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2019/06/03

ヤフーとの共同研究で最年少受賞 あの東工大生が「就活」を始めるまで

旧帝大から早慶までの「上位5%」に属する、最優秀層の就活生にキャリア選択にまつわる本音を聞く本シリーズ。今回、インタビューしたのは、東京工業大学工学院(修士課程19卒、男性)のMさんだ。最年少で言語処理学会の若手奨励賞を受賞したMさんだが、就活をしたのは、受賞前。前編では、地方国立大学から東工大の大学院へ進み、インターンに参加するまでの心の葛藤を語ってくれた。
ヤフーとの共同研究で最年少受賞 あの東工大生が「就活」を始めるまで

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地方国立G大から東工大の大学院へ

──大学院生で、最年少で言語処理学会の賞(若手奨励賞)をとられました。学部も東工大ですか? 

Mさん:学部は、東工大ではなく地方国立G大学です。G大学の情報系の学部にいまして、東工大の情報系の研究室に進みました。

──プログラミングは中学生くらいからやってたって感じなんですか?

Mさん:プログラミングは大学に入ってからですが、情報系に行こうと思ったのは中学生のときです。

当時、「ブラッディ・マンデイ」というドラマを見て、そのなかに出てくるファルコンという高校生ハッカーに憧れて。きっかけは単純なんです(笑)。

── 大学に入る時に、将来自分が何になりたいとかそういうものはありましたか?

Mさん:当時はまったくありませんでした。漠然とプログラム書いて、自分の作りたいものを作ろうという、そんな感じで。なので、G大学の学部時代は、本当に普通の大学生でした。

サークルに入って、バイトして、授業に行くというような。これといった思い出はなくて。そういう平凡な学生生活を送っていて、そこで、ふと将来のことを考えたときに、「このままではマズいな」と思い、東工大に進学したっていう経緯があります。

──学部での就職は全然考えなかったのですか?

Mさん:理系は大学院の修士がベースラインになっている感じで、大学卒と大学院卒では給料が違うということを聞いていて、給料高いなら進学するかくらいの気持ちで大学院には行こうと思っていました。

周りも8割は大学院に進んでいました。でも、そのままG大の院に進むと、また平凡な2年間過してしまうかなと思って。研究室の修士の先輩たちを見てても、僕だったら毎日が退屈かなと感じたんです。

──どんな感じだったんですか?

Mさん:研究室に来て、ユーチューブで動画を見てたり、カードゲームをしてる先輩もいて、それはそれで楽しいんでしょうけど、こんなに遊びながら2年間過ごしていたら、働くようになってからつらく感じるのではないかと。

G大学のキャンパスって、周りに何もなくて、みんな大学の近くに住んで、大学に行くだけみたいな。東京のように、ほかの大学との交流もなくて。閉じたコミュニティのまま大学院に進んで、また同じ研究室で過ごしていたら、自分にとってはよくないなと。

──刺激があれば東京でなくてもよかったという感じですね。そのなかで東工大を選んだ理由は何だったんですか?

Mさん:入っていたテニスサークルの4つ上に、G大学から東工大に進んだ先輩がいることを知って、その方に話を聞いて決めました。「G大学からでも東工大に行けるよ」という軽い感じで言われただけなんですが、逆に軽い感じで言われたことで、心の重荷が取れたというか。

G大にいた当時は、東大や東工大というのは雲の上の存在というイメージがあったんですが、その先輩の話を聞くうちに、案外うちの大学からでも東工大に入れるんだというふうに思えてきて。心理的なハードルが下がって、勉強もがんばれましたね。

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ヤフーとの共同研究中に執筆論文で受賞

──東工大での専攻は何だったんですか?

Mさん:工学院の情報通信系情報通信コースです。人間が書く文章をコンピュータに理解させる自然言語処理という分野を専攻とした研究室で、機械学習やAIだったりという分野にも被っています。最先端のテーマに取り組めたということもあり、おかげさまで論文で賞をめでたくいただけました。

──どんな論文で賞をもらったんですか?

