エントリーシート(ES)の志望動機、どう書けばいいか迷っていませんか?
本記事では、元日系大手人事として採用の最前線に立ち、現在はen-courageで就活サポーターとして活躍している成田さんが、企業が志望動機を聞く理由から、論理的に伝わる構成法、周りと差をつけるテクニックまでを解説します。
業界別・職種別・理由別の例文も豊富に掲載しているので、ぜひ自分に合った書き方を見つけてください。
エントリーシートで志望動機を聞く理由・評価ポイント
元日系大手企業の人事として延べ3,000名以上の学生と接してきた成田さんは、「志望動機は企業と学生のミスマッチがないか確かめる上で、とても参考にしていた」と語ります。企業がなぜ志望動機を重視するのか、そして何を見て評価しているのかをお伝えします。
企業が志望動機を聞く2つの理由
企業がエントリーシート(ES)で志望動機を問う背景には、主に以下の2つの意図があります。
- 自社への志望度が本物か(入社意欲の確認):内定辞退を防ぐため、企業は「なぜうちなのか」という問いを通じて学生の熱意や本気度を測定します。
- 自社の社風やビジョンとマッチするか(適合性の確認):早期離職を防ぐため、学生の「やりたいこと」と企業の「提供できる環境」が合致しているかを見極めます。特にコンサルティングファームなどの専門職では、業務理解の深さも厳しくチェックされます。
志望動機で見られている3つの評価ポイント
志望動機を通じて、採用担当者は主に以下の3点を評価しています。
- 入社意欲の高さ(熱意):「なぜ他社ではなく、この会社なのか」という問いに対し、納得感のある理由が語られているかを確認します。
- 企業カルチャーとの適合性(マッチング):企業の理念や行動指針(リーダーシップ・プリンシプルなど)と、学生の価値観や行動特性が合致しているかを判断します。
- 論理性(ロジック):感情的な「好き」だけでなく、誰が読んでも納得できる論理的な裏付けがあるかを見ます。「原体験(過去)→ビジョン(未来)→志望理由(現在)」の一貫性を保ち、なぜその結論に至ったのかを筋道立てて説明する構成力が不可欠です。
エントリーシートの志望動機の構成とテンプレート
「書きたいことがまとまらない」という悩みをよく耳にしますが、成田さんは「型に当てはめることで、誰でも論理的な志望動機が書ける」と断言します。これまで2,000名以上の就活生を支援し、多くの内定へと導いてきた経験から導き出された、再現性の高い「志望動機構成の6ステップ」を解説します。
結論:一言で、この企業を志望する理由は何か?
冒頭は「結論ファースト」で書き出します。「志望理由は2点ある」といった形式的な前置きよりも、「なぜその企業なのか」という核心を一文で伝えることが重要です。単に「魅力を感じたから」とするのではなく、その企業の独自の強みやビジネスモデルへの理解を示しましょう。公式サイトやIR情報から得られる「その企業ならではの特徴」を盛り込むことで、「なんとなく」ではなく「この企業だからこそ」という説得力が冒頭から生まれます。
将来像:どんなキャリアを目指しているのか?
続いて、「入社後に成し遂げたい将来像(ビジョン)」を提示します。「どのような社会課題を解決したいか」「どのように社会や顧客と関わりたいか」という抽象度の高いビジョンを定義し、そこから逆算して「なぜこの業界・職種でなければならないのか」を語る構成が効果的です。特に重要なのは、「自分の能力と企業の業務を掛け合わせて価値を創出する」イメージを具体化させることです。職種ごとの役割に基づいた活躍イメージを描くことで、単なる憧れではなく、自律的にキャリアを形成しようとする意思が伝わります。
原体験:なぜそのビジョンを持つようになったのか?
ここでは、掲げた将来像や志望理由に説得力を持たせる「原体験」を語ります。新卒採用はポテンシャル採用であるため、過去の経験は「入社後も同様に成長・活躍できるか」という再現性の証明として機能します。「なぜその目標を持つに至ったのか」というきっかけを、具体的なエピソード(研究活動、留学、サークル運営など)を交えて語りましょう。「原体験から気づき、そして志望動機へ」という一貫したロジックを組み立てることで、単なる思い出話ではなく、仕事への意欲に繋がっている経験として伝わります。
この業界を選んだ理由:なぜこの業界か?
