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「就活ルール」はどう変わる?廃止って何が?

2018年10月に経団連が言及した就活ルールの廃止に戸惑いを感じている学生が多いのではないでしょうか?これまでルールの変更はありましたが、廃止に言及したのは初めてです。今後の就活で何がどう変わるのか、どう対策を立てたらよいのか解説します。

そもそも「就活ルール」とは?  

大卒・大学院修了予定者などの就職活動において、会社説明会や採用選考の解禁日、内定日などを明確に示した協定です。目的は就職活動の早期化を防ぐことで、学生が就活に追われずに学業に専念できる時間を確保することとされています。

現行のルールは、2013年に経団連が定めたもので、正式には「採用選考に関する指針」といいます。経団連とは日本経済の活性化を目的として設立された一般社団法人で、代表的な企業や団体で構成されており、会員企業には自主的にこの協定を守ることが求められています。新卒一括採用が一般的な雇用制度となっている日本で、採用活動を行う上での日程の目安となっているものです。

現行の就活ルールでは、説明会などの採用に関する広報は3月1日に解禁、選考は6月1日以降に開始、また正式な内定日は10月1日以降というように、企業の新卒採用のスケジュールが決められています。留学生や未就職卒業者に対して、秋季採用など就活機会を提供することなども企業に促しています。

就活ルールの始まりは、1953年の「就職協定」に遡ります。その後、協定に代わるガイドラインとして「倫理憲章」を制定、2013年には「倫理憲章」は「採用選考指針」に改められ、2015年に現行のルールに改定されました。このように、今日に至るまでスケジュールを前倒したり、後ろ倒ししたりと協定の変更が繰り返し行われてきました。

就活ルールには法律のような拘束力はなく、企業が協定を破っても罰則はないため、経団連に加盟する企業すべてがルールを守っているとはいえません。実際、優秀な学生を確保したいと考え、多くの企業が3月に事実上の採用選考を開始しているため、6月1日時点で内定が出ている学生が7割近くもいるという結果となっています。

就活ルールはすべての企業がヨーイドン!で一斉に採用活動を始めるために設けられたものですが、日本の新卒一括採用に異議を唱える声もあり、現状では本来の意味がほとんど失われているといえるでしょう。

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就活ルールが廃止ってどういうこと?

就活ルールが廃止された背景とは

1.ルールを守らない企業が多い

先述したように、ルールを守っていない企業が多いことが背景にあります。文部省の調査によると、2018年度の採用では6月以前に活動を始めた企業が約60%存在したことが分かりました。

2.通年採用を導入する企業の増加

以下のような業が通年採用を導入していることも要因です。

リクルート ファーストリテイリング ソフトバンク DeNA 楽天 ネスレ日本 メルカリ

経団連に加盟していない外資系企業やITベンチャーはルールとは無関係である上、会員企業さえも解禁前に学生と接触するなど、指針の形骸化が以前より指摘されています。外資系企業だけでなくグローバルに展開する日本の企業では、外国の学生も含め優秀な人材を中途で採る「通年採用」を導入しています。政府内でも就活ルールの廃止を後押しする意見もあります。

■今後の就活はどう変わる?

就活ルールが全面的に廃止になると、企業は採用活動を自由な時期にスタートできるため、学生は大学3年の冬に限らず、いつの時期でも就職活動ができるようになります。理論上は大学1年生からでも内定がもらえる可能性があることになるので、就活時期の概念が無くなります。

また、就活ルールの廃止により、通年採用を導入する企業が増えることや、インターンによる採用が多くなり、特に人気企業では学生の間で競争が厳しくなることも予想されます。

しかし、実際のところいつから変更になるのでしょうか? 学生にとってこれからの就職活動がどうなるのかが一番気になるところですよね。

■2021年卒は現行の就活ルールを維持

政府は2018年10月の時点で、関係省庁連絡会議で採用活動に関する新ルールについて協議をした結果、当面は現行の就活ルールをそのまま維持していくことを決定。その後、2019年3月26日に、2021年入社予定の採用活動についても現行の日程を守ることを周知徹底するよう経済団体に要請しました。ただし、実効性は不透明です。

