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地方公務員の人気職種 10種一覧

ひと目でわかる! 職種ごとに、仕事内容・試験・待遇や年収などを徹底解説。

はじめに

公務員のうち8割を占めるのが、地方公務員です。地域に密着した業務が多く、公務員と聞いてパッと思い浮かぶのは、地方公務員がほとんどだったりします。

本記事では、就活生が知っておくべき地方公務員の人気職種10種類を一覧にしてまとめました。

公式の紹介では意外と掴みづらい、具体的な仕事内容、採用後の配属、年収や待遇、試験情報などを、かんたんに網羅できるようになっています。

行政サービスにまつわる仕事


■都道府県庁職員 :国と市区町村をつなぎ、都道府県の行政をささえる


<業務内容> 中央省庁で決まった行政案やサービスの内容を調整して、市区町村でスムーズに実施できるようにします。中間管理職のようなポジションです。また、民間企業への指導や相談を受けることもあります。

中央省庁・市区町村または企業との仕事が多く、地域住民と直接かかわる機会は意外にもありません。

具体的な仕事は、たとえば ・市区町村をまたいだ大規模な公園や施設を保有し、開発・管理をおこなう。 ・ゆるキャラや特産物の開発、イベントを通して都道府県の魅力を全国にPRする。 ・中小企業からの相談を受け、融資をおこなう。 ・飲食店の衛生面をチェックして、営業の許可を出す。 ・産業廃棄物の処理をおこなう。 ・厚生労働省からの感染症対策を検討し、ルールやスケジュールを整えて、市区町村に通達する。 などが挙げられます。

<地方公務員試験> ・各自治体がおこなう、地方公務員上級(区分:事務系/技術系)職員採用試験など。

事務系は経済や法律など、技術系は機械、畜産、建築などの知識が必要です。

国家公務員とはちがい、採用は自治体ごとにおこなわれ、テストの難易度や科目、採用後の給与なども異なります。

地方公務員のうち、都道府県庁や市区町村職員を採用する試験は、上級・中級・初級の3種類に分けられます。地方公務員上級の合格者は、都道府県庁に配属される場合が多く、地方自治体の幹部候補として育てられます。

テストの難しさは、国家公務員一般職と同レベルともいわれます。

<配属先> 各都道府県庁など。

<平均年収> 600〜700万円程度 

<備考> 都庁の採用は地方公務員のなかでも難易度が高く、入庁倍率が高いです。

自治体ごとに、給与額や待遇も大きくちがいます。比較しながら、最適な受験先を見つけましょう。

地方公務員試験は併願ができ、地元以外の自治体を受けることも可能です。


■市区町村職員 :地域住民に直接、行政サービスを提供する


<業務内容> 市役所、区役所、町役場、村役場などではたらく地方公務員です。

窓口業務や行政サービスを実際におこなうため、地域住民と直接関わることが多い仕事です。

具体的な仕事は、たとえば ・戸籍や住民票の発行をおこなう。 ・災害時の証明書発行や、税金の免除、補助金の給付をおこなう。 ・教育委員会や図書館、学校などで事務をする。 ・道路、公園、学校などを新築・整備する。 ・ゴミ収集サービスや、公共施設の掃除をおこなう。 ・特産物の開発を支援し、広報を担う。 などが挙げられます。

<地方公務員試験> ・各自治体がおこなう、地方公務員中級・初級(区分:事務系/技術系)職員採用試験など。 ・各自治体がおこなう、市町村上級・中級・初級(区分:事務系/技術系)職員採用試験など。

国家、地方公務員試験ではふつう実施される、専門科目のテストがない場合が多いです。

教養試験・作文・面接のみの自治体もあるため、勉強時間を最短に抑えたい人は、市区町村職員をターゲットにすべきだといえるでしょう。

窓口業務も多いため、職員のコミュニケーション能力が重視されます。きちんと受け答えができるよう、面接対策もしておきましょう。

<配属先> 各市区町村の役所、役場、行政サービス施設など。

<平均年収> 400〜600万円程度 

<備考> 政令指定都市(大阪、名古屋、福岡などの人口50万人以上の大都市)と東京23区は、採用倍率が高めです。 異動は自治体内の部署でおこなわれるため、基本的に遠方への転勤はありません。ひとつの地域で長くはたらきたい人にはおすすめの職種です。

