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【前編】「商社は世界トップを目指さなくてはならない」

2016年に発表された中期経営計画では「同業他商社ではなく、世界のトッププレーヤーがライバルである」と掲げた、丸紅株式会社。 2017年2月に開催されるインターンシップも「世界のトッププレーヤーと戦う事業、人材に触れる」ことがテーマだと言う。 今回インターン開催に際し、人事部新卒採用担当の吉田様、和田様、そして特別ゲストとして、採用・人材開発課長の野村様にインタビューを行い、「世界のトッププレーヤーと戦う」とは何か、そして丸紅とはどういう企業なのか、その魅力についてお話を伺った。

インターンの理念

ー本日はお時間を頂きありがとうございます。早速ですが、今回のインターンについてお聞かせ願います。

今回私たちがインターンとして打ち出したいポイントは、中期経営計画でも述べていることですが、今後丸紅は他の商社をライバル視するのではなくて、それぞれの事業分野、ビジネスにおいて、世界のトッププレーヤーと肩を並べて勝ち抜いていかねばならないということです。

学生の皆様にはその考えを身近に触れてもらい、我々のビジネスや理念に共感して頂いた方には是非弊社の門を叩いて欲しいなと。

そういった考えを元に、インターンシップにおいては、

・丸紅はいったいどういう事業を行っているのか ・世界のトッププレーヤーと戦うような社員とはどんな人たちなのか ・そういう人材がどういったプロフェッショナリティを持っているのか

という所に密度濃く触れて頂く、ということを趣旨としています。

ー「世界のトッププレーヤーと戦う」ということが中期経営計画の1つであり、インターンでのテーマであるとのことですが、具体的にどういったことを指しているのかというイメージがつかない方も多いのではないかと思います。ご説明を頂いてもよろしいでしょうか。

これまでの商社というのは同業他社と、各分野において案件の取り合いをして競いあっているような状態だったんです。しかし、今後は商社同士をライバルとするのではなくて、それぞれの事業ごとに、その分野のグローバル企業と競っていかなくてはならない、ということです。

例えば、弊社が得意としている穀物事業においては、穀物メジャーと呼ばれる世界最大の穀物企業群と、同等の規模、取扱高で事業を行っています。

もちろん、うちは穀物や電力、他社は資源だったり繊維だったりとか、事業によって得手不得手はあるんですが、各事業において、そういう規模感で戦っていかなければならないという環境になっています。

ポイントとなるのは、世界最大級の企業やトッププレーヤーたちと「戦っていかなくてはならない」ということです。「戦わねば」というのはもちろんビジネスとしてでもありますが、それ以上に、日本の商社の存在意義を果たす為でもあります。

資源の無い日本に資源を持ってくること。そして、日本の技術を輸出して、日本のプレゼンスを高めること。

日本は貿易立国であり、どういう時でもこの2つに帰結する。そして、それを支えてきたのが、これからも支えていくのが、総合商社の役割である。私はそう考えています。

しかし、グローバルにおいて日本のプレゼンスは確実に下がっています。その結果、その2つの役割を果たすことが段々難しくなってきている。しかし、その役割を果たす為に、世界のトッププレーヤーと戦っていくことが必要になっているのです。

グローバルにおける日本の立ち位置は、確実に下がってきている

少し長くなりますが、具体的なビジネスを例に出して説明しましょう。 弊社が得意としている穀物事業においての話ですが、少し前までは、日本が世界一の穀物輸入国だったんです。大豆、小麦、トウモロコシなんかまとめて全部が。30年やそれ以上、ずっと日本が輸入第一位でした。

だからアメリカもブラジルも、皆が日本の為に、日本に向かって、日本人が食べたいでしょ、という具合に穀物を作って輸出してくれたんです。

日本全体で、国内向けとして、3000万トンくらいの穀物を輸入していました。弊社も穀物をたくさん取り扱って、1000万トンぐらいですね。そのうち500万トンが国内向けで。他の商社の取扱量も同程度でした。

その500万トンの中でも、大豆だったり小麦だったりっていう内訳は違うので、うちは「穀物ナンバーワン商社です」なんて言って、他社は「小麦ナンバーワン商社です」なんて言ったりとか(笑)。

そんな風にどんぐりの背比べをやっていたのが、先ほどの「ライバルは商社」という時代でした。

それが2008年に、お隣の中国が現れて。それまで穀物の輸出国だった国が、2008年に突然、大豆だけで4000万トンも輸入したんです。輸入量は今でもドンドン増えています。

そうすると、アメリカなどの農家が、中国向けにたくさん作ればいいじゃないかと。日本は農薬とか化学肥料とかにうるさいけど、中国はそうでもない。じゃあ、手間もかからず、たくさん買ってくれる中国にどんどん輸出しようと。 そうして、穀物の産地があまり日本に向かわなくなりつつあったのです。

それまでは、日本が「欲しい」と言えば、様々な交渉はあるものの、買ってくることはできる。そんな状況でした。 それが、横にたくさん買う人が現れたことで、買い負けてしまうケースが色んなシーンで出てきて物凄くやりにくくなって。このままじゃもう、日本はもしかしたら穀物をちゃんと確保できなくなるのではないかと。

これが、日本のプレゼンスが下がっていることの例です。

日本を支えるために世界で戦う、丸紅の取り組みとは

じゃあそんな中、どう戦っていくのか。丸紅は何をしたのかというと、中国と提携をしたんです。

2009年に中国の国家穀物備蓄企業、シノグレインと提携しました。その名の通り、国の為に穀物を備蓄しておく会社ですね。つまりは、ほぼ国家みたいなものです。今でも中国の穀物輸入は弊社がかなりの部分をお手伝いさせて頂いています。

