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コラム
2019/03/07

大企業を蹴ってベンチャーへ、東大生が語るベンチャーのメリット・デメリット

就活ルール廃止や大企業の業績悪化などで揺れる昨今の就活事情。いつ就職を始めればよいのか、ベンチャー企業と大企業のどちらを志望すべきか、悩んでいる就活生も多いのではないでしょうか。 そこで今回は、世界的な大企業の内定を蹴ってベンチャー企業に就職する道を選んだ東京大学の4年生内定者のMさんにインタビューを実施。ベンチャーを志すようになった自身の就活や、ベンチャー企業・大企業それぞれのメリットとデメリットについて語ってもらいました。
大企業を蹴ってベンチャーへ、東大生が語るベンチャーのメリット・デメリット

◆サマーインターンで変わった日系大企業のイメージ

―はじめまして、Mさんは世界的な外資系不動産企業の内定を蹴って、日系のベンチャー企業に就職されると聞きました。今日はその理由を教えてください。

Mさん:私は就活を通じて、外資系企業に内定を頂いた他、日系の大手人気企業などのインターンシップにも参加をしました。結論から言えば、総じてそれらの大企業で働くことに未来を感じられなかった、それが内定を蹴ってベンチャー企業を選んだ最大の原因です。

そういった企業に就職して消耗し、時代に取り残される人生を送るキャリアよりも、ベンチャー企業での経験を活かして自分自身がベンチャー企業の創業者となったり、新規事業をドライブするようなキャリアの方が合理的でメリットが大きいと考えました。

―日系の大企業・外資系企業に未来を感じなかったというのはどういうことでしょうか。具体的にお願いします。

Mさん:順を追って、まずは日系大手企業から説明させてください。

就活を始めたばかりの私は、何となくのイメージで「かっこいいな」と思っていた日系大手企業ばかりを見ており、ベンチャー企業には「危なそう」というイメージを漠然と抱いているだけで興味があまりありませんでした。

そういった漠然としたイメージや、インターネットの情報を当てにして、ディベロッパーやメガバンク、アパレル商社などのインターンシップに参加しましたが、そこでの経験を通じて、仕事内容や年収、将来性などに疑問を感じました。

まずは、仕事内容。例えば「街づくり」のイメージも強い不動産ディべロッパー。クリエイティブな仕事のように聞こえるかもしれませんが、インターンシップを通じて現場社員の声を聞いていくうちに、疑問符が浮かびました。

開発用地を取得するための地権者との交渉をはじめとした、地道で泥臭い仕事が多く、クリエイティブな仕事は数少ない。入社してすぐに自分が街の在り方を左右するような仕事はできないだろうなと感じました。

もちろん社会的には非常に重要な仕事であり、大きな仕事を成し遂げるためには、地道で泥臭い仕事も重要です。しかし「クリエイティブ」「カッコ良さそう」といったイメージだけで選ぶような仕事ではないなと。

他にも、メガバンクでは中小企業の担当者を体験するというワークをしましたが、中小企業経営者の苦労が伝わった一方で、資金を提供するだけの銀行よりも、その中小企業で働き、自ら何かを作り上げる経験のほうがおもしろいだろうという感想しか出てきませんでした。

ちょうどこの時期、新卒でメガバンクに就職した先輩が「仕事がつまらなすぎる」といって退職をしたこともネガティブな印象につながりましたね。

次に、給料について。どの企業でも一般に「高給取り」といわれるような年収をもらえているようでしたが、それでも30歳代で1,000万円といったところです。

もちろん、決して安い金額でありませんが、自分や子供、家族にかかる金額のことを考えると、1,000万円もらっているから安泰だ、と言える水準ではないと思います。

イメージがつきづらいかもしれませんが、例えば都内に住むのであれば家賃や生活費はどれくらいかかるのか、子供を育てるためには、両親の介護をするためには、といった点を考えた上で、一度自分が行きたいと考えている企業の年収や手取り、そのバランスを検討してみると良いと思います。

現代の日系企業は徐々に昇給幅も小さくなり、商社などのごく一部の企業で2,000万円に到達するのを除けば、ほとんどの人は1,000万前後で頭打ち、しかもそれくらいの年次になればもう自分で起業をしたり、転職をしたりと新しいキャリアを切り開いていくのも難しい。

変化が激しい世の中でかつての大企業が業績を落としている今、「安定」という言葉や「高給取り」というイメージにつられて、多くはない給料とやりたくない仕事、不確かな将来に自分の人生をオールインするのは非合理的な賭けだと思います。