ビジョンを実現する手段として、「なぜ他の業界ではなく、この業界なのか」を説明します。「目標達成にはAとBの要素が必要だが、他業界ではAしか満たせない。両方を満たせるのはこの業界だけだ」という消去法と強調のロジックを用いると伝わりやすくなります。また、消費者目線(商品が好き)から、生産者・プロフェッショナル目線(価値を提供する側)への転換も重要です。ビジネスとしてその業界に関わる必然性を語りましょう。
この企業を選んだ理由:なぜこの企業か?
同じ業界の中でも、「なぜ他社ではなく、その会社なのか」を明確にします。ここでは「感情的な共感(理念・社風への好き)」と「論理的な適合(自分の強みが活きるか)」の2軸で語るのがポイントです。
差別化の切り口としては以下の3つが代表的です。
- 企業の強み・資産:独自の技術、グローバルネットワーク、特許数など。
- 社風・理念:社員の雰囲気、企業理念への共感。
- 人材・制度:育成環境、キャリアパスの柔軟性。
これらを踏まえ、「貴社の〇〇という環境でこそ、私の〇〇という強みが最大化される」と、企業にとっても採用メリットがあることを論理的に伝えましょう。
結論の強調:改めて、なぜこの企業でなければならないのか?
最後は、これまでの内容を総括し、「だからこそ、貴社で働きたい」という強い意思表示で結びます。改めて具体的な希望職種や、インターンシップであれば「何を持ち帰りたいか」に触れることで、志望度の高さをアピールします。抽象的なまとめに終始せず、「企業の強み」と「自分の意思」を最終的に合致させて文章を閉じましょう。
【穴埋め式】志望動機フォーマット
論理的で伝わりやすい志望動機を作成するための、基本の6ステップ構成テンプレートです。
- 結論:私が貴社を志望するのは、〇〇(企業の強み・特徴)に魅力を感じ、××を実現したいと考えるからです。
- 将来像:私は将来、△△のような社会を実現したい(または、□□な人材になりたい)と考えています。
- 原体験:学生時代、●●の経験を通じ、▲▲という課題感を抱きました(または強みを培いました)。
- この業界を選んだ理由:その解決(または強みの発揮)には、◇◇業界が最適だと考えます。
- この企業を選んだ理由:中でも貴社は、◆◆(他社にない特徴)を持っており、私の強みである◎◎を最大限に活かせると確信しています。
- 結論の強調:だからこそ、貴社で☆☆職として★★に挑戦し、××を実現したいと考えています。
この流れに沿って要素を埋めることで、説得力のある志望動機が完成します。
周りと差をつける!受かる志望動機の書き方
採用担当者は毎日数百枚ものESに目を通します。成田さんは人事経験から、「ありきたりな表現は記憶に残らない」と指摘します。また、en-courage利用者へのインタビューでも、内定を獲得する学生には共通して「読み手を意識した工夫」があることがわかってきました。ここでは、その他大勢に埋もれないためのテクニックを紹介します。
求める人物像にマッチさせる
差別化の第一歩は、企業の「求める人物像」に徹底的に寄せることです。企業の採用サイトや求める人物像(リーダーシップ、協調性、誠実さなど)を確認し、自分のアピールポイントをそれに寄せましょう。「共感(御社のここが好き)」だけでなく、「適合(私は御社が求める能力を持っています)」という視点を盛り込み、採用するメリットを感じさせることが重要です。
結論ファーストで書く
採用担当者は短時間で大量のESを読みます。冒頭の一文で勝負が決まると考え、「結論ファースト」を徹底しましょう。単に結論を述べるだけでなく、「目標・姿勢・成果」の3要素を凝縮してインパクトを出すことで、読み手の関心を引きつけます。最初に要点を伝えることで、その後のエピソードがスムーズに頭に入ります。
定量的に書く
「頑張りました」「多くのお客様」といった曖昧な表現は避け、数字を使って具体的に書きましょう。「期間」「人数」「回数」「成果」など、定量的な情報は誰が読んでも解釈がぶれません。数字は嘘をつかない客観的な証拠であり、取り組みの規模感や成果のインパクトを正確に伝えるための最強のツールです。
インパクトのある書き出しにする
