まずは金融業界内の銀行の種類を抑えよう
就活生に人気の「銀行」。一口に「銀行」と言っても、金融業界には「普通銀行」「信託銀行」など、さまざまな種類の銀行があり、提供する金融サービスやその対象は大きく変わります。その理解が不十分であれば、就活の面接でとんちんかんな解答や質問をしてしまう可能性も。
まずは基本として「銀行」にはどんな種類があり、どんな業務を行なっているのかを確認しておきましょう。
普通銀行(都市銀行・地方銀行) 就活生のみなさんが日々の生活でも接することがもっとも多いのは、この普通銀行です。
みずほ銀行、三井住友銀行、三菱UFJ銀行といった三大メガバンク、千葉銀行や静岡銀行、京都銀行、八十二銀行など、都道府県に根ざした地方銀行などが含まれています。
詳細は後ほど解説をしますが、私たち消費者向けの金融サービスの提供、企業や金融機関向けのお金の融資などが主な業務です。
就活において「銀行を志望している」といえば、この普通銀行を指すことが多いでしょう。
普通銀行の中でも、大都市に本店をおき全国規模の金融サービスを展開しているものが都市銀行、各都道府県に本店をおき地域に根ざした金融業務を行なっているものが地方銀行と定義をされています。
中央銀行 日本における「中央銀行」とは、日本銀行です。みなさんが普段接する「普通銀行」とは業務内容が大きく異なります。
紙幣の発行を行う「発券銀行」としての役割。銀行からお金を預かり、銀行へお金を貸し付ける「銀行の銀行」と言う役割。国の資金や国債の管理をする「政府の銀行」と言う役割を担っています。
中央銀行は、政府や全国の銀行を支える大事な金融機関です。
信託銀行 「銀行業務」のほかに「信託業務」と「併営業務」を行っている銀行です。三井住友信託銀行などがそれにあたります。
信託業務とは個人や企業などのお客様からお金、株式、不動産などの金銭的価値のあるものを引き受け、お客様の代わりに管理・運用する金融サービスです。
併営業務には、遺言書の保管や遺言執行業務などの相続関連業務、企業の株主名簿の管理などの証券代行業務、不動産の売買の仲介業務などがあります。
信託銀行はお金を貯める、増やす、そして相続することをサポートしています。金融という観点からお客様の一生をサポートできるのは、信託銀行ならではの特徴です。
その他 その他にも銀行には信用金庫、労働金庫、ゆうちょ銀行、ネット銀行などさまざまな金融機関が存在します。
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三井住友銀行_ES 三菱UFJ銀行_ES みずほフィナンシャルグループ_ES りそな銀行_ES 横浜銀行_ES
金融業界の基本?銀行業界のビジネスモデルとは
では、上記の銀行がどのような形でサービスを提供し、利益を生んでいるのでしょうか。ビジネスモデルを理解し、自分が働きたいと思えるかどうかをイメージしておきましょう
銀行のビジネスモデルは、atmなどの手数料収入、株式や債券の売買収益などがありますが、今回は、銀行の利益全体の大部分を占める貸出金利のビジネスモデルについて解説します。
貸出金利とは、簡単に言うと利息と利子の差額分で利益を得るビジネスモデルです。 まだ完全に理解ができていないと思いますので、具体例でご説明しましょう。
とある企業Aが「新しいゲームアプリを開発したい」と考えています。しかし、急に開発費という大きなお金を生み出すことはできません。そこで登場するのが、銀行などの金融機関です。
銀行の営業担当者は、企業Aと相談し、「本当に貸してもいいのか」「成功しそうなのか」を判断します。成功するという見込みがあると判断できれば銀行にあるお金を企業Aに融資します。
企業Aは、融資されたお金を用いて、アプリ開発に臨みます。
その後、企業Aは融資されたお金に、利息を上乗せし、銀行に返還します。 ここで、銀行は融資したお金より多くのお金を受け取っているので利益が生まれます。
しかし、銀行の業務がここまでではありません。 銀行に預金をしていた人に対して、お金を返さなければなりません。 その際に、利子として預金額よりも多くのお金を返還します。
上記の利息から利子を引いたお金が、銀行の利益となります。
総じて、普通銀行の業務は「顧客のニーズを金融という手段でサポートする」ことと言えます。都市銀行や地方銀行などは、顧客の対象が変わるのみで、業務内容は大きく変わりません。
就活では「この業務に共感できるのか」「誰のニーズをサポートしたいのか」を考えてみると、志望企業が絞られるかもしれません。
ここまでで、銀行業界の中でも普通銀行のビジネスモデルをご説明しました。次に、業界の市場規模について解説します。
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銀行業界は縮小している?市場規模の推移を見てみよう
一般社団法人全国銀行協会によると、平成26年の銀行業界の市場規模(116行の経常収益の合計)は15兆9213億8000万円でした。
業界ランキングでは14位(123業界中)で好位置にあると言えます。
同じ金融業界の証券業界と比較しても差は大きく、市場としては非常に成熟していると言えます。そのため、福利厚生や給与面で優遇される可能性も高いです。
とは言え、銀行業界の市場規模は、平成19年を境目に縮小する傾向にあります。21年から縮小はストップしましたが、維持するに止まり、平成26年ではピーク時より5兆円縮小した状態となっています。
(全国銀行協会資料、日本証券業協会資料をもとに筆者作成)
市場自体は縮小気味ですが、利益が大きいことには変わりありません。 今後、テクノロジーなどに対抗していくために、新しい挑戦を大規模で行なっていくことが予想されます。 「社会に大きな影響を与えたい」という方は、エントリーしてみても良いかもしれません。
ここまでで、業界全体の市場規模の動きをご説明しました。続いて、企業ごとに詳しく見て行きましょう。
大手の銀行3社を徹底比較!どこが最強か
銀行業界といえば、三菱UFJ銀行・三井住友銀行・みずほ銀行。ところで、みなさんはこの3社にどのような違いがあるかを答えられますか?
