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【メーカー業界大手3社に聞く】地方就活生の魅力とは?

全国47都道府県からそれぞれひとりずつ選出された47名の学生が参加するオンライン上のインターンシップ、それが47 INTERNSHIPです。首都圏だけでなく地方の就活生も数多く参加し、4日間、白熱した議論やプレゼンテーションが行われました。なぜ参加したのか?どんな人材を求めているのか?地方就活生の強みとは……?参加企業である旭化成、積水化学工業、ユニ・チャーム、3社の人事担当者にお聞きしました。

素直さ、柔軟な発想、人を想う気持ちを持った人材に出会いたい!

―本日は旭化成、積水化学、ユニ・チャームの3社のみなさんにお集まりいただきました。まずは簡単に自己紹介と、それぞれの企業の特徴、求める人材像についてお聞かせください。

池田:旭化成の池田です。2013年に新卒入社し、5年半ほど消費財の営業を経験して、現在は事務系総合職の採用担当をしています(2022年11月~DX領域にて業務)。

当社の特徴は、化学、エレクトロニクス、建材・住宅、医薬・医療など、非常に幅広い事業を展開しているところです。また、M&Aを含む積極的な長期投資を行い、現在も事業の領域を拡大しています。

「世界の人びとの "いのち" と "くらし" に貢献します」、このグループミッションを念頭に、日々変わりゆく社会の求めていることを捉え、技術を生み出し・掛け合わせて社会に新たな価値を提供しています。

ですから、新しいことをどんどん吸収して成長するような"素直さ"、そして、自ら積極的に、自分の意見を持って動けるような"主体性"を持った「人財」を求めています。

坂井:積水化学の坂井と申します。私は2014年に入社しまして、しばらくの間、福岡で積水ハイムの営業を担当しておりました。現在は本社で人事部に所属しています。

当社の特徴も、旭化成さん同様、幅広い事業を行っているところです。化学だけでなく、住宅、インフラ、素材、医療など、「人々のくらしと命を支える」ことを大切にしながらさまざまな事業を行っています。

また、地球環境に配慮した取り組みに力を入れているところも特徴のひとつです。現在は、これまで培ってきたプラスチックに関する技術を生かして、ごみからプラスチックを生み出す技術を研究し、社会に実装することを目指しています。

私たちの会社は、加工と技術の会社です。加工や技術というのは、単体で力を発揮するだけでなく、足し算や掛け算で真価を見せるもの。

ですから、柔軟な発想を持つ人、フットワーク軽く情報にアクセスできる人、考えることを楽しめる人が向いているんじゃないかなと思っています。

佐々木:ユニ・チャームの佐々木です。2013年に入社し、全国の病院や介護施設の営業を担当しまして、それから人事に配属されました。

当社は旭化成さんや積水化学さんと異なり、不織布・吸収体の加工・成形技術を活かして、ピンポイントに事業を行っているところが特徴です。

主に、赤ちゃん用紙おむつ、大人用の紙おむつ、生理用品、マスク、ペット関連商品などを生産・販売しています。

赤ちゃん用紙おむつは少子化もあって対象世代の人口減少が予測されますが、大人用紙おむつ、ペット関連商品の対象者が増加することが予測されるため、重要な事業になると考えています。

「NOLA&DOLA」という企業理念に込めた「不を解消した上で、快という豊かさを生み出す」という、身の回りにある日用品を取り扱う我々だからこそできる独特なアプローチで、社会貢献ができるところが当社の魅力。

自分の家族や友人など周囲の人を想う心、利他の精神を持った方に来ていただけると嬉しいですね。

<写真左> 積水化学工業株式会社 坂井 涼さん

<写真中央> 旭化成株式会社 池田 將慈さん

<写真右> ユニ・チャーム株式会社

佐々木 一真さん

全国各地から集まる学生が起こす“化学反応”に期待!

―47 INTERNSHIPにはどのようなきっかけで参加されたのでしょうか?