書き出しはESの「顔」です。ありきたりな表現を避け、読み手に「続きを読みたい」と思わせるフックを用意しましょう。具体的な固有名詞や状況描写を用いると効果的です。キャッチーな見出しを冒頭につけるテクニックも有効で、一文目で「この学生は何かを成し遂げたな」という期待感を持たせましょう。
他社にはない企業の強みに言及する
どの企業でも通じるような汎用的な志望動機は、評価されません。「なぜうちなのか?」という問いに答えるため、その企業独自の強みに触れる必要があります。「自分らしさ」だけでなく「企業らしさ」への深い理解を示すことで、本気度と志望度の高さを証明できます。
原体験を具体的に述べる
企業は、志望動機の背景にある「Why(なぜそう思うのか)」を重視しています。その根拠となるのが、あなた自身のライフヒストリー(原体験)です。借り物の言葉ではなく、自分の実体験に基づいた言葉で語ることで、想いの強さと独自性が生まれ、他の学生との差別化を図れます。
一発不合格を防ぐ!エントリーシートの志望動機の注意点
最年少部長として多くの採用判断を下してきた成田さんによれば、ESには「書いた瞬間に評価が下がる」NGパターンが存在します。ここでは、致命的なミスを防ぐためのポイントを解説します。
抽象的な表現は避ける
「貴社の商品に興味があります」「社会貢献したいです」といった抽象的な表現は、具体性に欠けると判断されます。「どんな点に興味があるのか」「どのように貢献したいのか」を具体化しましょう。
また、根拠のない誇張も禁物です。「リーダーシップがあります」と自称するよりも、「クラス全員の似顔絵を描いた学級旗を作成し、団結を促した」という具体的な行動事実を示すことで、あなたらしい人柄が伝わります。
「待遇・福利厚生」を志望理由のメインにしない
「給料が良い」「休みが多い」といった条件面を志望動機の中心にすることは避けましょう。企業が求めているのは「仕事への意欲」や「貢献」です。
条件面ばかりを強調すると、「条件でしか会社を見ていない」というネガティブな印象を与えかねません。あくまで事業内容や仕事のやりがいを主軸に据えることが大切です。
受け身の姿勢は避ける
「勉強させてほしい」「研修制度が魅力」といった「教えてもらうこと(Taker)」を前提とした姿勢は、学生気分が抜けていないと判断されます。
企業は学校ではありません。「制度を活用して早期にスキルを習得し、一日も早く貢献したい」というように、主体的に価値を提供しようとする姿勢(Giver)を示しましょう。「理解を深めたい」ではなく「成長して貢献したい」という能動的な表現を心がけてください。
その他、エントリーシートを書く時に押さえるべき基本的な注意点
ES作成における基本的なマナーも合否を分ける要因です。
- 話し言葉を使わない:「僕」「自分」ではなく「私」を使用する。「バイト」などの略語は避け「アルバイト」と書く。
- 誤字・脱字に注意する:提出前に必ず見直し、コピーをとっておく。手書きの場合は丁寧に書く(消せるペンは不可)。
- 早めに提出する:締切直前ではなく余裕を持って提出する。提出の早さが評価につながることも少なくない。
これらは社会人としての基礎的な素養です。内容以前の形式面で減点されないよう注意しましょう。
▼エントリーシートの基礎的な書き方・注意点などは以下の記事で解説しています。
落ちないエントリーシートの書き方企業が見ているポイントと対策まとめ
受かる志望動機の例文集
成田さんがこれまで添削してきたESの中には、少しの修正で劇的に通過率が上がった事例が多数あります。その中から業界・職種・志望理由ごとの例文を厳選しました。
en-courage利用者へのアンケートによると、志望企業を絞る上で最も重視している要素の1位が業界であることから、業界をもとに企業を選ぶ学生が多いことがわかっています。ここでは、そんな「業界」ごとの例文からご紹介します。
【業界別】志望動機の例文
業界ごとに求められる人物像や評価ポイントは異なります。ここでは主要な業界(商社、メーカー、金融、IT、マスコミ)について、それぞれの業界特性を踏まえた「受かる例文」と「落ちる例文」を紹介します。業界特有のキーワードや視点に注目して参考にしてください。