◆年収数億を目指せる企業に内定、それでもベンチャー企業を選んだ理由

―日系大手企業を避けた理由はわかりました。でも、Mさんはもっと給料の高い外資系の不動産会社の内定を蹴っているとか。外資系の企業についても考えを聞かせてください。

Mさん:はい。日系大手企業についてはかなりネガティブな話をしましたが、外資系の企業についてはおおむねポジティブです。僕自身も外資系企業の選考には複数社参加しました。

内定をもらった不動産会社は海外の投資家向けに不動産を売る仕事で、年収が数億円に達している社員の方もいました。

多くの日系企業やベンチャー企業と違ってグローバルなステージで規模の大きな仕事ができる点や、一般企業の社員なら到底達することができないような高い給料をもらえる点には強く惹かれました。この二点は多くの外資系企業に共通するメリットではないでしょうか。

外資系の銀行についても、業務内容や社員の方の雰囲気が合わなかったため僕自身は敬遠してしまったのですが、同じようなメリットがあると思います。

他にもいわゆる外資系消費財メーカーなどであれば、実際に働いている社員の方や内定者の方の話からは日系大手と比較して若いうちから挑戦的な仕事をして、高い給料をもらっていることがうかがえます。

―ではどうして外資系の内定を蹴ってベンチャー企業に就職することを決めたのでしょうか。

Mさん:結論から言えば、高収入でハイステータスな外資系企業でのキャリアよりも、ベンチャー企業に入社して、いずれは自分でそのベンチャーの事業をドライブしたり、自分自身でベンチャー企業を立ち上げるなどのキャリアに情熱を感じたからです。

あるいは、既存のシステムに入り込み、サラリーマンとしてそのシステムを回すことよりも、自分が解決したい問題をビジネスによって解決したり、自分のアイデアを形にしてそれでお金を稼いだりすることの方が有用であり、メリットが大きいと感じたからです。

◆ベンチャー企業と大企業、メリット・デメリット

―つまり、ベンチャー企業の方がメリットが大きいと。そう考えるようになった経緯も教えてください。

Mさん:自分のキャリアについてじっくり考えたのは就活を始めてからですが、事業を作るキャリアを選択した根底には1年間アメリカに留学していた時の体験があると思います。

留学する前は文化や言語の違いはあれど、日本の暮らしもアメリカの暮らしもそう変わらないだろうと思っていたのですが、実際にアメリカで暮らしてみると、UberやAirbnbといったベンチャー企業のサービスが人々の暮らしを大きく変えていることに驚かされました。

同時に、今後の日本経済に不安を覚えたのも事実です。世の中の在り方が目まぐるしく変化していく中で日系の大企業も変革を求められていますが、果たしてどれほどの企業がその変化に順応できているでしょうか。この時の記憶が就活をしていくうちに呼び戻されました。

日本の人材についても同じことが言えます。変化の激しい世の中にあっては、長年積み上げたスキルがあっという間に全く役に立たなくなるということがあるかもしれません。

今後は既存のシステムにうまく馴染める人材よりも、変化に合わせて新たなシステムをつくれる人材こそが求められると思います。

大企業の多くはベンチャー企業よりも高い年収や潤沢な福利厚生を提示していることもあり、「安定」がメリットのように思えます。

ですが、ますますスピーディーに世の中が変化していく中で、旧態依然とした大企業に人生を預けてしまうのは果たして本当に安定したキャリアといえるのでしょうか。デメリットがないと思われがちな大企業への就活ですが、今の世の中にあって「終身雇用が前提」というのは確実にデメリットだと考えています。

自身が創業者を志すにせよ、企業で価値を発揮できる人材をめざすにせよ、「変化の激しい社会で新たな価値を生み出す」というスキルや経験こそが、自分のキャリアにとって最大のメリットになるだろうと考えています。

そのように考えれば、ベンチャー企業のアセットを使って大きなビジネスをランさせる経験をしようとするのは合理的なキャリア設計だと考えています。

そんな中、「ベンチャー企業」と一口にいっても様々ありますが、私の入社する企業は、そういった「事業の創造や立ち上げ」を体感し、学ぶチャンスにあふれている企業だと感じました。

そのベンチャー企業は、社員数1桁のような、いわゆる「どベンチャー」と言われるような企業ではなく、設立から十数年が経過し、社員数も500人近くなっているメガベンチャーです。