じゃあ丸紅は、なんだ日本がダメになるから中国に行ってしまったのか、というとそうではありません。これは何のためにやっているのかと言うと、もちろん中国のお客様にちゃんと良いものを届けよう、というのはあります。

しかし一番の意図としては、中国と提携することによって、その中国のバイイングパワーの一部を丸紅が身につければ、穀物トレードの世界で、丸紅の、日本の、プレゼンスが上がるということなんです。

丸紅に売れば中国にどんどん売ってくれるんだな、中国と繋がっている丸紅はたくさん買ってくれるんだな、ということです。

そうして丸紅のトレード量を増やすことによって、産地ともさらに関係が深まります。そうすると、ちゃんと日本に届ける分も確保できる、というわけです。じゃあ、そこをもっと膨らませていかなければならないよねと。そうして先ほどの1000万トンくらいの取扱量が、2013年には3000万トン近くになりました。

中国との提携をしただけではありません。様々な工夫を行いました。規模が大きくなってきてからは、毎年安定して大量の輸送量が担保できるので、輸送船を毎回チャーターするのをやめて、1年、2年という単位で船を借りてしまおうとか。

そうすると輸送コストが抑えられる。じゃあ、丸紅がそれだけ儲かるのかっていうとそうではなくて、コストが下がった分、産地からはちょっと高く買ってあげて、お客さんにはちょっと安く売ってあげて。そして丸紅も潤うと。まさに三方良しです。

そうすると、じゃあ丸紅に売った方が高く買ってくれるからって、産地はますます売ってくれる。買う側も、丸紅は安く売ってくれるよね、って、ますます買ってくれる。そうして、取扱量を増やしていったわけです。

工夫の積み重ねによって、トッププレーヤーと並ぶ事業を作り上げる

こういう細かい工夫の積み重ねによって、世界で戦える事業を作っていったわけです。そしてもっと高みを目指していこうと、穀物メジャーと呼ばれる米国大手穀物企業を買収しました。

他の商社さんもその企業の買収を検討していたらしいです。ただ、穀物メジャーと呼ばれるだけあって非常に大きな会社ですので、買収のハードルは高く、なかなか手が出ない。

そんな中、丸紅は先ほどのような工夫を積み重ねた結果、単独で3000万トンを取り扱っている会社ですので、丸紅の販売力と同社の調達力を組み合わせればもっと強くなれるんじゃないかと。そういった絵が描けたのです。

そういう経緯があって、メジャーと呼ばれるような非常に大規模な穀物企業を傘下に入れることができたわけです。それで今、6000万トンを超える取り扱い規模で穀物事業を動かしています。 この6000万トンという規模がどれくらいかというと、穀物取扱企業の中で最大級の企業たち、いわゆるトッププレーヤーたちも、非公表ではありますが、それぞれ大体6000万トンから7000万トンくらいを取り扱っていると言われています。

取扱量で言えば、まさに世界のトッププレーヤーたちに丸紅が伍してきたと。 こうして、日本のプレゼンスが下がってきて、穀物輸入はこれから大丈夫なのか?という中で、工夫を積み重ねることで、世界のトッププレーヤーに並ぶレベルになって、きちんと日本を利することが出来ている。

これが「トッププレーヤー」と戦っていくということです。

資源の無い日本に資源を持ってくる。日本の技術を輸出して、日本のプレゼンスを高める。この2つの存在意義を達成する為に、世界のトッププレーヤーと戦わなくてはならない、そんな環境になってきた。これは他の事業においても同様です。

世界で戦うための工夫、挑戦、そんな所に触れる、5日間のインターン

そして、インターンシップの説明に戻りますが、そういった「トッププレーヤーとの戦い」とはどんなものなのか、「世界トップレベルでの事業」を動かしているのはどういう人たちなのか、そういう人がどんな能力や気概を持っているのか。5日間のプログラムでそういった所に密に触れて頂き、総合商社の魅力を知って頂きたい、というのが今回のインターンの趣旨になります。

そうした所に触れて、我々のビジネスや環境に共感して頂いた人には、是非丸紅という会社を志望して欲しいなと考えています。

手前味噌ですが、先ほどの中国との提携などは、業界が唖然とした提携と言っても過言ではありません。いち日本商社が提携できるわけがないと考えられていました。

それを実際に仕掛けて、手を動かしていたのが、30代中盤、課長手前くらいの社員です。大器晩成だなんて言われる商社の中でも、若くして非常に大きな成果を挙げている。アイデアを思いついて、考え抜いて、上層部を巻き込んで、突き進んで、実を結んだ提携だと。

深く考え抜いて、チャレンジをする。自分のアイデアに対して強いコミットを持つ。そうして事業を変革していく。丸紅自体を変革していく。我々は是非、そういった人材と一緒に働いて行きたいなと考えていますので、是非たくさんの応募を頂きたいと考えています。

ーありがとうございます。総合商社、丸紅の為すべき役割や実際の取り組みなどがイメージでき、とてもワクワクしました。こういった点に共感頂ける学生の皆様には、是非インターンに参加頂きたいと思います。

ー続けて「丸紅」という会社の魅力、またそこで働く人材の魅力についてお伺いしたいと思います。

インタビューに際し学生の声を聴いてみると、商社に興味を持つ学生であれば、その事業が「トレーディング」「事業投資」だという位の認識はしていると。ただその中で、5大商社の違いって何だろう?という所が分からない方がとても多い。

また「丸紅」についてのイメージを聞くと、失礼を申し上げますが、5大商社の中では末席だとか、企業規模で劣るために案件が少ないのでは、財閥系の方が面白い仕事ができるのでは、というイメージを持っている学生が多いようです。この辺りについて、お聞かせ願えますでしょうか?