルバイト領域は、どうしても効率的な利益回収が難しい他、リクルートのようにプラットフォームを作ってマッチングさせるのではなく、一人一人に対して人力を多く使ってマッチングしていることも、利益率の低さに影響しているでしょう。 (平成30年5月期の利益率はおよそ2%強)
これからは、グローバルソーシング事業として海外人材サービスなどを手がけていくパソナグループですので、そこからのキャッシュ創造や新しい収益源の確保があると、社員の年収にも好影響を与えるかもしれません。
・エス・エム・エス 2003年に創業されたエス・エム・エスは、介護や医療などに強い人材業界の企業として近年注目されているHRベンチャー企業であり、日本だけでなく東南アジアなどの海外にも積極的に進出している注目企業の1つです。
その平均年収は、635万円と人材業界の中ではかなり高く、ベンチャー企業特有の成果主義や実力主義の中でどんどんキャリアアップしていく社員さんも多いということが分かります。
また高い年収の背景には、大手人材企業に対抗するための、領域特化、つまり医療や介護に特化したビジネス戦略があることも忘れてはいけません。
ベンチャーならではの大手企業との差別化を図ることで、少ない人員の中でもしっかりとした収益を生み出して、社員の年収・給与に還元しているということが分かるデータと言えますね。
以上の企業ごとの平均年収紹介で、それぞれの企業ごとに社内の特徴や文化があり、それに合わせて平均年収の数字も変わってくことが分かったかと思います。
企業ごとの平均年収はもちろん参考になりますが、
「自分がやりたいと思っていることが出来るか。」 「自身の人生設計・キャリアプランに沿ったキャリアが積めるか。」 「そもそも企業の文化・雰囲気が合っているか。」
などの観点と合わせて年収というデータを見なければ、人材業界の研究としても少し物足りないということが言えるのではないでしょうか。
次の章では、そんな皆様の業界研究を更に進めるために、人材業界で考えられる職種やそれに合わせた年収レンジの紹介をしていきたいと思います。
人材業界の内定者が書いたエントリーシート・選考体験記はこちら リクルートホールディングス_ ES(2020卒) パーソルキャリア_ ES(2020卒) エス・エム・エス_ES(2020卒) スタッフサービス・ホールディングス_ES(2020卒_本選考)
人材業界に就職する際に考えられる職種と年収
一口に人材業界と言っても、そこには多くの職種があり、その分の多種多様な仕事が数多く存在します。
ここからは、その職種別に考えられる平均年収レンジをご紹介していきます。
・キャリアコンサルタント 一般に人材業界と聞いてイメージされるものが、このキャリアコンサルタントではないでしょうか。
仕事内容としては、新卒・転職・派遣アルバイト市場それぞれにおいて、仕事を探している人に対してアドバイスや面接する企業情報などを授け、当事者の仕事決定までをサポートするということがメインの業務となっています。
そんなキャリアコンサルタントの年収レンジとしては、他の職種などと比べるとそこまで高くはなく、会社の口コミが多く載っている転職会議の情報によると、平均年収は433万円ということでした。
(参照:転職会議→https://jobtalk.jp/salary_matome/jobs/11)
どうしてもキャリアコンサルタントというものは、一人の求職者に対して一人の社員がアサインされるため、勤務時間の中で大きな利益を一人でもたらすということが難しく、
①非常に成約率の高いキャリアコンサルタント ②エグゼクティブ(1件あたりの成約料が高い人材)メインのキャリアコンサルタント
の2パターンでないと、年収を指数関数的に上げていけないのですね。
また、比較的年次の浅い社員さんがアサインされて、経験を積んだキャリアコンサルタントは更に上流のマネジメントなどに移る傾向も、キャリアコンサルタント自体の平均年収を低く抑えている要因かもしれません。
・法人営業 人材業界においては、仕事を探す人たちだけでなく、その就職先となる企業の受け皿を確保することも重要な役目となります。
