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コラム
2019/09/08

ロレアルCEOが語る学生へのメッセージ 「情熱を持てるキャリア」と「リーダーシップ」の重要性

2018年4月26日に開催された、ジャン-ポール・アゴン氏(Jean-Paul AGON)の来日講演。この講演を書き起こし・記事化。今回は、前回記事に引き続き、講演のQ&Aセッション部分をお届けします。アゴン氏の語る、リーダーシップやキャリア論は、全ての学生必見です。
ロレアルCEOが語る学生へのメッセージ 「情熱を持てるキャリア」と「リーダーシップ」の重要性

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若かりしアゴン氏は、どのようにキャリアを積み上げてきたのか

MC:それではこれより、アゴンさんとのQ&Aセッションに移ります。皆様、是非ご質問をいただければと思います。

Questioner 1:CEOになるために、入社してからどんなことを考えて行動をされていたのでしょうか。

{green|Jean-Paul Agon}:私は「CEO」というキャリアを考えたことほとんどありませんでした。言い換えれば、目の前のチャレンジに一生懸命で、そういったことを考える余裕がなかったと言えるかもしれません。

ロレアルでのキャリアは若いうちから様々な機会に恵まれていました。様々な、新しいチャレンジを与えられましたね。

私は営業を1年、マーケティングを2年間、その後はギリシャで、がむしゃらに働きました。

ギリシャでの経験はチャレンジングでした。当時、ギリシャの事業はあまり良い状態ではありませんでした。そんな中、私はたった一人のフランス人メンバーとしてギリシャに行きました。

言葉もわからなかったので、ギリシャ語を学ぶのも大変でしたし、当時の私は24歳でしたが、他のチームメンバーはみんな50歳前後でしたから、互いの理解を深めることも難しかったのです。

マーケティングについての知識も少なく、チームに貢献するためにギリシャ人の友人と独学でマーケティングを学びました。

そんなことにがむしゃらに取り組みながら、ようやく結果を得ることができました。その後フランスに戻り、さらにドイツで働きました。

全ての経験がチャレンジングでした。そういった仕事を通じて大きな成長を得ることができましたし、そういった経験ができるのは、ロレアルの素晴らしい所だと思います。

若いうちに重要な責任を預かり、自分がビジネスのボスとなるのです。自らの努力によって、良い結果も出れば、課題も生まれる。それが責任であり、機会です。

ロレアルという会社は、メンバーの才能を信じています。他の企業や、日本の大企業とは少し哲学が違うかもしれません。ロレアルでは勤めた年数では昇進しません。才能、情熱、エネルギー、そして時には、運もあるでしょう。

私は「CEOになろう」と考えたことはありません。ですが、ロレアルで全ての仕事に一生懸命取り組んだ結果、この仕事だけが残っていたのかもしれませんね。

Questioner 2:私は20歳で、アゴンさんがロレアルに入社した時の年齢に近く、自分のキャリアについても考えを巡らせています。

ビジネスには多くの分野・領域がありますが、なぜ、化粧品の分野を追求しようと思ったのでしょうか。それはあなたにとって新しい分野だったのか、以前から化粧品に興味を持っていたのでしょうか。

Jean- Paul Agon:マーケティングが好きな人にとって、最も素晴らしい領域は「化粧品」だと思います。化粧品の領域がマーケティング技術の最高峰だと思います。

化粧品のマーケティング、商品やブランドやコミュニケーションを作るという意味では、分析や戦略だけでは足りません。それと同時に、感情・創造性・感受性といった部分も重要になります。

化粧品業界の仕事は、自分の全ての才能と思考を活かせる仕事だと感じています。知性だけではなく、感情や創造性も重要です。

そういった観点から、化粧品は地球上で最も興味深い仕事だと思っています。「化粧品」というと女性のイメージが根強いかもしれませんが、その面白さは男性も女性も関係なく、同じだと思いますね。

学生に戻っても、マーケティングを学び、ロレアルを選ぶ

Questioner 3:もし学生時代に戻れるとしたら、どんなことを学び、何を身につけるでしょうか。

Jean-Paul Agon:私が大学、HECにいた頃の個人的な話をします。当時HECではファイナンスが最も人気な学部だったので、ファイナンスを学んでいたのです。

ですが、ファイナンスを勉強して2年目の最後に、教授が私に「ジャン-ポール、君は良くやってるよ、マーケティングで」と話をしたのです。「ファイナンス」ではなく「マーケティング」でだと。

