鉄道会社、ちゃんと理解してますか?
インフラの中でも特に人気の高い鉄道会社。
経営が安定している大企業が多いだけでなく、日本社会の基盤である「交通インフラ」事業を手がける鉄道会社。
毎年多くの就活生から絶大な人気を集めています。
そのため、JR東海・東日本・西日本を始めとした鉄道会社の採用倍率は非常に高く、深い業界理解や、丁寧に準備をした志望動機がなければ選考を突破するのはかなり難しいと考えられます。
鉄道会社を志望する就活生の皆さんは心して選考対策を行う必要が有ります。
そして、人気のある各鉄道会社の選考では「なぜ他社ではなく自社なのか?」といった志望動機をしっかりと面接時に語れることが重要視されています。
志望している就活生が多く、企業側も就活生を差別化することが難しくなっています。
そこで、自社を志望している理由を伝えられると、企業に自分の魅力を伝えることが可能です。
他者との比較や、説得力のある志望動機を語るためには、会社のことを深く理解している必要があります。
つまり鉄道会社の選考を突破する上では
・鉄道会社のビジネスモデルへの理解 ・各社の最新動向や特徴
この2点は必ず抑えているべきポイントと言えます。
そこで今回の記事では、就職先ランキングでも上位にランクインすることが多い3社(JR東海・JR東日本・JR西日本)の共通点や違い、また鉄道会社の事業内容や仕事内容を紹介したいと思います。
就活で知っておきたい鉄道会社の事業内容
毎年難関大学の就活生に人気の高い鉄道会社。
皆さんは、どういう事業を営んでいるか理解できているでしょうか?
もちろん、在来線や新幹線を運営していることは言わずもがな。
しかし、鉄道会社が多角的な事業展開をしていることを知っている就活生は少ないでしょう。
「電車が好き」という理由で鉄道会社を志す人は多いですが、全ての人が鉄道事業に関わるとは限りません。
鉄道の安全な運行を支えたいと入社を決めたのに、鉄道とは関わりの薄い事業に配属されることになれば目も当てられません。
この機会に、実は幅広い鉄道会社の事業内容と仕事内容を知りましょう。
まずは鉄道会社の事業内容について解説していきます。
鉄道会社の事業内容は「鉄道事業」「不動産開発」「金融・決済事業」「旅行代理店」の4つに大別されます。
これら1つずつ、簡単に解説を加えていきます。
鉄道会社の事業①「鉄道事業」
多くの人が鉄道会社と聞いてイメージするのはこの事業ではないでしょうか。
在来線・新幹線・特急等の設備・運行管理等を初めとして、鉄道の魅力を届けるための広報・PR・招致などの営業活動、また鉄道を利用する人々の動向を分析し、後述の様々な事業の担当と連携して様々なサービス企画や開発を検討も行なっています。
鉄道会社の事業②「不動産開発事業」
鉄道会社の「不動産開発」とは端的に言うと、駅構内の施設の開発です。
駅構内にショピングモールや店舗を併設すると、毎日人が利用することで施設の持ち主である鉄道会社に安定的な収益が生まれるのです。
不動産会社が行う「不動産開発」との最も大きな違いは、各鉄道会社沿線にあるマンションやホテル・商業施設の開発に力を入れている点です。
鉄道会社が不動産事業に取り組む最も大きな理由としては、沿線付近の住みやすさをより高めることで、メイン事業の鉄道の利用者を増やすことでしょう。
「阪急百貨店」「東急REIホテル」など、鉄道会社の名前を冠した商業施設が多い理由は、このように鉄道各社が不動産開発に力を入れているからですね。
以上のように、鉄道会社は鉄道事業+不動産開発事業の2つを営むことを通して鉄道沿線周りの住環境を整える、都市開発の役割を果たしています。
不動産業界などに興味を持っていたり、都市開発で人々の住環境を向上させていく仕事に興味がある人は、鉄道会社を検討してみても良いかもしれません。
鉄道会社の事業③「金融・決済事業」
事業の多角化として参入する企業がIT企業を中心に多いことは知られていますが、鉄道会社も取り組んでいます。