ルールがあっても早期に選考を行う企業は後を絶たず、通年採用に移行する企業も増えているのが現状です。就活ルールを設定するのが経団連でも政府でも、そのルールに罰則がない限り現状は変わらないといえます。どの企業でもいち早く優秀な学生を囲い込みたいので学生の争奪戦になってくると、ルールを破ったものが勝つとも言えるでしょう。

このような状況から就活の早期化は今後もしばらく続くと考えられます。

就活ルール廃止のメリット・デメリット

2021年春までは現在のルールが維持されますが、新卒の通年採用時代が到来することは確実です。その場合、学生の就職活動にどのような変化が起こるのか、メリットとデメリットを解説します。

【メリット】

・内定獲得のチャンスが増え、自由な時間が増える

就活ルールの廃止により、企業の採用活動の時期が制限されないと、学生は好きなタイミングで就職活動ができます。また選考時期が早まることが予想されるため、早い段階で内定をもらえるチャンスがあります。 就活にこれまでのように時間をかける必要がなくなり、残った時間は海外への語学留学や資格取得の勉強など、有意義に使うことができます。早期に内定を獲得するという目標を設定することで、効率よく活動ができるでしょう。 また、通年採用になる企業が増えるため、これまでのように留学から帰ってきたら就活の時期が過ぎていたという事態が回避され、海外組も就活に出遅れる心配がなくなることもメリットといえます。

・より多くの企業や業界に接触できる

通年採用の企業が増え、就活期間が長期化します。その結果、同じ1年間でも学生はより多くの企業や業界を知るチャンスが増え、志望企業の選択肢が広がります。キャリアについてじっくりと考察できる機会も必然的に増え、学生にとっては納得のいく活動ができるでしょう。現在の就活ルールでは、十分な時間がないため勘違いや失敗することもありがちです。 自分を見つめ直す余裕があると、自己理解も深まるので、より良いキャリアを選択できます。またインターンシップに積極的に参加しビジネス経験を積むことで意欲と自信が生まれるでしょう。

【デメリット】

・就職活動の長期化による疲れやストレス

就職活動期間が長くなることで、個人差はありますが、就活の疲れやストレスを強く感じる学生が多くなるかもしれません。早期に内定をもらえた学生は良いですが、何社応募しても不採用が続く人の活動期間が長期化することへの懸念が指摘されています。

・学業に専念できない

これまでは就職活動を開始する時期の目安がありましたが、それがなくなることで学業に支障をきたすことも考えられます。就活と学業のバランスが取れる人はよいですが、就職活動に重点を置き過ぎると授業を欠席する回数が増え、単位の修得が難しくなることはデメリットです。

就活ルール廃止後の就活対策

実際には就活ルールはまだ廃止されていませんが、早期化する就活に対応するために以下の対策を進めていきましょう。

1.情報収集からでもいいので、早めに活動を開始すること

これまでは大学3年生の3月になると、会社説明会への参加など周囲も一斉に就活ムードになってきました。しかし、廃止されるのがいつからか明確になっていないと、「まだ始めなくてもいいかな...」と動かない人が続出する可能性があります。 そこで廃止に備えて、学年に関わらず、興味のある業界や企業の情報収集から早めに始めておくことをおすすめします。 また、SPI・テストセンターなどの勉強を始めておくのも良いでしょう。

2.早めにいろいろな企業のインターンに参加すること

就活スケジュールの早期化により、インターンの重要性が高まってきます。企業は早くから優秀な学生と接触をしたいと考え、インターンシップに着目するでしょう。これまでは、インターンは採用と切り離されたイベントでしたが、ルール廃止後は選考の一環として考えられるため、インターンによる採用が増えることが予想されます。

そこで、気になる企業は早めにリストアップしておき、どんどんインターンに参加して、企業側に印象を残すことを心がけることが大切です。

インターン登録に際しては、インターンを実施している企業が厳選されている「リクナビ」や「マイナビ」などのサイトを積極的に活用していきましょう。

3.学生生活を通してキャリアを考えること

早めの志望企業のピックアップやインターン参加がカギとはいえ、学生生活は大切です。せっかく志望大学に入学できたのに、就職活動に時間をとられてしまい、学生生活が疎かになってはいけません。企業側は「大学で学業はもちろん、それ以外でどのような活動をしてきかた」といったことも重視しています。学生生活と就活のバランスを上手く取りながら自分のキャリアについて考えましょう。

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