Mさん:ヤフージャパンとの共同研究で、ヤフー知恵袋の要約に関する研究をしていたんです。ヤフー知恵袋のサービスを使ったことがある人であればわかると思いますが、いまは見出しに、質問の先頭部分を表示しているんですね。

それだと「こんにちは」とかが出てくるので、そこだけでは内容が分からない。だから、文章全体から重要な部分を抜粋する作業をコンピュータにやらせたいなと。質問文の要約の研究ですね。

──企業との接点というのは、やはり東京に出てきたからというのは大きいですか?

Mさん:G大だったら、そのようなチャンスはなかったかもしれません。

──修士で学会の賞をもらうというのは、珍しいことなのではないですか?

Mさん:言語処理学会のなかでも5%の人しかもらえない賞、と言われているので結構レアだと思います。自分のいた研究室は、自然言語処理の分野ではちょっと有名な研究室で、今回の受賞は、教授のサポートとヤフーの社員さんのサポートもあってのことだと思います。

──賞をもらうと就職のときに有利になるのではないですか?

Mさん:そうですね。僕の場合は、そのときはすでに就職が決まっていたのであまり意味がありませんでしたが(笑)。

──G大から東工大にきて、ヤフーという一流企業と共同研究するという経験はいかがでしたか?

Mさん:教授とヤフーの方と自分で週1回ミーティングをすることになっていました。研究が進捗していない状態だと申し訳ないというプレッシャーがあったので、2年間ずっと研究室にいる生活をしていました。

定期的に進捗状況を報告する経験によって、相手にきちんと伝わるように説明する力というのは、徐々についていったかなと思います。

就活で初めて知った「外コン」という選択肢

──就職活動をはじめたのはいつなんですか?

Mさん:就活は、東工大に入った4月からはじめました。OBの方たちが、東工大で就活のイベントを開催してくれていまして。それが最初ですね。

──行ってみてどうでした?

Mさん:僕が知ってるのはコマーシャルが流れているような企業、BtoCの企業くらいでしたので、BtoBの企業というのがこんなにいろいろあるのかと。これはどんどん積極的に動いて情報を集めないと、知らない世界がありすぎるなと少し焦りを感じたのを覚えています。

──具体的に「この企業、こんな面白いのに知らなかった」という企業をいくつかあげてもらっていいですか?

Mさん:外資系コンサルとかは、まったく知りませんでした。たとえば、アクセンチュアとかベイン&カンパニーとか、こんな会社があるんだと。私がいたG大学では出てこない名前でしたね。

──確かに文系の学生であれば、知ってるけど、理系の学生はあまり知らないかもしれないですね。

Mさん:コンサルとかこういうジャンルがあるんだとか。ベンチャー企業とかもたくさん来てて、小さな会社なのにいろんなことを手掛けている、そういう会社があることを知ることは刺激になりました。

──4月にそのイベントに顔を出し、それから就活はどんな感じだったんですか?

Mさん:そのイベントのときにインターンの説明とかを聞いて、夏に向けてこれからインターンが始まるというのを知りました。5月に入ってからは、ずっといろんなインターンに応募していました。LINE、楽天、ヤフー、DeNA、NEC、ソフトバンクなど20社くらい出しました。

──インターンに応募する際、どんな基準で企業を絞っていったんですか?

Mさん:当時は、学会で賞をもらう前で、実績もないですし、自信もありませんでしたから。IT系であればとりあえず出すという感じで、手あたり次第応募しました。受かる受からないというよりも、経験を積むことを重視したという感じです。

──なるほど、そういう時期だったんですね。それでインターンは、結局どこにいったんですか?

Mさん:スクエアエニックス、グノシーあと金融系・通信系に強みを持つある会社の3つに行かせていただきました。

──学会の5%しかもらえないような賞を受賞するほどのMさんが、賞をもらう前は自分に自信がなかったというのは意外でした。そんなMさんが、その後どのように就活を進めていったのかを後編でお聞かせください。

(松隈勝之)

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