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インタビュー
2019/01/28

成長の秘訣は「異質な環境への挑戦」 田中研之輔教授が語る

今回お話を伺ったのは、法政大学キャリアデザイン学部教授、田中研之輔さん。 田中さんは、大学でライフキャリア論について教えています。また「先生は教えてくれない大学のトリセツ」「先生は教えてくれない就活のトリセツ」などの著書も大人気の、まさにキャリアのプロ。 田中さんは、今の大学生についてどう考えているのか、大学生がキャリア形成においてどんなことをすべきと考えているのか、そんなテーマでお話をいただきました!
成長の秘訣は「異質な環境への挑戦」 田中研之輔教授が語る

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成長する人、しない人の違いは、新たな環境に挑戦しているかどうか

―本日はよろしくお願いします。田中さんはキャリアデザイン学部の教授として、多くの大学生のキャリアと接してきたかと思います。日本の大学生のキャリアの現状、そして課題はどんなところにあるとお考えですか。

田中:大学生は激しく二極化しているという感覚があります。それは、一歩踏み出せる人と、躊躇をしてしまって踏み込めない人。

この二者の間では、学生時代の経験の量・質が圧倒的に変わってきます。

一歩踏み出している人は、学生のうちから色々な価値を生み出したり、社会に出て企業勤めになってからも大きな活躍をしているケースが非常に多いです。

一方で、どこか踏み込めない人は、何かうまくいかなかったり、社会に出てからも不完全燃焼をしていたり。

その二極化は以前よりも顕著だと感じますね。

―一歩踏み出せる、というのはどういうことでしょうか。

田中:簡単に言えば、同質集団から自ら意図的に抜け出せるかどうか、ということです。周囲の友人、サークル、ゼミ、そういった環境に安住してしまうと、できることの幅は広がりません。

合格を手にして1年生の時は努力する人が多いと思うんです。新しい環境に飛び込んで、色々なことを学んで知識を身につけたり、新しいことができるようになったり。

サークルやゼミでもそうかもしれません。でも、2年生・3年生になると、その環境や取り組む内容に慣れてきてしまいます。立場的にも「先輩」になって、無条件で認められるようになると、新たな努力をしなくなるのです。

2年目ぐらいから、惰性で大学生活を送ってるな、なんて心当たりがある人もいるのではないでしょうか(笑)

つまり、ずっと同質集団にいる人は、最初の1年は成長するけど、それ以降は新たな学びや知識を獲得せずに、惰性で過ごしてしまっているケースが多いのです。

そこで例えば、インターンでも、留学でも、自分がやったことがないことや、これまでとは違った環境に挑戦する。これが、同質集団から抜け出す、ということです。

そうして、また1年生の時のように「学ばなきゃいけない」状態を自ら意図的につくる。そうすると、様々な知識を身につけ、様々な行動を起こすことで、できることの幅を増やしていくことができるんです。

私の場合は、国内の大学院にいましたが、その環境に慣れてきてしまったなと感じて、海外に行こうと。オーストラリアに行って、色々なことを学びながらも、2年目になるとまた安住してくる。そうしたら、今度はアメリカに行こうと。そうして環境を変えてきたことで、色々なことを学びました。

そんな風に、組織の中で「自分が一番新参者である時間を増やす」というのは、キャリア形成において、手っ取り早くでも確実に効果につながるコツだと思います。

―環境を変えることで、新しいことを学ぶ機会を作ると。

田中:そうですね。以前「内定を貰えないのは、学生時代に変化をしなかった学生だ」という記事を書いたことがあったのですが、賛否両論ありまして。でも、その主張には今も自信があるんです。

大学時代の4年間に、どこまで自分自身を化けさせたか。いろんな環境に飛び込んで、一つの環境では学べないようなことをたくさん学んだか。その回数と、質が良い人は、必ず成長しています。

