公開日:
最終更新日:

HR領域の知られざる超優良企業 クイックの第2創業期を見逃すな

人材紹介ビジネス業界の中で、後発ながら着実に業績を伸ばし、トップに王手をかけたクイック。そのユニークな戦略と仕組みとは?

クイックが“隠れた超優良企業”である理由

HR市場をけん引するグローバルカンパニーとして、1000億円企業を見据えるクイック。東証プライム上場企業でありながら、学生には馴染みが薄い社名かもしれない。

コロナ禍においても順調に業績を伸ばし、2022年3月期は、クイック史上、最高となる236億円(連結)の売上を達成。これは10年前の2013年3月期売上の2.7倍にあたる。従業員数は1500名、社歴は42年、国内外20拠点以上を展開し、顧客は約8万社以上。日系大手の安定感がありながら、平均年齢は29歳。離職率は1桁で、年収は20代後半で800万円超えも。openworkの「働きがいのある企業2022」では、大手企業がひしめく中で17位に名を連ね、6万社の中の上位1%にランクインした。

では何をやっている会社なのか。一言でいえば、人材ビジネスだ。人材紹介とリクルーティングの2軸を中心に、人材ビジネスを一層加速させた「情報」に関わる事業まで幅広く展開している。人材紹介事業では、採用企業と求職者を直接結びつけることによって最適なマッチングを実現。リクルーティング事業では、人材採用広告で人材と企業のマッチングをサポートしている。

クイック躍進の秘密はどこにあるのか。現在、クイックの収益の柱となっている人材紹介事業に焦点をあてて検証してみたい。

一つの領域に集中し、成功体験を横展開する

クイックが人材紹介ビジネスに本格参入したのは、医療系求人の専門サイトとして『看護roo!』を開設した2009年。独自の戦略で、後発にも関わらず10年で業界5位にまで急成長した。

独自の戦略とは「成功体験の横展開」というもの。支援領域を選択・集中し、まずは一つの領域でトップをとる。その成功体験を横展開することによって確実にシェアを伸ばしていくという方法だ。「業界大手の企業が全領域でビジネス展開している中で、後発の自分たちが同じやり方をしても勝つことはできない」。それが独自のビジネスモデルの構築につながった。

現在の支援領域は、製薬業界、建築業界、製造業界、IT業界、医療福祉業界、コスメ業界など。業界に特化した自社構築・運営の転職サイトは10におよび、中にはすでに業界トップクラスの登録者数と求人数を誇るものも。クイックの社名はあえて出していない。専門サイトであるという認識を持ってもらうことで、効率的な投資をしながら候補者集客を実現することが狙いだ。

今後も横展開を加速。将来的には人材紹介ビジネス業界で売上ナンバーワンになることを目指している。

創業社長から、新しい世代へ 成長に弾みをつける

クイックの人材紹介事業が拡大している理由は「成功体験の横展開」にある。しかしながら、単にビジネスモデルがユニークというだけで、これほど着実に成長できるものではない。そこには、「一気通貫制」という、クイックが人材紹介ビジネスを始めた当初からこだわっているスタイルがある。

人材紹介ビジネスは、人の採用を考える企業と、転職を考える個人、2通りの顧客が存在する。一般的には、社内で企業(to B)担当と求職者(to C)担当が分かれている分業制が通例だ。しかし、クイックは一人のコンサルタントがto B側とto C側の双方を担当する。それぞれの立場を深く理解した上でマッチングを行うことで、企業と転職希望者が真にWIN-WINとなる、ベストなソリューションを提供できるのだ。

質の高いマッチングはリピートを生む。その回転を止めることなく続けてきたからこそ『着実』な成長が実現した。『弾み車の法則(ビジョナリー・カンパニー2)』の通り、この回転にはブレークスルーが起きる。そして、勢いのついた弾み車は、さらに勢いよく転がっていく。

2019年、クイックは創業社長から新しい世代へバトンを渡し、第二創業期を迎えた。躍進を続けるクイック。弾みがついたクイックの未来はどうなるのか。目が離せない。

誰かに遠慮するくらいなら誰にも負けない、出る杭になれ

Yuki Shibazaki 柴崎 雄貴

執行役員 人材紹介事業本部 営業一部長 入社2年目にMR紹介サービスのリブランディングをリード。4年目に医薬品業界チームのマネージャーを務め、その後、建設業界、製造業界チームの立ち上げに関わる。現在は産業界向け人材紹介事業全体の責任者として、組織をけん引する。

クイックの成長は止まらない、次のシナリオは、動き始めた

これからのクイックをつくっていくために構想していることは数多くあります。

一つは新規領域へ進出し、成功の横展開を加速させることです。当社にはWeb事業企画開発室というチームがあり、メディアは自社で企画、構築、運営しています。これまでは、その強みを生かしながら、景気変動に強い特定領域や専門性が高い領域で存在感を発揮してきました。今後は、さらなる飛躍を目指し、採用ニーズの高い新しい領域へ積極進出する予定です。また「自社メディアを立ち上げて支援する」モデルには固執せず、領域に応じて柔軟にアプローチ方法を変えながら、成功の横展開を加速させていきます。

二つめの構想は、マスに向けたブランディングのタイミングを測ってのスタートです。今までクイックはあえて社名を表に出さず、特定領域の方々に向けたブランディングに注力してきました。しかしながら、膨大な数のマッチングを果たしてきた今は、クライアントからも求職者からも「クイックさんに依頼してよかった」と評価をいただくことが増えています。今後はクイックとして、領域展開を加速させることと並行してタイミングをみてマス向けのブランディングにも取り組み、新しい領域もスピーディにトップまで導きます。