それはなぜかというと、ファイナンスの問題、ビジネスの問題、銀行の問題、財政問題を抱えた企業の問題といったテーマで、私が提案をしていた解決策が、必ず「宣伝方法を変えろ」だったからです(笑)。

周囲の人は、私はファイナンスに向いていないと思っていたでしょうし、逆を言えば、私はマーケティングにおいて才能があったようです。

そう考えると、もし学生時代に戻れたとしても、自分の興味に従って同じことを勉強するだろうと思います。

そして、マーケティングの勉強も、昔と現在では大きく異なりますよね。今日のマーケティングの主題はデジタルやAIについてです。私が勉強した頃には存在しなかった刺激的、かつ面白いテーマばかりです。

そんなテーマがあることを考えると、私はきっと凄く楽しんで勉強をするでしょう。また、その先のキャリアでは、再度ロレアルを選ぶでしょう。

この40年間、ロレアルで本当に刺激的で情熱的な生活をおくることができました。

40年間、12,000日、毎朝毎日情熱を持って行動していました。営業やマーケティングを担当していた頃や、ドイツ、ギリシャ、中国、ニューヨーク、どこで何をしていても、いつも刺激的、かつ情熱的でした。

そしてロレアルの社員全員が同じ情熱を持っていると思います。ここにいるメンバーもそうだと思います。本当に情熱的な生活を送れるような企業です。

皆様も、自分が情熱を持てる領域を知り、その情熱を発揮できる環境に飛び込んで欲しいなと思います。

アゴン氏が語る「リーダーシップ」

Questioner 4:素晴らしいプレゼンテーションをありがとうございました。あなたにとっての「リーダー」とは何を意味しているでしょうか。

Jean-Paul Agon:私にとって、リーダーシップにはいくつか重要なポイントがあります。私にとって最も大事なポイントは「長期的に物事を見る能力」です。

リーダーにまず要求することは、自分が進む方向、会社が進む方向、チームが進む方向を見据える能力です。行き先を間違えてしまえば、チームにも会社にも良い影響を与えられませんから。

2つ目は、授業で教えられる「リーダーシップ」とは違うかもしれませんね。

少し驚くかもしれませんが、それは、エネルギーです。リーダーはエネルギーを伝えなければいけません。なぜなら人はエネルギーが必要だからです。

リーダーからは、毎朝毎日、エネルギーと熱意を感じなければいけません。それによりみんなでやる気を起こせるのです。

私も、何年もの間ギリシャ、ドイツ、中国、ニューヨークでマネージャーとして仕事をしました。1日を終えて家に帰ると、完全に疲れ切っているのです。それは他の人にエネルギーを分けているからです。それによって、皆で情熱を持ってを感じて働くことができるのです。

最後に重要なのは「共感」です。共感力とは他人を理解する能力のことです。それは消費者を理解するところから始まります。

マーケティング、商品の開発、ブランドの立ち上げ、それぞれの成功のためには、人を理解して、人々の欲求に共感することが必要です。

それはチームのメンバーと接するときも同じです。共感力によって、人が何を考えているのか、何を感じているのか、そして、どう手助けすれば良いかを理解するのです。

他にもたくさんありますが、お話をしようとすると1日中かかってしまうので、選ぶとしたら構想、エネルギー、共感力の3つですね。

アゴン氏が見る「日本市場」と「日本の人材」

Questioner 5:アゴンさんは、日本の市場や人材についてどのように考えられているのでしょうか。

Jean-Paul Agon:まず、日本はロレアルにとって、とても重要な国です。

正直に言えば、私たちにとってシェアの大きな市場ではありません。先ほど説明したように、日本には強力な競争者がいるからです。

私たちは一定の成功を収めているものの、シェアを獲得できる場所を見つけようと頑張っています。

では、そんな厳しい日本市場をなぜ重要視しているのかといえば、日本が世界で最も興味深い市場だからです。

なぜ興味深いのかといえば、日本の消費者たちが、美容の一番の専門家といっていいほど、美へのこだわりが強いからです。

私はあらゆる国で消費者と接してきました。そんな中で、スキンケア、メイクアップ、ヘアカラー、ヘアケアの一番のエキスパートは日本人だと思います。日本は優れた教育と、長い歴史と文化があるので、企業・消費者ともに品質へのこだわりも素晴らしい。

