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地頭は要らない?本当に優秀な人が持つ資質とは

優秀な人と一緒に働きたい。志望動機でよく聞く言葉ですが、みなさんが考える優秀な人とはどんな人でしょうか?本記事では、就活で認められる優秀さと社会で認められる優秀さの間にあるギャップを解き明かしていきます。

地頭が良い人が優秀である?

就活で認められる優秀な人、社会で認められる優秀な人。実はこの2つには大きなギャップがあります。

就活で優秀と呼ばれる人は地頭が良い人を指していることがほとんどではないでしょうか。インターンのグループワークなどで、思考力が高いメンバーが議論を引っ張って行く。そんなイメージは根強いと思います。

また、高い選考倍率を誇る外資系企業や難関ベンチャーのインターンに合格した学生が優秀だと言われ、その選考で合格を勝ち取るために重要な資質が地頭である、というのも大きな理由でしょう。

ここで、学生からの応募が集まる有名企業がインターン選考で見極める学生の資質を改めて考えてみましょう。今回は、就活での優秀の代名詞とも言える外資系コンサルティングファームを例に取ってみます。

コンサルタントに求められる資質を考えると、コミュニケーション能力、チームワーク力、頭の回転の早さ、思考の網羅性など多岐にわたります。

しかし、インターンの選考においては、フェルミ推定やケース面接が課され、頭の回転の早さや思考の網羅性などいわゆる地頭と呼ばれるものが備わっているかどうかで主な合否判定が行われます。

コンサルタントには様々な資質が求められますが、選考で見極めやすい上に、必要な地頭のレベルに達する人材の希少性が高く学生をふるい落とす基準となりやすいことから、インターンの選考においては地頭という要素を中心に評価がなされます。

地頭力以外に必要となる資質、コミュニケーション能力やチームワーク力、やるべきことをやり抜く力などはインターンを通して見極めることで、一緒に働きたいと思えたメンバーに内定を出しています。

本当は仕事にとって重要な他の資質もインターン選考ではさほど重視されないがために、就活生の中では地頭のみが注目されがちになり、「地頭の良い人が優秀だ」という認識がなされてしまっているのではないでしょうか。

もちろん地頭という能力は、ビジネスにおいて、就職活動においても非常に重要になります。しかし、実際に社会で活躍している人たちの地頭は、必ずしも特別に優れているとは言えないケースもあります。逆に、地頭が充分に良くとも、ビジネスという場で活躍できないという人も存在しています。

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企業が求める「優秀さ」とは

それでは、社会で活躍するための条件、社会人における優秀さとはどういったものなのでしょうか。

記事「就職活動の原則とは」[https://syukatsu-pro.com/column/441]においても社会人に求められる主な資質を述べていますが、今回は企業の採用メッセージ等からそういった資質を紐解いてみましょう。

社員の営業力が非常に高いことで有名なキーエンス、戦略的なマーケティングを行っているイメージの強いP&G、「クリエイティブ」というイメージも強い広告代理店の電通、これら3つの企業を例に取り、各企業が大切にしている考え方や採用メッセージなどの文言から、求められる資質を読み解いていきます。 キーエンス この会社が最も大事にしている考え方の一つに「考動熱」という言葉があります。

考:主体的に考え、課題解決策を明らかにする 動:目標を設定し責任を持って行動する 熱:高い意欲と情熱を持ちチームで成果を最大化する

「営業を科学する」とも言われるほどのキーエンス。「営業」と言うと「行動力」や「コミュニケーション力」というイメージが強いかも知れませんが、考える力も非常に重要です。

顧客にどのような質問を投げかけ、聞き出した課題はどういったもので、どういう訴求をすればよいのかを深く考えること、また効果的な訴求をする為の綿密な製品知識のインプットなど、地頭を活用することは必須となるでしょう。

しかし、上記の「考動熱」を見れば、主体性、行動力、チームワークといった要素も社内での活躍に大きく関わることが分かります。

課題は何なのかを考え、解決策を考える、という基本的な取り組みに対して意欲を持ち主体的に取り組むこと、その過程での地道な取り組み1つ1つに責任を持つこと、こういった素養を持っていないと、せっかく地頭を持っていてもそれを活用することはできません。

そしてチームでの成果という意識を常に持つこと、これにより個人でなく、組織全体の成果や成長に寄与できる人が求められているのですね。

P&G 採用メッセージを見ると、

「絶えず革新や改善を提案しながら、高い目標に向かってビジネスを推進していく、また、自分がしたいこと、あるいはするべきだと思ったことを他の人を巻き込んで実現に導く力」 「ビジネスを成功へと導く事への強い情熱と不屈の精神力。逆境の中でもあきらめず、より難しい課題に取り組み解決へと導く力」