佐々木:私は、純粋に「もっといろんな学生に会ってみたい!」という思いで参加しました。

これまでにさまざまな採用イベントに参加してきましたが、採用担当の人的リソースが限られていることもあって、どうしても東京・大阪の大型イベントが優先になりがちで......。

以前から、もっと全国各地の学生に会ってみたい、接触したいという気持ちがありました。47 INTERNSHIPなら、47都道府県の魅力的な学生にいっぺんにお会いできる。そこがいいなと思いました。

池田:私が参加を決めたのは、「去年参加して面白かったから」です(笑)。

全国の学生が一堂に会し、そこで共創や成長が生まれ、とても興味深い場だなと感じました。

佐々木さん、坂井さん同様、ただただ「今の学生を知りたい!」という気持ちで、今年も参加させていただきました。

坂井:私は、自分自身が佐賀県出身のまさに地方出身者だったので、個人的に47 INTERNSHIPの趣旨に強く共感して参加することを決めました。

全国47都道府県からからひとりずつ学生が集まるところ、地域関係なく等しくチャンスがあるところがとてもよいなと思いましたし、全国から多様なバックグラウンドを持つ学生が集まったらどんなことが起きるのかといったことにも興味がありました。

採用イベントというよりも、「学生の化学反応に触れる場」として興味を持ったという感じです。

―47 INTERNSHIPに参加した学生は、多くが地方就活生です。みなさんは、当初、地方就活生にどのようなイメージを持っていたのでしょうか? なにか期待されることはありましたか?

佐々木:地方就活生に対しては、なんとなくですが、地域への貢献意識が高そう、なにか地元に恩返しをしたい人が多そうだというイメージを持っていました。

そのぐらいのぼんやりしたイメージで、特に「これを期待したい!」というのはありませんでしたね。むしろ首都圏の学生とあまり変わらないと考えていました。

池田:私も、あまり首都圏だとか地方だとかは意識していなかったような気がします。

特にこれといったイメージはなく、「みんな同じ土俵に立っている」「それぞれに個性的な学生たちである」と考え、フラットな目線で参加しました。

坂井:私は先ほどもお話したように自分が地方出身ということもあり、少し強めに地方就活生のイメージを持っていました。

地方就活生は地元を離れる選択をしようという人たちですから、意欲と行動力が高いイメージがあります。それから、人によってタイミングは異なると思うのですが、就活時、就職後、結婚後など、どこかの段階で、地元に貢献したいという意識を持つ人が多いなあという印象を持っています。

私自身も、就職活動を通して地元を意識するようになり、就職後に、地元になにか貢献したいなという気持ちを持つようになりました。

どちらかというとポジティブな印象が強く、「そういう人が集まったときに、どんな新しい議論が広がるのか」に期待していたように思います。

ピッチ慣れしている上に、地域に寄り添う視点がある。地域就活生の強みとは

―実際に参加されてみていかがでしたか?率直なご感想や参加学生の特徴などについてお聞かせください。

坂井:いやもう、とにかく「学生ってすごいな......」と思いました。初対面の人とも臆することなく堂々と話し、最初からしっかりエンジンをかけて議論できる。

しかも、初日より2日目、3日目と、どんどん議論の内容が洗練されていくんですよね。最終日の飛躍ぶり、成長ぶりは凄まじく、社会人顔負けの濃いプレゼンテーションでびっくりしました。

特徴的だなと思ったのが、見せ方へのこだわりがあるところ。短時間でどう表現すれば、どう演出すれば意見をしっかり伝えられるか、魅せられるかということがとてもよく考えられているなと思いました。

これはたぶん、学校などでプレゼンや動画の編集などを勉強しているからなのでしょうね。自分たちが学生のときにはなかった技術というか、意識だなと思いつつ拝見しました。

池田:わかります。ピッチ慣れしているというのかな......。情報の見せ方・伝えたいことを端的に伝えること力が強いと感じました。

こういうところは、今の学生の大きな強みですよね。首都圏、地方関係なく、みんなこの辺は上手だなと思いました。

佐々木:今の学生の特徴なのか、「自己肯定感」という言葉がよく出てくるところが興味深いなと思いました。

テーマとしても、プレゼンのなかで使われる言葉としてもよく出てきて、「これが現代の就活生が意識していることなのかな」と感じたことを覚えています。

池田:確かに。我々が学生のときは自己肯定感なんて言葉すらなかったですもんね。

佐々木:先ほど坂井さんが「見せ方へのこだわりがすごい」とおっしゃっていましたけど、いろいろな意味で総じて今の学生さんは強めに自己への意識が向いているのかもしれませんね。

―地方就活生ならではの特徴や強みについてはいかがでしょう? なにかお感じになるところはありましたか?