三つめは、求職者、転職希望者の人生設計により踏み込んだコンサルティング機能の強化です。今は終身雇用の時代ではなくなり、一社でビジネス人生を終える人は減り、複数回転職をすることが当たり前になりました。そんな状況下、登録をしてもらったそのときの転職を支援するサービスの提供だけでなく、その後、複数回ある転職という人生の転機をクイックでサポートできるよう、今後はCRM、データベースマネジメントなどをより強化していきたいと考えています。ほかにも、日本と海外、海外と日本を結ぶクロスボーダーリクルートメントの推進など、これまで培った強みや資源を生かして、さらなる躍進を目指しています。

一番の財産は「人」一番の課題も「人」

一気通貫制のモデルでは、一人のコンサルタントがリクルーティングアドバイザーとキャリアアドバイザーの両方の役割を担います。未来に向けての構想を実現するためには、優秀なメンバーにどれだけ仲間に加わってもらえるかが一番のテーマです。だからこそ、自分たちの仲間は自分たちで採用する。当社のリーダー以上のほとんどのメンバーは採用活動に参加。現場で働いているメンバーが話をすることで学生にリアルな話を伝えることができ、そのアウトプットがメンバー自身のトレーニングにもつながっています。

採用は、会社の未来そのもの。そして、仕事は人生の大部分の時間を占めるもの。企業活動や、人の人生において、採用や転職は一大イベントです。人の価値観は多様化し、採用や転職の意思決定の基準はより多岐にわたっている状況だからこそ、人が介在することにこだわり、企業の経営、人の人生のベストパートナーたる存在になりたいと考えています。

サービスの未来を描き、前進するワクワク感

Mai Kasai 河西 真衣

Web事業企画開発室 サービスプランナー/マネージャー 2017年入社

私は新規サービスの立ち上げを複数経験してきました。サービスプランナーは「ユーザーにとって便利なサービスとは何か」を考えて企画を立て、「どういった手段で実現できるか」を検討。デザイナーやエンジニアをディレクションして施策を具現化し、世に出すところまで一貫して担当します。何もないところからサービスを形にしていく難しさはありましたが、自分で考えてつくりあげていくおもしろさのほうが大きかったですね。

現在は、看護師の方を対象とした「看護roo!」という転職サイトの企画・運営を担当。マネージャーとして求職者を集客するプロジェクトもリードしています。新しいサービスをつくっていくことも大事ですが、既存事業を継続させていくことも重要です。限られた時間の中で何を優先するか葛藤の日々ではありますが、正解のないことにチャレンジしていくワクワク感が私の原動力。サービスの未来を描き、その未来に向かって一歩ずつ前に進んでいることを実感できたときは、本当に嬉しいですね。

名実ともに業界ナンバーワンになる

Kenta Hirano 平野 健太

メディカルチーム コンサルタント 2020年入社

メディカル領域のコンサルタントとして、病院やクリニックといった医療機関の採用支援と、看護師さんを中心とした医療従事者の方々の転職サポートをしています。双方から直接感謝の言葉をいただけるので、自身の介在価値を2倍感じられることが、やりがいにつながっています。

クイックに入社を決めた理由は、「業界のスタンダードをつくる」というビジョンに共感したから。私はこれまで、高校までは野球、大学ではアルティメットで日本代表に選出されるなど、団体競技で高みを目指してきたということもあり、チームで力を合わせて高い目標に向かって挑戦する文化や、きれいごとをきれいごとで終わらせないぞという空気感が、とても刺さりました。一人ひとりが大きなエンジンを持っていて仕事に本気で取り組んでいるところは、スポーツと同じ。その成果が、マッチング率の高さとなって表れているのだと感じています。

この環境を生かしてさまざまなことにチャレンジし、自分自身を磨くとともに、「クイックが名実ともに業界ナンバーワンになる」ことに大きく貢献できる存在になりたいです。

チームで一丸となって、成功事例をつくっていく

Minako Nakamoto 中本 美奈子

ITチーム コンサルタント 2021年入社

ITチームのコンサルタントとして、ITコンサルティングファーム、SIer、事業会社のDX推進ポジションといったクライアント企業の採用支援と、20代~50代まで幅広い年代、職種、バックグラウンドの方々の転職支援をしています。

私は現状の自分に満足することなく成長し続けたいタイプなので、入社後の配属希望として「自分が一番成長できる環境で仕事をしたい」と伝えたところ、立ち上がったばかりのITチームに配属されました。新しい事業領域でクイック独自のスタイルを0からつくりあげていくために先輩たちが試行錯誤している中、新人の私が一緒になって成功事例をつくっていける経験はとても貴重。自分の提案が取り上げられて一つのノウハウとなって蓄積されていく。裁量を発揮しながら仕事ができることにやりがいを感じます。

何よりも、チームとして、またチームを超えてクイックオールとして、みんなで目標を達成しようという組織力は当社の強み。将来的にはメンバーをマネジメントする立場になり、組織力の最大化にも貢献したいです。

企業情報

設立    1980年9月 資本金   3億5,131万円(2022年3月31日現在) 連結売上高 235億9,089万円(2022年3月期実績) 従業員数  1,607名(2022年4月1日現在) 事業内容  人材サービス事業、リクルーティング事業、情報出版事業、ネット関連事業、海外事業 ほか