そういった市場でビジネスを推進し、品質を向上させることは非常に重要です。

また、日本にはとても才能豊かで、とても賢く、高い専門性を持っている人がたくさんいますから、人材という観点でも重要だと思います。

だからこそ、ロレアルに興味を持つ人には、ロレアルが特別な企業だと知ってもらいたいのです。

プロフェッショナルとして刺激的なことをしたい人、起業家精神のある人、早いうちからマネジメントを経験したい人、インターナショナルな環境やキャリアに興味のある人は、ロレアル以外に選択肢はないと思います。

もちろん、全ての人にとってロレアルが一番いい企業だとは言いません。ですが、先ほど挙げたような人にとっては一番です。それは保証します。

自分に合った、情熱を感じる仕事でチャレンジせよ

Questioner 6:2つ質問があります。まず、若い頃はどのような人でしたか。

Jean-Paul Agon:どういう意味ですか。私はまだ若いですよ!(笑)

Questioner 6:小学生、中学生くらいのことです(笑)。以前からチャレンジすることが好きでしたか。また、いまのようにアクティブでしたか。

Jean-Paul Agon:はい。ずっとチャレンジは好きでした。それは確かです。

正直にいうと、ロレアルに出会えたのはとてもラッキーでした。ロレアルはたくさんのチャレンジをさせてくれる、私にぴったりの環境だったからです。

私はここにいる皆様にもロレアルに入社をしていただければ嬉しいけれども、もちろん皆様全員がロレアルに入ることはないでしょう。

皆様に一つだけアドバイスをするとしたら、「最初の企業選びは慎重に行いなさい」ということです。私のように、強い情熱を持って働ける、特別な企業に入れると嬉しいですよね。

私は、22歳の時にはマーケティングに携わりたいと思っていましたし、チャレンジが欲しかったですし、チームをリードしたかった、そんな人間でした。

まさにロレアルにぴったりの人間で、そんな私がロレアルに入社することができて、本当に幸運でした。

ファーストキャリアの選択によって、その人の仕事・人生には非常に大きな違いが生まれます。自分に合った仕事であれば、たとえそれが大変でも全てが楽しく、刺激的で情熱的で幸福を感じられるでしょう

Questioner 6:人生の中で「転機」と言えることはありましたか?

Jean-Paul Agon:前提として、私のビジネスマンとしての道は挑戦でいっぱいでした。「CEOという人間はすごい人間だ、きっと簡単だったろう」なんて思う方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。私も最初は失敗ばかりでした。

また「タイミング」にも恵まれなかったかもしれません。ギリシャ市場はその当時、誰もが携わりたくないと思うほどに悪い状況でしたし、ドイツでも経済環境は当時あまり良くなかったです。

3年後のアジアでも‘97のアジア危機の三ヶ月前にアジアのマネージャーになりましたし、そしてニューヨークに行ったのも、9月11日の2日前にでした。CEOになったのも2008年の金融危機の1年前でした。

そんなタイミングでしたから、たくさんのチャレンジがありました。でも、そのチャレンジは機会でもあります。これら全てが転機だったと思います。

そういった試練を乗り越えたことで、自分でも知らなかった自分の強みを発見できたと思います。

また、前任のCEOが私をトレーニングしてくれたのも一因でしょう。もちろんそれは、私だけに、ではありませんが、彼は、私たちがどのように困難な状況を乗り換えるかを見るために私に難しいチャレンジの機会をくれました。

全てのチャレンジは、ある意味では全て転機だったのでしょう。

Questioner 7:先ほど、各国で大変な壁にぶつかった経験があったとのことですが、そういった壁を乗り越える情熱やエネルギーは、どういった信念から生まれてきていたのでしょうか。

Jean-Paul Agon:私が壁にぶつかっても乗り越えてこられたのは、父と母からの良いDNAかもしれません。冗談です(笑)。

人によっては、静かでシャイな人もいれば、元気いっぱいな人もいます。私は偶然、そういった壁を乗り越えることに情熱を感じる性格に生まれてきたということもあるでしょう。