佐々木:もしかしたら自分の見せ方を知っているという点や自己肯定感と関係があるのかもしれませんが、自分が住んでいる地域で既になんらかの地域貢献活動をやっているという人が多いなと思いました。

身近なところ、足元で、既になにかに貢献するような経験を積み重ねているから、見せ方がうまく、また、「誰かの役に立っている」という肯定的な気持ちを持てているのかもしれませんね。

池田:そして、そういう経験があるからか、地域課題に対する解像度が高い。街が廃れているとか、人口が減っているみたいな課題に対して、他人事ではなく、実像として理解しながら話しているなという印象がありました。

そこは首都圏に学生にはない大きな強みですよね。

坂井:あとは情報量が少ないところも強みになると思いました。「情報量が少ない」というとネガティブに聞こえるかもしれませんが、だからこそ、じっくり自分と向き合いながら就職活動ができるし、情報に惑わされずにすべきことに打ち込めるという面もあると思うんです。

実際、47 INTERNSHIPにも、地域貢献活動をはじめさまざまな活動にしっかり打ち込んできた地方就活生が多く参加していました。

もちろん必要な情報は積極的に取りに行く必要がありますが、「情報が少ないからダメ」とか「不利」ということではない。そういうことを、もっと多くの地方就活生に知ってもらいたい、自信を持ってもらいたいなと思います。

多様な視点を持つ全国各地の学生に、ぜひ応募してほしい!

―地方就活生には、地域で長く暮らしていたからこその視点や強みがあるのですね。では、入社後についてはいかがでしょう。実際に就職したら、どのように活躍できるのか、どんな視点が生きるのかについてお教えください。

池田:入社後は事務系総合職の場合、東京勤務の方が大半です。大企業というイメージを持たれがちな旭化成ですが、当社は、5名前後の小規模なチームでお仕事をするケースが多いように思います。

ですから、自分ができることってなんだろうと考え、自ら意見を発信し、動ける人が求められます。そういう人なら、若いうちから裁量権を持って仕事ができる当社において多様な挑戦・幅広いキャリアを積むことができます。

また、当社は素材をメインに扱う会社です。素材は、産業のさまざまなところで利用されます。だからこそ、多くの経験や見てきたもの・感じてきたことが生かされると考えます。もしかしたら、地方で暮らした経験もプラスに働くのでは?と期待しています。

多角化企業である当社は多様性のある会社だと思っています。もしかしたら地方学生の皆さんは自身をマイノリティーだと思うかもしれませんが、多くの経験をした方を採用したいと考えていますので。ぜひチャレンジしてほしいなと思います。

坂井:積水化学は、住宅をやっていることもあり全国に拠点を持っています。

私のように、就職してすぐ地元に配属になることもありますし、しばらく本社で働いて、そのあと地元の拠点に異動するということも可能です。全国で柔軟に働くことができ、なおかつ、インフラなどの技術で、地方創生や街づくりなどに携わることができる。

最初のほうで「地方出身の方は、人生のなかのどこかで地元を意識するタイミングがある」という話をしましたが、そうなったときに働きやすい会社だと思います。

また、私たちのような加工の会社は、偏った視点では成り立ちません。いろいろな視点、経験、アイデアの掛け合わせで事業が広がっていくものですから、いろいろな地域の方を採用したいと思っています。

地方出身ということは、それ自体が強みのひとつです。そこになにかを掛け合わせることで、どんどん自分だけの発想や武器が研ぎ澄まされていく。そこをぜひ認識して、強みを生かして、就職活動をしていってほしいなと思います。

佐々木:ユニ・チャームは、「不快を解消する」という視点から仕事に取り組める、珍しい会社です。

「不を解消した上で、快という豊かさを生み出す」ときに欠かせないのが消費者志向。誰かの不快、地域の不快を想い、どうしたらそれを快に変えられるか考えることができる人が強い。

ですから、地元を思う気持ちや、身近な人に対する解像度が高い地方出身が、その力を遺憾なく発揮できる環境であると思います。

いつか社会に出て活躍するために、今はとにかく、地元で、ワクワクすること、得意なことに打ち込んでほしい。就活も大切ではありますが、それよりもまず大学生活を充実させること、素直に謳歌することを楽しんでくださいね。

自分や、自分の身近な人と真剣に向き合ってきた、そんな人と一緒に働きたいと、私は思っています。