各鉄道会社はクレジットカードを発行し、自社開発の商業施設と連携することで手数料収入を得たり、交通系ICカードを発行し、利用客の利便性向上などを図っています。
一番有名なJR東日本の「Suica」を始めとして、「Pasmo」「PiTaPa」など、様々な会社が交通系ICを発行しています。
これらにより、鉄道サービスの利便性を高めるだけでなく、安定的な収益を稼いでいるのです。
鉄道会社の事業④「旅行代理店事業」
旅行代理店事業を各社が行なう理由は、鉄道会社の資産である新幹線・特急・ホテルをうまく活用できるため。
この強みを活かして、鉄道会社各社が参入を果たしています。
「JR東海ツアーズ」「びゅうトラベルサービス」「日本旅行」はそれぞれJR東海・東日本・西日本の連結子会社です。
特にJR西日本は日本交通との関係を生かした訪日外国人向けのツアーを多岐に渡り企画していて、「西日本エリアでの訪日外国人専用プランの展開」「関西空港や大阪駅にインバウンド(外国人旅行客)向けカウンターの設置」など、インバウンド需要への対応を加速させています。
このように、鉄道会社の事業といっても、非常に多岐に渡ることが理解できたと思います。
鉄道会社の主な職種と仕事内容
事務職(総合職)
「事務職(総合職)」の仕事内容は多岐に渡っています。
具体的な業務としては、例えばJR東日本では商業施設である「アトレ」や「ルミネ」などの出店戦略や、営業利益の改善新たな旅客需要を創出すること、利便性の高い旅客ダイヤの設計やマネジメント、「Suica」のような交通系ICの利用拡大のための営業、コーポレート部門である経営企画・経理・法務・人事・総務・広報なども含まれます。
このような鉄道の現場ではなく、後方から企画・マネジメントという形で事業に関わっていくのが総合職の仕事です。
また多岐に渡る業務をするに当たって、各鉄道会社では研修制度が整っていることも特徴の一つ。
例えば、JR東海では入社後、新入社員全員を対象とした2カ月ほどの研修の後、鉄道の現場での研修を受けます。
実際に新幹線や在来線の駅係員、車掌として勤務を経験し、実際の現場を知るそうです。
「お客様の安全」という鉄道業の根幹をしっかりと知ることで、サービスの提供における重要な観点を深く学べるのです。
鉄道というインフラを通して、都市のような大きい範囲を開発し発展させる仕事したいと思っている人や、鉄道に関することであれば何でもトライしたい人に向いていると言えるでしょう。
一方、鉄道会社に関する様々な事業のいずれかに配属される可能性があるため、「絶対にマーケティングがしたい」「不動産事業に必ず関わりたい」と決めていても、それらの部署に配属されないこともあります。
入社前に自分はどのような仕事ができるのか、企業の方とすり合わせをしておきましょう。
技術職
技術職の仕事は
「安全に鉄道を走行させること」
「新たな付加価値を生み出し、より便利に鉄道を走行させること」
の2つが主になっています。
列車制御システム・エネルギー・線路のメンテナンス・ITシステムの導入など、インフラに関わる部分を多く担っています。
鉄道会社の事業の根幹である「安全性」を支える職種であり、日本の交通インフラを作っていく上で最も重要な職種です。
強い責任感を持っている人、またインフラ・安全の研究に携わっている理系の大学院生などに向いていると言えるでしょう。
現業職 鉄道の安全で適切な走行に関する現場の部分を担当する仕事です。
駅員、車掌、運転士などの運輸部分に関わる職種と、車両や線路、電気信号燈の設備保守を担当する職種に分かれています。
皆さんの普段の最寄りの駅でアナウンスや質問・トラブルに対応されていたり、車掌・運転士として電車の運行に関わっている方は現業職です。
実際にお客様の安全な輸送を支援したい人に向いていると言えるでしょう。
基本的に採用フローは総合職(事務職)とは分かれており、現業職を志望する人は別でエントリーすることになっています。