などを求める人材の要件としています。

このメッセージを見ると、「マーケティング戦略」などを成功に導くための思考ももちろん必要ですが、重要視している点は、周囲を巻き込みながらビジネスを推進していく力や、強い情熱を持ち、逆境を跳ね返す力にあるということが分かります。

上述のキーエンスと同様に、個人として、組織としての仕事への向き合い方や、難しい課題にも負けずにやり抜く力などが社内で活躍するための優秀さであることがわかります。

電通 代表からの採用メッセージに

「電通の武器は、本当に人。すべての仕事に対して限界まで考え抜く、やり抜く人」

とあります。

上記二つの企業と同様に、ここでも「考え抜く、やり抜く」といった仕事へのスタンス面を挙げているのが印象的です。「クリエイティブ」という印象が強く「センス」や「芸術性」などが求められるのでは?と考えられがちな広告代理店ですが、営業、制作ともにその1つ1つの業務は地道なものです。

営業としてより良い提案をするためにはどうしたらよいか。制作としてより良いクリエイティブを作るためにはどうしたらよいか。

こうしたゴール設定を行い、そのゴールに達成する為に必要な事象の1つ1つについて考え続けられる力、それに伴う1つ1つの行動を限界までやり抜く力、そういった面が社内での活躍に大きく関わる優秀さであることがわかります。

「地頭」だけが全てではない。その他重要な資質や自分ならではの資質を知るべき

もちろん、活躍するために必要な資質は職種や携わる業務によって異なります。更には、同じ職種でも組織体制や組織文化の違いで異なるでしょう。一口に優秀といっても、実はそれぞれの人が100%活躍するために適した環境は限られており、本当に自分に合った環境を選ばなければなりません。

しかし、求められる資質は領域毎に様々な中でも、共通して求められる資質も存在します。

その1つの例は、上述した企業3つのメッセージにも一端を伺うことができますが、「1つ1つのことをしっかりと最後までやり抜く力」です。これは全ての仕事に共通して求められる当たり前のことで、これだけを見ると簡単なことのようにも思えますが、当たり前のことを100%考え抜き、やり抜いている人は社会人でも多くはありません。

例えば、「営業」という業務を例に挙げると、

自分の売上目標に対して、訪問販売回数や電話回数など、どれくらいのアクションが必要なのかを考え、その数値を100%追うことが出来ているか。

訪問において顧客のニーズを本当に聞き出せているか、他にニーズや課題は無いか。ヒアリングしたニーズに対して適切なアプローチを出来ているか、他に提案すべき要素はないか、自社のサービスの魅力をきちんと伝えられているか。

また訪問後の振り返りから自らの学びを最大化しているか。

などなど、業務を細かく分解し改善しようとすると、その幅は非常に広くなります。そんな中、細かい1つ1つの業務の質を向上させる努力を本当にやり抜いている人はごく少数です。

各領域や企業、業務で求められる資質が大きく異なる中で、どこへいっても活躍すると言われている人も存在します。それはこういった当たり前のことを1つ1つやり抜く力が高く、自分の業務プロセスを素早く改善できるからだとも言えます。

また、タイトルに戻ると「地頭」も共通して求められやすい資質と言えるでしょう。一つ一つの行動の質を高めるためには「思考の網羅性や質」は重要です。

ただ、本記事のメッセージとしては、「地頭が良い」だけが優秀ではなく、上述した「やり切る力」や、それぞれの業務ごとに必要な素養ももちろん重要であり、「地頭の良さ」だけが全てではないという認識を持って欲しいということです。

就職活動では、「やり切る力」「地頭」のような全ての仕事に求められる資質、そして各業務ごとに求められる資質を知り、自分に合ったキャリア選択をしていくことが最も重要です。

自分に合ったキャリア選択をするためには、就活で一般的に言われる優秀さに惑わされることなく、自分が社会で活躍するのに必要な優秀さを自ら定義していく必要があります。

そのためには、自分の得意/苦手領域や志向性を見極めて自分がどういう人材なのかを理解する自己分析と、その企業ではどういう人材が活躍するのかを見極める企業分析の両軸を進めていくことが不可欠です。

自己分析/企業分析は就活活動の基本でありながら、最も奥深いところです。自己分析の方法論は記事「自己分析とは」[https://syukatsu-pro.com/column/650]にまとめてあります。また、企業分析についても本メディアの企業分析ページや記事に多数の掲載をしています。 これを機に自分自身、また企業のことを見つめ直してみてはいかがでしょうか?

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