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人命救助にまつわる仕事


■消防官 :消火・救急・救助など、非常時に命を守る


<業務内容> 119番の通報を受け、まっさきに現場にかけつけます。火災発生時は、消防車で消火や救助をしながら延焼をくいとめます。救急では、怪我人や病人の受け入れを要請し、病院に着くまでの応急手当をおこないます。

このほか交通事故、土砂崩れ、水難事故など、あらゆる危機的状況から命を救います。防災訓練や建物の耐性チェック、災害講習などで啓発をおこなうのも、大切な業務のひとつです。

職種によっても仕事の内容がちがうため、代表的なものを紹介します。

たとえば、 ・消防隊員 採用後はじめに配属され、消火活動や人命救助をおこなう。 ・はしご隊員 はしご車を使って、高層階での消火活動をおこなう。 ・救急隊員 患者の応急処置をし、救急車で病院に運ぶ。3人1チームで、1人は救急救命士が入る。 ・救急救命士 救命の専門知識を持ち、重症者の蘇生と応急処置をする。 ・レスキュー隊員 災害や事故など、非常時の人命救助をおこなう。 ・機関員 ポンプ車・はしご車など、特殊車両を運転する。 ・航空隊員 ヘリコプターを使った救助・救命に出動し、空中での活動にあたる。 ・指令係員 市民からの119番通報を受け、場所の特定や出動の指令を出す。 などが挙げられます。

<地方公務員試験> ・各自治体がおこなう、消防官採用試験など。 体力検査もあり、腕立て伏せや握力などさまざまな項目がチェックされます。 救急救命士としてはたらく場合は、救急救命士国家試験への合格が必要です。

<配属先> 各自治体(市区町村)の消防本部、消防署など。

<平均年収> 600〜700万円程度 

<備考> 消防官は、市町村単位で採用されます。 採用後は全寮制の消防学校に入り、6〜12ヶ月の教育を受けたのち、本配属されます。


コラム① 地方公務員の資格・免許


都道府県庁や市区町村の職員をのぞいて、地方公務員の多くが資格職(=採用試験とは別に、特別な資格が必須な仕事)です。

たとえば、学校教員なら教諭免許、保健所職員なら保健師の国家資格が必要です。

また、「資格を持っている=公務員」ではありません。

医師、看護師、管理栄養士、放射線技師、獣医師などは国家資格を持っていますが、民間ではたらくことも多いです。ただし、公立の病院や施設に勤めることも可能で、その場合は公務員になります。

福祉にまつわる仕事


■ケースワーカー :社会生活が難しい人に寄り添い、自立を支援する


<業務内容> 病気や怪我、障害、高齢者介護、児童虐待やDVなど、さまざまな理由で社会生活を送ることが難しい人の相談に乗り、自立のためのサポートをします。

本人や家族と面談し、医療機関や福祉事業サービス、地方公務員の幅広い職種と連携します。生活保護などの補助金や、シェルターなどの施設を利用できるように手配することもあります。

<地方公務員試験> ・各自治体がおこなう、地方公務員上級(区分:福祉/心理)職員採用試験など。

社会福祉主事専任用資格が必要な場合もあります。自治体によって、職員の業務や受験資格が大きくちがうため、募集要項をチェックしましょう。

<配属先> 各自治体の生活保護課、社会福祉課、福祉施設、児童相談所など。

<平均年収> 400〜500万円程度 

<備考> 地方公務員上級(福祉/心理)職員採用での配属か、福祉資格を持つ職員が大半です。しかし、ごくまれに地方公務員の事務職員が、部署異動でケースワーカーになることもあります。 社会福祉士や精神保健福祉士の国家資格を持つ場合は、ソーシャルワーカーと呼ばれます。


■臨床心理士(心理カウンセラー) 心の問題に向き合い、解決にみちびく


<業務内容> うつや依存症など、心の悩みをかかえた人の相談に乗り、サポートします。

問診や心理検査をおこなって状態を見極め、それぞれに合った解決策を示します。たとえば、芸術や動物とのふれあいによる治療や、同じ悩みを抱えた人同士の自助会を進めることもあります。