商社
<落ちる例文>
私は貴社の幅広い事業展開とグローバルな環境に魅力を感じています。大学時代のテニスサークルでリーダーを務め、メンバーをまとめる中でリーダーシップを学びました。この経験を活かし、貴社のビジネスの現場でもチームを引っ張り、世界を舞台に活躍したいと考えています。特に貴社のエネルギー事業に関心があり、インターンシップを通じて理解を深めたいです。
<受かる例文>
「次世代エネルギーの社会実装」を実現したいと考え、貴社を志望します。私は大学の研究室で、再生可能エネルギーの効率化に関する研究に取り組み、失敗を繰り返しながらも新たな実験手法を確立して成果を出しました。この過程で、技術を社会に届けるビジネス構築の重要性を痛感しました。貴社はエネルギー分野でバリューチェーン全体を俯瞰した投資と事業経営を行っており、私の「泥臭く試行錯誤し、道なき道を拓く」強みが活かせると考えます。インターンでは、事業投資のリアルな難しさとやりがいを肌で感じ、自身の介在価値を明確にしたいです。
<ポイント>
- 結論ファースト:冒頭で「何を成し遂げたいか(志)」を明確に宣言しています。
- 原体験の具体性:研究での試行錯誤という具体的な行動事実が、商社に必要な「粘り強さ」の根拠となっています。
- 企業理解とマッチング:単なる憧れではなく、商社の機能(事業投資・経営)を理解した上で、自身の強みがどう貢献できるかを述べています。
メーカー
<落ちる例文>
私は貴社の製品を愛用しており、その品質の高さに感動してきました。大学では機械工学を専攻しており、ものづくりの楽しさを知りました。貴社のインターンシップでは、実際の製品開発の現場を見学し、社員の方々からお話を聞くことで、開発のプロセスを学びたいです。また、自分の知識がどこまで通用するか試してみたいと考えています。
<受かる例文>
「生活者の当たり前を支え、豊かな時間を創出したい」と考え志望します。私はカフェのアルバイトで、業務効率化のための新機材導入を提案・運用し、提供スピード向上により顧客満足度を高めた経験があります。この経験から、機能性だけでなく、使い手の体験まで設計するものづくりの奥深さに惹かれました。貴社は「顧客視点の徹底」を掲げ、常に市場に革新をもたらしています。本インターンでは、私の強みである「現場目線での課題発見力」を活かし、技術を顧客価値に変換するプロセスを実践的に学びたいです。
<ポイント>
顧客視点の提示:単なる製品ファンではなく、提供者としての「顧客価値」視点を持っています。
原体験の接続:アルバイトでの改善経験を、メーカーの「カイゼン」や「付加価値創造」のマインドセットとリンクさせています。
能動的な参加姿勢:「見学したい」ではなく、自身の強みを活かして「実践的に学びたい」という主体性を示しています。
金融
<落ちる例文>
私は金融業界に興味があり、貴社のインターンシップに応募しました。大学の講義で経済の動きが社会に与える影響を学び、金融の役割の大きさを実感しました。中でも貴社は業界のリーディングカンパニーであり、そのノウハウを学びたいです。真面目に取り組む姿勢には自信があります。社員の方々との交流を通じて、貴社の社風を肌で感じたいと考えています。
<受かる例文>
企業の成長を支える「金融のプロフェッショナル」を目指し、志望します。私は武道サークルで、個々の部員の課題に合わせて練習メニューを分析・改善し、昇段率を大幅に向上させた経験があります。この経験から、相手の課題に深く入り込み、最適な解を導き出すことにやりがいを感じました。貴社は、顧客との長期的な信頼関係を基盤に、グループ総合力を活かした多角的なソリューションを提供している点に惹かれています。ワークを通じ、高度な専門性と人間力が求められる貴社の業務を体感し、自身の対人折衝力を試したいです。
<ポイント>
プロ意識の表明:冒頭で目指す姿を定義し、金融業界への覚悟を示しています。
原体験の説得力:「相手の課題解決に伴走した」という経験が、金融業務(コンサルティング営業など)の適性と合致しています。