そういった意味では、多くの就活生が想像するベンチャー企業とは少し違うのかもしれません。

すでに完成されたビジネスモデルを持っており、その事業で得た潤沢なキャッシュを新規事業立ち上げや子会社の買収に回しており、次の金のなる木を作るフェーズにあります。

すると、必然的に「事業立ち上げ」や「子会社の経営」といった機会・チャンスが生まれ、若くしてそうした経験をすることができる。

もちろん、優秀な中途社員や、少数精鋭の新卒社員、同期社員がいる中で競争に勝てるだけの実力を見せる必要がありますが、力が認められれば年齢にかかわらずそういったポジションを任せてもらえる環境です。

もちろん、それはベンチャー企業のメリットであると同時に、実力がなければどんどん若手に追い抜かれて行ってしまう厳しい環境というデメリットであるともいえますが、それならばベンチャーだろうが外資だろうが、どこに行っても何もできなかったということ。良くも悪くも諦めがつきます

潤沢なキャッシュやビジネスへのノウハウがアセットになるのはもちろん、新卒一括採用とは違った、様々な経験を積んだ優秀な中途社員の存在もベンチャー企業ならではのアセットであると思います。

外資系企業に就職すれば、高い給料でやりがいのある仕事もできたのかもしれないですが、自分のキャリアについて深く考えているうちに、僕はもっと新しいものを生み出してみたくなったのです。

それにはベンチャー企業が最適だろう。そう考えるようになってからはベンチャー企業に焦点を当てた就活をしました。


―なるほど、確かに新卒で就職した会社で終身雇用というキャリアや王道エリートコースというようなキャリアと比べると、自分で事業を作るというキャリアはわくわくしますし、大きなチャンスがあることはメリットなのかもしれません。

◆ベンチャー企業の選び方、避けたほうがよい会社とは

―そのようなアセットを持つベンチャー企業というと数は絞られてくると思いますが、その中でもどうやって企業を選べばよいのかも教えてください。

Mさん:上場しているベンチャー企業ならばIR情報決算には目を通しておくべきですし、長期的な株価の推移も重要な指標であると思います。

消費者向けのサービスを行っているベンチャー企業ならば、サービスを実際に利用してみるのもそのベンチャー企業を知る良い機会になると思います。

また、ベンチャー業界では比較的人材の流動性が高いので転職支援サービスなどに集まる情報量も大企業より多く、客観的である場合が多いと思います。

ですが、何より大事なのは説明会やイベント、インターンに実際に足を運んで、生の社員の方の声や会社の雰囲気、内定者や志望者と自分の相性を確かめることだと思います。

特にベンチャー企業の社員の方は大企業の社員の方と比べて学生に内情を詳しく話してくれる傾向があるように思います。

私自身も複数のベンチャー企業のインターンや説明会に参加し、いろいろなベンチャー企業の内部を実際に目にし、様々な方の話を聞きましたが、多くのベンチャー企業に対して最初の印象と異なる評価をしました。

決算の内容と明らかに乖離したビジョンを学生に語るベンチャー企業やあまりにも内部システムが未成熟なベンチャー企業、力を入れている産業自体が右肩下がりのベンチャー企業は避けたほうがいいのかなと個人的には考えています。

◆今、就活生がすべきこと

―なるほど。実際に目で見て、耳で聞かないと本当のところはわからないということですね。最後に、これから就活をする後輩にアドバイスを頂けませんか。

Mさん:一番大事なのはできるだけ早く就活を始めることです。全体的に就職活動が早期化していることもあり、優秀な学生はますます早期に就職活動を開始しています。

私が見た大手企業の実態も就活を始めていなければ見えてこない情報だと思いますし、どんな印象を抱いたとしても、会社の内部を見ることができるというのは自分の視野を広げるいい経験だと思います。

また、みんながみんなベンチャー企業に行くべきだとは決して思いませんが、周りに流されて日系大企業ばかりを見てしまうというのは視野狭窄ですし、もったいないことだと思います。

早期に就職活動を始めることで日系大企業だけでなく、ベンチャー企業や外資系企業を見る時間的な余裕が出てきます。いろいろな企業を幅広く見たうえで自分にとってのメリット・デメリットを考えてみてください。

就職先を企業や業界のイメージだけで決めることはできないので様々なインターンシップに参加して情報を得ることを強くお勧めしますが、インターンシップに参加するにもES提出や面接を突破しなくてはいけません。

対策せずに行っても選考を突破できるのはごく一部の優秀層だけなので、できるだけ早く、3年生の春からでも対策をしていれば直前になって焦ることなく進路を選択できるのではないでしょうか。すでに就職活動を経験している大学の先輩に経験や就活情報を聞いておくのも有意義だと思います。

―本日はありがとうございました。

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