就活で頻繁に聞かれる「なぜ当社を志望したのですか?」という質問に答えられるよう、3社の違いについておさらいして行きましょう。
(各社決算資料より筆者作成)
各社の決算資料によると、もっとも売り上げをあげているのは、三菱UFJフィナンシャルグループです。3位であるみずほフィナンシャルグループには1兆5000億円の差をつけてつけています。
銀行の赤・青・緑と言われる3社ですが、大きな差があることがわかります。なぜ、このような差が生まれるのでしょうか。紐解いて行きましょう。
圧倒的な規模感、三菱UFJ銀行 三菱UFJ銀行の特徴は、「圧倒的な売り上げ」「強いブランド力」「グローバル展開」にあります。
「圧倒的な売り上げ」 三菱UFJ銀行の売り上げは、業界内でも圧倒的です。大きな収益をあげていることで安定的な経営や大規模な施策を行うことができます。
実際に、ある企業にグループである三菱商事とともに1800億円の融資や、200億円の投資ファンドを設立し、fintech事業を展開する企業の支援を行なっています。
AI活用によって業務の効率化を行う方針を打ち出したり、仮想通貨の取引所の開設について2018年中を目標に行うなど、大規模な資金を使って、今後も新たな金融領域に挑戦していくことが考えられます。
「強いブランド力」 また、実際の社員の声に「三菱UFJブランドは強い。営業もブランド力で成約することがある」というものがあるように、業界トップと長い歴史によるブランド力があるようです。
「グローバル展開」 加えて、海外への進出にも積極的に力を入れており、特にアジアにおいては支店を増やしています。実際に、ヨーロッパ、アジアなど全世界で40支店以上も展開しており、海外勤務ができるチャンスがあるかもしれません。
個の力で収益率1位、三井住友銀行 三井住友銀行の特徴は、「高い収益率」「個の力を尊重」「顧客満足度を重要指標に設定」という点にあります。
「高い収益率」 三井住友銀行は他の2行と比較して効率性の高い業務を行なっています。
総利益では、三菱UFJに劣りますが、収益率では三井住友がメガバンクトップに位置しています。効率よく、利益をあげている証拠だと言えます。
目標に対して、無駄なく仕事がしたい方には適しているかもしれません。
「個の力を尊重」 社風としては、「個」の力を尊重する傾向があります。実際に採用メッセージにおいては、「君ならでは、を世界に」というように、個人の力を伸ばし、個人が活躍するという方針が見られます。
「顧客満足度を重要指標に設定」 また、上記の方針からか営業力に定評があるのも三井住友銀行の強みです。
2019年からは販売数を個人ノルマから廃止し、「顧客満足度」などを重要指標に設定しています。
「融資してほしい」と思う顧客を増やすことが利益に繋がる銀行業務において、満足度は欠かせません。そのポイントに注力していることは強みと言えるでしょう。
「個人の力を伸ばしていきたい」「自分の力でお客様に満足してほしい」と考えている人にはマッチする社風かもしれません。
お客様の悩みを幅広く解決、みずほ銀行 みずほ銀行の特徴は、「既存顧客との長期間の取引」「偏りのない顧客」「グループ全体でのサポート」という点にあります。
「既存顧客との長期間の取引、偏りのない顧客」 他2行が新規開拓営業を積極的に行う中で、みずほ銀行は既存顧客のサポートを手厚く行う傾向にあります。
それは、メガバンクで唯一、全国47都道府県すべてをカバーし、国内上場企業の約7割との取引を行なっているためと言えます。 幅広くカバーすることで、長い付き合いで幅広いお客様にサポートすることができます。
「グループ全体でのサポート」 また、「one mizuho」戦略といった戦略も打ち出しており、グループ内の金融機関総出でニーズに答えることができます。具体的には、銀行・信託・証券を取りまとめた、カンパニー制を導入し、1人のお客様にさまざまな金融サービスを提供することが出来ます。
「幅広いお客様に対してサポートしたい」「新しいお客様よりも、長い付き合いのお客様のサポートがしたい」と考えている人はエントリーして見てもいいかもしれません。
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変化の激しい銀行業界。気になる今後の動向は?