企業理解:グループ総合力や信頼関係といった、その企業が重視する価値観に触れています。
IT・通信
<落ちる例文>
私は貴社のIT技術で社会を便利にしたいと考え志望しました。プログラミングスクールに通っており、アプリ開発の経験があります。IT業界は変化が激しく、常に新しい技術が生まれる点に魅力を感じています。貴社は多くのシステム開発実績があり、高い技術力を持っていると思います。インターンシップでは、システムエンジニアの仕事を体験し、理解を深めたいです。
<受かる例文>
ICTを活用し、地域課題の解決という「新たな仕組み」を創出したいです。私は塾講師のアルバイトで、紙ベースだった指導報告をデジタル化し、保護者との連携強化と講師の業務時間短縮を実現しました。この経験から、技術は使う人の課題に寄り添ってこそ価値が出ると学びました。貴社は、通信インフラを基盤に、地域や他産業と共創するビジネスを推進しています。本インターンでは、私の「課題の本質を見抜く力」を活かし、技術をビジネス実装する難しさと可能性に挑戦したいです。
<ポイント>
課題解決の視点:「技術が好き」だけでなく、技術を使って「何を解決したか」という実績を述べています。
共創への理解:単なる開発ではなく、ビジネスとして社会実装する視点(共創、仕組みづくり)を持っています。
具体的な貢献イメージ:塾でのDX経験という等身大のエピソードが、IT活用の原体験として機能しています。
マスコミ・広告
<落ちる例文>
私は昔からテレビや広告が好きで、人を楽しませるコンテンツを作りたいと思っています。貴社の制作する番組やCMはいつもユニークで、私の憧れです。大学では学園祭の実行委員をしており、イベントを盛り上げる企画を考えました。クリエイティブな仕事に興味があり、貴社の自由な社風の中で、アイデアを形にする方法を学びたいです。
<受かる例文>
「隠れた価値を言葉にし、社会の意識を変える」発信者になりたいです。私は大学新聞の編集活動において、学内のマイノリティ問題を取材し、当事者の声を丁寧に記事にすることで読者の反響を呼び、大学側の制度変更に繋げた経験があります。この経験から、伝えることの責任と可能性を実感しました。貴社は、常識にとらわれない視点で社会課題に切り込む報道姿勢を持っており、私の目指す姿と重なります。インターンでは、現場の記者の方々が持つ「事実への探究心」を学び、自身の取材力を高めたいです。
<ポイント>
社会への影響力:単に「好き」ではなく、メディアが持つ社会的な意義や影響力を理解しています。
独自視点の提示:取材経験を通じて「社会を変えた」という実績があり、マスコミに求められる行動力と視座の高さを示しています。
企業理念との合致:報道姿勢や企業のミッションへの深い共感を示し、カルチャーフィットをアピールしています。
【職種別】志望動機の例文
同じ企業でも、職種が違えば求められる能力や役割は全く異なります。ここでは職種別(営業、企画、技術、事務、マーケティング)にフォーカスし、それぞれの職種特有の「現場感」や「プロフェッショナルとしての視点」を盛り込んだ例文を紹介します。
営業職
<落ちる例文>
私は人と話すことが好きで、営業職を志望しています。飲食店のアルバイトでは、お客様と笑顔で接することを心がけました。貴社の営業は、多くのお客様と関われる点が魅力だと感じています。インターンシップでは、営業の仕事の大変さややりがいを学びたいです。また、先輩社員の方々のトークスキルを参考にさせていただきたいと考えています。
<受かる例文>
顧客の潜在的な課題を解決し、信頼で選ばれる営業職になりたいです。私は携帯販売の長期インターンで、単に商品を売るのではなく、顧客のライフスタイルをヒアリングした上で最適なプランを提案し、店舗内トップの成約率を達成しました。この経験から、営業とは「商品を売る」のではなく「顧客の未来を提案する」仕事だと学びました。貴社の法人営業は、顧客の経営課題に深く入り込むスタイルであると認識しています。本ワークでは、私の強みである「傾聴力と提案力」を活かし、泥臭く顧客に向き合う姿勢を体現したいです。
<ポイント>
営業の本質理解:「話すのが好き」ではなく「課題解決」や「信頼構築」に焦点を当てています。