また、それを繰り返すことで、異質な集団に適応するという力自体が付くんですね。逆にいえば、同質集団で成長の負荷をかける方が難しいのです。

―適応する力、ですか。

田中:学生から社会に出て、そこで苦労してしまうという人も少なくありません。

その一つの原因は、やはり「慣れ」があると思います。

大学4年間、一つの環境にいて、そこでは認められるようになって、自分って上手くやれるな、という感覚をなんとなく持つ。

しかし、社会に出るとまたゼロからのスタートですよね。前の環境ではなんとなくやれたな、という感覚から、全く新しい環境で何もできない状態からスタートをすることのギャップに対応できず「こんなはずじゃなかったのに」と苦労してしまう。

そして社会という環境は、本当に多種多様な人が存在している、まさに異質な環境です。仕事自体がどうこうの前に、その環境に入っていくこと自体に苦労してしまう人も多いです。

仕事に打ち込んで、オーバーワーク気味になってしまって苦労する人は、まだいいと思うんです。でも、そもそも新しい環境に適応できずに、仕事に力を入れるスイッチを入れられずに、なんとなくモヤモヤしている、失敗してしまう。そんな人は勿体無いですよね。

そうしたことを避けるためにも「自ら環境を変え続ける」という経験を積むことは重要だと感じています。

「環境を変える」は誰にでもできる成長機会の獲得方法

―環境を変えて、自らが学ぶタイミングを作る、というお話をいただいた一方で、もう一つの観点があるのかなと思っていまして。

ある経営者の方から聞いたお話として、大学生の間は一つのことをずっと深めなさいと。その領域がニッチなものでもなんでもいいから、4年間でひたすら深めていくことをしなさいと。

「PDCAの回し方」や「学び方」を考えた時に、先ほどのお話が、横に広がっていくものだとすれば、縦に深めていく、その考え方もあると思うのですが、いかがでしょうか。


田中:大賛成ですね。ここまで、環境を変えましょうという話をテーマにしてきましたが、ただフワフワと表面的に移動をすればいいだけじゃなくて、きちんとそこで掘り進む作業は必要です。

まさにおっしゃっていただいた通り、縦軸と横軸ですよね。物事を一つすごく深めたところからしか得られない学びは必ずありますから。

そこで一つお話ししているのは、深めて満足してしまってはいけないよ、ということですね。

自分はこんなことを深めているんだよ、ということを他者にきちんと伝えられる力が大事です。わかりやすく言えば、デザイナーやエンジニアであれば、自分の実績をポートフォリオにまとめていくとか。

深めた中で、自分はどんなことを学んだのか。そして、その学びをどんなことに活かせるのか。それを言語化しておくことは重要だと思います。

―場所をとにかく変えればいいよ、というだけではなく、深める中でもチャレンジをした方がいいよ、というメッセージになりそうですね。

田中:ただ、敢えて冒頭に「環境を変える」ということを一番に取り上げたのは、簡単に効果が出やすいから、という理由もあるんです。

同じ場所で深めていく作業というのは、実は人間にとって一番難しいんです。一つのことを本当に深くまで掘り下げられる人というのは、なかなか多くはいません。

例えば野球のイチロー選手も、もちろん生まれ持った素質もある一方で、野球というスポーツを哲学的なまでに突き詰め、非常に深い努力をしていますよね。あそこまで一つのことを深められる人というのはなかなかいないんです。

一方で、環境を変えるという手段を取ると、必然的に自分が変わらなくてはいけなくなる。そうすると自然な形で負荷がかかり、ストレッチの必要があるので、自然に効果が出るんですね。

ただ、先ほどもお話いただいた通り、ただ環境を変えることが目標になってはいけません。環境を変えることで、自分を成長させるきっかけを掴む、ということが目的です。

そしてお話しした通り、その挑戦の手段は様々あると思います。海外留学でもいいし、インターンでもいい。新たな環境に挑戦して、成長のきっかけを掴む。そうした活動を大学生時代に増やすことで、自分のできることはどんどん増えていきますから。

なんとなく惰性で生活をしてしまっているな、社会に出る前に準備をしておきたいなという人は、ぜひ一歩踏み出してほしいなと思います。

後編はコチラから!

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