ここまでで、現在の銀行を取り巻く金融業界の動向と、メガバンク3社の比較を行いました。 もう一つ気になるのは今後の銀行業界の雲行き。銀行業界の課題と将来性について解説していきましょう。
<課題>
現状の預貸率(金融機関の預金のうち、どの程度貸出しているかを示すもの)は2017年3月末には70%台に落ち込んでいます。
これはピーク時である1988年の137%から60%以上の落差です。年々銀行の利子は低下しているにもかかわらず、とりあえず銀行に預けるという人は減少していません。そのため預金額は維持もしくは、増加する一方です。
しかし、好景気により、企業が潤沢な資金を持っているため金融機関に頼る必要がない。つまり銀行の融資先が増加しないという状況になっています。マイナス金利施策により、企業は低い金利でお金を借りれるにもかかわらず状況は変わりません。
改めて確認すると、銀行が利益を産むためには
・より多くの個人や企業にお金を預かり ・より多くの個人や企業にお金を融資する
この両方が必要です。
現状のように、銀行から融資される個人や企業が増えないと、銀行は利益を得ることができません。
なぜこのような状況が起こっているのでしょうか。
その理由として、fintechの成長と日本市場の縮小が挙げられます。
finetechとは、Finance(金融)とTechnology(技術)を組み合わせた造語で、ITを活用した金融サービスのことを指します。具体的には、モバイル決済やクラウドファウンディングなどが挙げられます。
銀行業界の事業は先ほど説明した融資や預金のほかに、送金や決済なども持ち合わせています。
しかしそれらはfinetechを用いれば、より早くより安く行うことが可能になるのです。
今後、銀行の業態が変化しなければますます銀行の利用者は減少していくでしょう。
また、第二次産業から第三次産業がメインになるにつれて、日本の市場は縮小しています。
20年目、世界の時価総額ランキングで多くの日本企業が上位に位置していましたが、今では45位にトヨタが位置しているだけとなっています。
これにより、大きなリスクを背負って大規模な挑戦を行なっていく日本企業は減少していきます。つまり、銀行が融資する先が減少していくのです。
上記から、銀行は現在の業態を柔軟に変更し、顧客のニーズに素早く対応できるようにすること。新しい融資先を見つけるために、海外市場に進出することが必要になると考えられます。
<今後の動き>
では、具体的に銀行はどのような動きを取っていくのでしょうか。
被融資者は、個人や法人でさまざまですが、「何かに挑戦したいが、お金が不足している」という共通点があります。
つまり、「挑戦したい」という人を増やし、できるだけ多くの人に新しい挑戦をしてもらうことが重要になります。
そのため、顧客満足度を高めたり、顧客の金融に関する課題を解決したり、より融資されたいと思わせることが必要となると考えられます。
実際に、三菱UFJ銀行やみずほ銀行ではグループ全体でお客様に寄り添い、顧客をサポートしています。
顧客の金融に関するニーズは資産運用、預金、相続など幅広くあります。今まではそれぞれ違う窓口で、顧客は何度も窓口を訪れなければいけない状況でした。
しかし、グループ全体でサポートすることで、来店回数を減らし、総合的にアドバイスをすることが可能になっています。
三井住友銀行では上述したように、販売目標ではなく、顧客満足度を重要な指標にしています。
顧客満足度は、顧客の「挑戦したい」というニーズに答えることによって高まります。そのため、ただ売るだけででなくコンサルタントのように、ビジネスに対してアドバイスを行うようになっています。
つまり、今後の銀行業界では、真面目・信頼できるという今までの人材像に加えて顧客に寄り添って、課題を解決できる人材を求めることが考えられます。
選考通過のコツを知って、内定を獲得しよう。
いかがでしたでしょうか?今回は、大手3社の比較や銀行業界の今後についてご説明しました。
しかし、このままでは、入りたい企業に入社することはできません。 「業界、企業研究の知識をどうやって面接に活かせばいいのかわからない」 「銀行業界に入社して活躍したい」 という方に、エンカレッジの面談をおすすめします。
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