その情熱を感じるポイントは人それぞれ違いますし、自分に合った仕事を選ぶことで、すごく情熱的に取り組むことができるのかなと思います。

そして、ロレアルはそういった「自分らしさ」を理解してくれて、その力を発揮する機会を与えてくれたんだと思います。

私だけではないです。ここにいるメンバーも同じです。ロレアルは皆に試練を与えます。機会を与えます。そしてメンバーには、全力を出してもらうことを期待します。

そこには、他の人を巻き込んだり、自分のアイデアを伝えたり、様々な難しさもあるかもしれません。ただ、簡単ではない一方で、大きな刺激も得られるのです。

それが私のエネルギーをいつも保ってくれていたのだと思います。

”Beauty for All”を掲げる、ロレアルのビジョン

Questioner 8:2つ質問があります。まず、ロレアルは中国を最も大きい市場の一つとしてみていると聞きました。もしよろしければ、中国での戦略を教えていただけますでしょうか。

Jean-Paul Agon:もちろん中国ではたくさんビジネスをしています。私のチャレンジの一つでした。

20年前の‘97に中国でビジネスを始めました。当時は10人のチームと上海の小さいアパートにいたことを思い出します。

20年後、ロレアルは中国で一番の化粧品企業になりました。ロレアル パリ、ランコム、ヘアサロン、メイクアップ、男性商品など、全てで1位です。

とても刺激的な経験でした。私たちは中国のe-コマース革命に対応していったわけですね。中国は恐らく世界で一番e-コマースが発展している国です。アメリカよりもです。

そしてAlibabaやJing DongやVIPなどの多くのe-コマースのプラットフォームと協力し、素晴らしい仕事をできていることで、そうした地位を得られていると思います。

Questioner 8:2つ目の質問として、”Beauty For All”がミッションである理由と、そのミッションを元に、ロレアルという会社は最終的に何をなしとげたいのかを教えてください。

Jean-Paul Agon:なぜロレアルの目標が”Beauty for All”なのか。それはとてもシンプルで、この企業は初めから最上級の化粧品を地球上の全ての女性と男性に提示するために作られたからです。

なぜ我々はブランドのポートフォリオを持つのか。それは、消費者のあらゆるタイプの欲求や願望や夢に応えるためにあります。

なぜR&Dを世界中のあらゆる大陸に設置したのか。それは、全ての場所に合った商品を作りたいからです。

なぜチームが世界各国に設置されているのか。繰り返しになりますが、私たちのミッションは地球上全ての人に最高品質の化粧品を提供することだからです。

化粧品はビジネスという面だけではなく、全ての人にとって生活の一部でもあります。化粧品は人を幸福にする力があります。

なので、私たちは”Beauty for All ”を掲げ、ポジティブな化粧品業界のために働けることを嬉しく、誇りに思っています。

情熱を持って仕事に取り組む、ロレアルでのキャリア

Jean-Paul Agon:残念ですが、閉会の時間が近づいて来てしまったようですね。

皆様、今日はこの場に来ていただいて、ありがとうございました。感謝の気持ちでいっぱいです。日本でこのような経験をさせていただいて、本当に光栄に思います。

最後に閉会のお言葉を黒川先生より頂戴して、このセッションを終わりにさせていただきます。

黒川:皆様、本日はお越し下さいましてありがとうございました。

あなたの教授は正しかったのですね。あなたはファイナンスを学びました。しかし、教授はあなたにマーケティングが上手だと伝えました。リーダーシップも同じです。それがあなたの強みです。

お越しいただいている皆様にも同じように、様々な強みや弱みがあると思います。それでは、どんな仕事・キャリアがあなたに合っているでしょうか。そして、その選択はとても重要です。

もしかしたら皆様もそれに気づいているかもしれません。そして、選択するべき機会を、このような場で見つけるのかもしれません。

アゴンさんの話を聞いて、「ああ、こんな風になりたい。ロレアルっていいな」、そう感じた方もいるのかもしれませんね。

これからキャリアを歩む皆様に、私から一つだけアドバイスがあります。

皆様には、様々なことを経験して欲しいんです。時間をとって1年間休学をするのも良いかもしれません。世界に出てみてください。

そこでは、普段の生活では見つけられなかった、自分が本当に得意なことを見つけられるかもしれません。

また、世界と日本を比較して、日本の足りないところに気がつくでしょう。

そんな時に日本のことを大切に感じるでしょう。自分の国に対して何をできるかと考えるきっかけにもなると思います。

たくさんの機会が待っていると思います。

そしてアゴンさん、本日は様々なお話を聞かせていただきありがとうございました。

これにて、今回のセッションを終了とさせていただきます。

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