例えば2019年度のJR東日本新卒採用では、総合職(事務職)をポテンシャル採用、現業職をプロフェッショナル採用という形でエントリーが分かれていました。
鉄道会社の選考対策をしたい方はこちら JR東海(東海旅客鉄道)_ES (2020卒_本選考) JR東日本(東日本旅客鉄道)_ES (2020卒_本選考) JR西日本(西日本旅客鉄道)_ES (2020卒_本選考) 九州旅客鉄道(JR九州)_ES (2020卒_本選考)
鉄道会社就職人気3社を徹底比較
日本の鉄道会社はJR・大手私鉄・地下鉄だけで20社以上あり、地方の鉄道会社まで含めると100社以上あります。
これらの会社の違いを理解し、説得力のある志望動機を語れるようにしましょう。
今回はこのような鉄道会社の中でも特に人気のあるJR東海・東日本・西日本の特徴を解説した上で、各社の比較を行なっていきます。
まずは、売上高・営業利益という2つの観点でJR東海・JR東日本・JR西日本の3社を比較したいと思います。
売上高や営業利益を知ることは、その会社のビジネスの肝を知る最初のステップです。
どの事業がどのぐらい収益を上げていて、成長性はどうなのかを知ることが企業理解にも繋がります。
実際に面接でも、「なぜうちの会社なのか?」などの質問がなされるようです。
その際にはもちろん、他社との差別化要因について語れる必要があります。
そしてその上で「御社を志望する理由」を伝える必要があります。
では、3社の違いを細かくお伝えしていきます。
売上高で鉄道3社を比較
JR東海・JR東日本・JR西日本の3社を売上高で比較してみましょう。
各社の売上高は以下の通りです。
JR東日本が約2兆5000億円と、圧倒的な売り上げで首位に立っています。
最も人口の多い首都圏の交通インフラ全体をカバーしており、新幹線では5つの路線、在来線では全国最多の67の路線を運営していることから、鉄道事業で全体の85%以上の収益をあげています
鉄道会社全体の中でも最大の売上高を誇り、その背景として日本最大の駅数並びに地域を抑えていることから、顧客に与える影響力が幅広い企業で働きたい人に向いていると言えるでしょう。
3年間の推移で見てみると、どの企業も大きな変動はなく、非常に安定していることがわかります。
「成長企業」とは言い難いですが、安定的な経営により、社会を支えていることがわかります。
営業利益で鉄道3社を比較
次にJR東海・JR東日本・JR西日本の3社を営業利益で比較してみましょう。
各社の売上高は以下の通りです。
売上高では約1兆円の差をつけてJR東日本が上回っていましたが、営業利益ではJR東海が大きく上回っています。
営業利益率がJR東日本が約16.3%、JR西日本が約7.3%であるのに対して、JR東海はなんと約36.3%の営業利益を確保しています。
この理由としては、JR東海では「客単価」と「稼働率」が非常に高い東海道新幹線に注力しているため、JR東日本・西日本より利益率が高くなっています。
また、JR東日本とJR西日本の営業利益率を比較すると東日本の方がかなり高くなっています。
その要因はJR東日本が高収益かつ利用者の多い首都圏路線(山手線など)を持っていることです。
JR西日本も利益率は低いですが、新幹線投資の負担が少ないことから、JR東海・JR東日本に比べて借金の少ない経営ができています。
そのため、収益構造の基盤がしっかりしているため安定した経営を行なうイメージが強い鉄道会社の中でも、設備投資などによる負債が少ないためリスクの少ない会社であり、安定した基盤の会社で働きたい人に向いていると言えるでしょう。
鉄道3社の注力事業や今後の展望について
面接では各社が取り組んでいるプロジェクトについてどう関心があるか問われることもあります。
その際に自信を持って答えられるよう知識を付けておきましょう。
また、今後の展望について理解することで、自分がどんな仕事をする可能性があるのかを把握し、働くイメージをつけておきましょう。
JR東海:「リニアモーターカー」と「鉄道技術の海外輸出」