地方公務員としてさまざまな勤務先があり、たとえば児童相談所ではDVや虐待、スクールカウンセラーは不登校やいじめなど、配属によって扱う領域も大きくちがいます。

<地方公務員試験> ・各自治体がおこなう、地方上級(区分:福祉/心理)職員採用試験など。

このほか、日本臨床心理士資格認定協会試験に合格している必要があります。心理学の知識と、カウンセラーにふさわしいコミュニケーション力があるかを測るテストです。

<配属先> 公立学校の相談室、道府県警の被害者支援室、老人福祉施設、ハローワークの相談室など

<平均年収> 400〜600万円程度 

<備考> 臨床心理士は地方公務員のみならず、民間の企業や病院に勤務することもあります。民間ではたらく場合、複数の職場のかけもちができます。

ただし、生涯年収は、公務員の臨床心理士としてはたらくほうが高い傾向にあります。


■保健師 :地域の健康維持や、感染症の予防に取り組む


<業務内容> 地域の保健所や保健センターなどで働きます。

結核やインフルエンザなどの感染症の予防に取り組み、乳幼児から大人まで、体調や薬についての相談を受けます。HIVなどの性感染症の匿名検査を実施する自治体もあります。

食中毒や水質の検査、狂犬病予防のための飼い犬登録、墓地や納骨堂、火葬場の許可を出すのも職員の仕事のひとつです。

これらの業務をもとに、地域の人口統計や医療に関するデータも作成しています。

<地方公務員試験> ・各自治体がおこなう、地方公務員上級(区分:福祉/心理)職員採用試験など。

保健師国家試験に合格している必要があります。公衆衛生看護学や疫学、保健統計などの知識を測るテストです。

<配属先> 各自治体の保健センター、保健所、福祉施設、地域包括支援センターなど。

<平均年収> 400〜500万円程度 

<備考> 保健師は、地方公務員のみならず、民間企業でストレスチェックなどをおこなう産業保健師としてはたらくこともできます。

ただし、生涯年収は公務員の保健師としてはたらくほうが高い傾向にあります。実際、保健師の資格を持つ7割近くが、地方公務員として就職しています。


■児童自立支援専門員/児童生活支援員 :問題をかかえた子どものサポートを、住みこみでおこなう


<業務内容> 児童自立支援施設では、非行をくりかえす、あるいは虐待など家庭に問題がある子どもをあずかります。ここに住みこみで勤務し、子どもたちの親代わりとなってさまざまな指導をおこないます。

児童自立支援専門員は、施設内での授業を担当します。スポーツや遊びを一緒にして、就職のサポートをすることもあります。

児童生活支援員は生活指導が中心です。家事全般や、身につけるべきマナーも教えます。

<地方公務員試験> ・各自治体がおこなう、地方公務員上級(区分:福祉/心理)職員採用試験など。 地方公務員の児童自立支援専門員/児童生活支援員になるには、さまざまなルートがあります。社会福祉士や教諭、保育士などの資格が必要で、数年の実務経験を求める自治体もあります。

<配属先> 各自治体の児童自立支援施設など。

<平均年収> 300〜500万円程度 

<備考> 基本的に、公立の児童自立支援施設は各都道府県と政令指定都市に1カ所ずつしかないため、採用人数はかなり少ないです。住み込みの勤務となるため、週48時間の労働とみなされ、超過勤務(残業)手当が、地方公務員の基本給とは別途支払われます。私立施設への勤務も可能ですが、こちらは公務員ではありません。


■養護教諭 :学校の保健室で、子どもたちの健康をささえる


<業務内容> 公立の小学校、中学校、高校などで保健室の先生として勤務します。具合が悪くなった生徒の介抱をしたり、怪我の手当をしたり、カウンセリングをおこないます。

<地方公務員試験> ・各自治体がおこなう、養護教諭採用試験など。 養護教諭免許状が必要です。保健師の資格を持っていると取得しやすくなります。

<配属先> 公立の小学校、中学校、高校など。

<平均年収> 600〜700万円程度

<備考> 養護教諭は、民間の私立学校に勤めることも可能です。

ただし、生涯年収は、公立校の養護教諭としてはたらくほうが高い傾向にあります。

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教育にまつわる仕事


■保育士/幼稚園教諭 :幼児をあずかり、心身ともに成長をうながす


<業務内容> 小学校に上がるまでの、幼児の保育をおこないます。

さまざまな遊びをとおして友情や体力、知力をはぐくめるようにします。トイレや着替え、食事や歯みがきなど、基本的な生活習慣が身につくように指導をします。

保護者と密にコミュニケーションを取ることで、子どもの成長をうながすための共有やアドバイスをおこないます。行事ごとの園の飾りつけや、プリントなどの配布物を作ることも重要な業務のひとつです。