そしてそれを担うのが、人材業界における法人営業を行う社員たちです。
平均年収レンジとしては、大方他業界と同じ450万円という数字が出ています。
この数字の理由としては、比較的営業を行うのが若い層であることがあげられますが、法人営業のスペシャリストとして年収1,000万円を超える方もざらにいらっしゃいます。
これには、1つの企業からの情報掲載やパートナー契約から多くのビジネスや収益が生まれ、キャリアコンサルタントと比べると1件あたりの成約料が高いという法人営業の特徴が関係してくるでしょう。
一方で、営業成績を上げられなかったり、なかなか成約を取れなかったりするリスクはキャリアコンサルタントと比べても高く、年収の振れ幅が大きい職種だと言えるかもしれませんね。
・Webマーケティング・エンジニア 紙媒体での求人が減少してWeb経由での応募や訴求が増えていく中で、Webマーケティングやコンテンツ設計、更にはエンジニアなどの需要も、人材業界の中で大きくなってきています。
平均年収レンジとしては、Webマーケ・エンジニアの両方で400~500万円という数字がありますが、この職種に関してはより専門性を持てば持つほど年収は上がり、1,000万円を超えて更に年収が上がっていく方も多々いるでしょう。
こうした年収レンジの背景にあるのは、キャリアコンサルタント・法人営業と異なり、売上高や利益に貢献するような施策を成功させれば、大多数の人の成約に貢献できるという職種の特徴です。
つまり、キャリアコンサルタントや営業の方は、どれだけ頑張っても1つの商談で1つの成約しか取れませんが、本当にいいマーケティング施策やWebサイトを制作すれば、そこから何百件もの成約が生まれるのです。
自身の専門性を磨き、売り上げに貢献することを続ければ、他の職種よりも大きな年収の増額が見込めるかもしれませんね。
・経営企画 どの業界においても、事業を作り経営を考えるポジションというものは必要不可欠であり、それは人材業界においても当てはまります。
「どの程度の規模の事業・経営を見るのか」 「どれだけ責任・決裁権があるのか」
によって年収レンジは大きく変わりますが、先ほどの転職会議による口コミを見ると、568万円というデータが出てきました。 (参照:転職会議→https://jobtalk.jp/salary_matome/jobs/33)
キャリアコンサルタントや法人営業と比べると、平均して年収が高く、より会社に対して影響力があるという側面が見えてきますね。
人材業界の企業の中では、キャリアコンサルタントや法人営業からキャリアをスタートさせて、適性や成果を見ながら企画職へ引き抜いていくという道もオーソドックスではあるため、将来的に経営・事業企画が行いたいという方は、企業のキャリアプラン・キャリアパスを見て、自分とのマッチ度を測ってみても良いかもしれません。
また、HRベンチャー企業などでは、新卒1年目から経営企画を任せる企業も多くあり、年収帯としては400~500万円前後かと思いますが、責任や裁量を持ってビジネスを推進できることに魅力を感じる方は、そういったキャリアを考えてみてください。
人材業界の年収まとめ
以上が、人材業界における企業ごと、そして職種ごとの平均年収紹介となります。
・業界全体としては、そこまで平均的に高いわけではないこと
・リクルートやパーソルなど企業ごとに年収のばらつきがあり、それは企業の強みや売上高・利益率に左右されるということ
・職種としては、それぞれのビジネスモデル・売上への貢献率で年収が決まるということ
・キャリアコンサルタントや法人営業から経営企画に回ることで、年収レンジを上げるというキャリアパスがあること
などが分かっていただけたでしょうか。
文中でも触れましたが、平均年収というものは企業・業界研究の1つの情報ではあるものの、決して「全て」ではありません。
ぜひ、ご自身のやりたいことや企業の将来性・雰囲気・文化などと合わせて更なる業界・企業研究を進めて、納得のいく就活をしていってくださいね。
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