前述のようにJR東海は東海道新幹線で利益の大半を稼いでいますが、その新幹線事業に置いて新たな取り組みを行なっています。
それは時速500kmとも言われる最新鋭の新幹線「リニアモーターカー」です。
もしこれが開通すれば、東京大阪間が最短1時間7分で結ばれると言われていて、周辺知識や日本全体に大きな経済効果をもたらすと考えられています。
また、JR東海は世界最高峰の新幹線の技術力を海外に輸出する試みも行なっています。
アメリカのワシントンD.C~ニューヨーク・ダラス〜ヒューストンなど、世界の中心となる地域にもJR東海が高速鉄道システムを提案するなど、世界中で技術輸出を展開しています。
このように日本の成長を支える新技術と、日本の最先端技術を世界に届ける仕事の両方が存在するのがJR東海の魅力と言えます。
JR東日本:「駅ナカ開発」と「Suica」を軸にした非運輸事業の成長
前述のように、JR東日本は首都圏の在来線運営を中心とした鉄道事業で安定的な収益を得ています。
日本の人口が減少しても首都圏では都市機能が成熟しており、安定した需要が見込まれるため、流通・不動産で次の収益の柱を作る動きが見られます。
2020年には渋谷・そしてその先には品川の再開発案件が控えており、「駅ナカ開発」を更に進めていることが分かります。
JR東日本は品川再開発プロジェクトを国際交流拠点「グローバルゲートウェイ品川」と位置付け、世界中から先進的な企業と人材が集まり、さまざまな交流から新たなビジネス・文化が生まれる街づくりを目指しています。
2018年に発表され新駅名が「高輪ゲートウェイ」であることで話題の、新駅周辺は駅舎と街が一体となった開発を推進しています。
2024年ごろの一部開業では、賑やかなストリート型の街づくりを展開しています。
また、交通系ICカードである「Suica」の普及にも力を入れており、これらの購買記録から得られるビッグデータを生かして更なるマーケティング活動に力を入れていくようです。
JR東日本「変革2027」によると、2017年度には運輸:非運輸の売上比率が7:3であるのを、非運輸領域の売上拡大により2027年度には6:4程度の比率にしていくことを計画しているようです。
このように、鉄道事業だけでなく生活サービス事業にも関わりたい人に向いている企業と言えるでしょう。
JR西日本:「地方活性化」と「大阪を中心としたインバウンド需要の創出」
JR西日本はJR東海・JR東日本には収益面では劣っていますが、売上高は約1兆5000億円と西日本最大の鉄道グループとなっています。
2005年の福知山線脱線事故の教訓から「鉄道事業の安全性の向上」を中期経営計画のトップに据えるほど、安全に力を入れています。
また瀬戸内や山陰地方の地方活性化にも力を入れており、各地のプロモーションやブランディングにも取り組んでいます。
中期経営計画では、需要高まる訪日外国人向けのインフラ整備に取り組むことを発表しており、「関空特急はるか」の増発や訪日外国人向けのWi-fiサービスの導入にも取り組んでいます。
このように、インバウンドや地方創生に関わりたい人、また西日本のインフラ発展に取り組みたい人に向いている企業だと言えるでしょう。
鉄道会社への理解を深めるためには
鉄道会社の理解を深めるためには、このようなデータで把握できる情報と、社風や風土など、説明会やOB訪問などを通じて、実際に社員と接することで分かる情報の両方が必要です。
そういった情報を得ることで、知名度や規模だけでなく、事業内容、社会的意義、そして社風などを吟味してご自身に本当にマッチした企業選びを心がけてください。
鉄道会社の選考対策をしたい方はこちら JR東海(東海旅客鉄道)_ES (2020卒_本選考) JR東日本(東日本旅客鉄道)_ES (2020卒_本選考) JR西日本(西日本旅客鉄道)_ES (2020卒_本選考) 九州旅客鉄道(JR九州)_ES (2020卒_本選考)
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