保育園では0〜5歳の幼児を1日8時間まで、幼稚園では満6歳までの子どもを1日4時間まであずかります。

<地方公務員試験> ・保育士の場合:各自治体がおこなう、公務員保育士採用試験など。

合格すると採用候補者名簿に1年間登録され、保育園や児童福祉施設などからオファーが来ます。採用が決まらずに1年経つと、再度採用試験を受けねばなりません。

保育士資格が必要で、大学などで専門課程を学ぶか、保育士資格試験に合格せねばなりません。幼稚園教諭免許状を持っていると、保育士資格も取得しやすいです。

・幼稚園教諭の場合:各自治体がおこなう、幼稚園教諭採用試験など。

幼稚園教諭免許状が必要で、大学などで専門課程を学ぶことで得られます。保育士資格を持っていると、幼稚園教諭免許状も取得しやすいです。

<配属先> 各自治体の公立幼稚園、保育園、母子生活支援施設など。

<平均年収> 300〜400万円程度 

<備考> 採用された自治体のなかで、3〜4年ごとに異動があります。 保育士・幼稚園教諭ともに、地方公務員のみならず、民間の私立園や企業の託児所、幼児教室などではたらくこともできます。ただし、生涯年収は公務員としてはたらくほうが高く、待遇も安定している傾向にあります。近年では、保育士・幼稚園教諭の2つの資格を持っていることが採用条件という自治体も少なくないようです。


■公立小学校・中学校・高校教諭 :学校で子どもたちの教育をおこなう


<業務内容> 授業をおこない、部活や生活指導をします。

運動会や修学旅行などの学校行事の運営、テストの作成・採点、そして保護者への報告など、子どもたちの教育に必要なさまざまな仕事を担っています。

小学校教諭は全科目を担当し、中学校・高校教諭は科目ごとに受け持ちます。

教育委員会に出向し、教育課程や学習指導のチェックをおこなうこともあります。

<地方公務員試験> ・各自治体がおこなう、教員採用試験など。

教育職員免許状が必要。免許状には小学校、中学校、高等学校などの種類があり、大学などで教職課程を受けると取得できます。また、学校管理職試験を受けることで校長などの管理職に就けます。

<配属先> 各地の公立小学校・中学校・高校など。

<平均年収> 350〜700万円程度

<備考> 採用された自治体のなかで、3〜6年ごとに異動があります。

都市部のほうが採用人数は多く、子どもの数が少ないため地方ほど採用されづらいです。

正式に採用されなかった場合、臨時的任用教員としてはたらくこともできます。出産や育児、病気などの長期で休んでいる教員に代わって、基本は1年間のみの契約となります。勤務形態は、ふつうの教諭と同じ業務をおこなう常勤講師と、特定の科目だけを受け持つ非常勤講師があります。

教員免許を持っていれば、地方公務員としてのみならず、民間の私立校でも教諭としてはたらくことができます。


コラム② 国家公務員と地方公務員


国家公務員と地方公務員が、同じ仕事を担う職種もあります。

たとえば、食品衛生監視員。職員の業務内容はほぼ同じですが、職場が異なります。国家公務員は検疫所、地方公務員は保健所ではたらくことになります。

博物館・美術館職員の場合、施設の管理者が国なら国家公務員、地方自治体なら地方公務員です。

警察官にも、国家公務員採用と地方公務員採用があり、昇進などのキャリアが変わります。また、警察組織の独自で、地方公務員採用でも警視正以上の職員は国家公務員になります。

おわりに

以上、地方公務員の10種類の人気職種を紹介しました。

繰り返しになりますが、同じ職種でも、自治体ごとに地方公務員の待遇や募集要項の差が大きく異なります。これは、国家公務員との大きなちがいです。 長くはたらくことを考え、納得できる就職先をきちんと見極めましょう。

※本記事に掲載している年収情報などは、あくまで参考です。 試験や業務内容についても、詳細は各ホームページなどで最新の情報を手に入れるようにしてください。

※参照 ・北里敏明監修、コンデックス情報研究所編著、『21年版 公務員をめざす人の本』、成美堂出版、2019年 ・人事院ホームページ、2020年 ・東京都職員採用ホームページ、2020年 ・総務省ホームページ、2020年 ・地方公共団体情報システム機構ホームページ、2020年 ・公務員試験情報サイト「KoumuWiIN!」、2020年 など

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