実績による裏付け:販売インターンでの実績(成約率トップ)が、営業適性の強力な証拠となっています。
企業の特徴とのリンク:その企業の営業スタイル(経営課題へのアプローチなど)を理解していることを示しています。
企画職
<落ちる例文>
私は新しいことを考えるのが好きで、企画職に興味があります。大学のサークルでは、合宿の場所決めやレクリエーションの企画を担当し、みんなに喜んでもらいました。貴社は常に新しいサービスを生み出しており、その創造性に惹かれています。インターンシップでは、アイデア出しのワークショップに参加し、企画の楽しさを体験したいです。
<受かる例文>
「0から1を生み出し、人々の生活様式を変える」事業創出に挑戦したいです。私は学生団体で、地域の商店街と連携した若者向けマルシェを企画・運営しました。当初は出店が集まりませんでしたが、商店主一人ひとりのニーズを聞き出し、若者との接点作りというメリットを提示することで協力を取り付け、過去最高の来場者数を記録しました。この経験から、企画とはアイデアだけでなく、周囲を巻き込み実現させる「実行力」だと学びました。貴社の「失敗を恐れず挑戦する」環境で、私の「逆算思考」と「巻き込み力」を試し、事業化の壁に挑みたいです。
<ポイント>
実行力の強調:企画職はアイデアだけでなく「実現する力」が重要であることを理解し、エピソードで証明しています。
困難の克服:うまくいかなかった状況をどう打開したかを描写し、ビジネスに必要なタフさを示しています。
事業視点:単なるイベント企画ではなく、関係者のメリットを調整するビジネス的な視点を持っています。
技術職
<落ちる例文>
私は大学で情報の授業を受け、プログラミングに興味を持ちました。貴社はIT企業として有名で、技術力も高いので志望しました。私はまだ専門的な研究はしていませんが、新しい技術を学ぶ意欲はあります。インターンシップでは、最新の技術に触れ、エンジニアの働き方を知りたいです。また、自分の適性を確認する場にしたいと考えています。
<受かる例文>
「技術の力で社会課題を解決する」エンジニアを目指し志望します。私は大学院で、AIを用いた画像診断支援システムの研究を行っています。特に、精度の高さだけでなく、医師が直感的に理解できる説明可能性(XAI)の実装に注力してきました。この過程で、技術は現場の運用に即してこそ真価を発揮すると実感しました。貴社は高度なR&Dと社会実装の実績を両立しており、私の目指すエンジニア像と合致します。インターンでは、研究で培った「仮説検証力」を活かし、実社会の複雑な課題に対する技術的なソリューション提案に貢献したいです。
<ポイント>
専門性の提示:具体的な研究内容とその意義(社会実装・現場運用)を語り、即戦力性を感じさせています。
技術と社会の接続:技術そのものだけでなく、それがどう社会で使われるかという視点を持っています。
研究スタイルのアピール:仮説検証や実装へのこだわりなど、エンジニアとしての思考プロセスを伝えています。
事務職
<落ちる例文>
私は人をサポートすることが好きで、事務職を志望しています。サークルではマネージャーとして、練習の準備や記録係を担当しました。貴社は安定しており、長く働ける環境があると思います。私は真面目でコツコツ取り組む性格なので、事務の仕事に向いていると思います。インターンシップでは、社員の方々のサポート業務を通じて、会社の役に立ちたいです。
<受かる例文>
組織の基盤を支え、事業の最大化に貢献する「攻めの事務」を担いたいです。私は吹奏楽団の運営幹部として、会計改革に取り組みました。従来の非効率な集金方法を見直し、デジタルツールを導入することで、会計作業時間を50%削減し、練習時間の確保に繋げました。この経験から、バックオフィスの改善が組織全体のパフォーマンス向上に直結すると学びました。貴社は少数精鋭で事務系社員にも高い裁量権があります。本インターンでは、私の「課題発見力」と「改善実行力」を活かし、事業成長を加速させる管理部門の在り方を学びたいです。
<ポイント>
主体的な事務像:「サポート」だけでなく、自ら改善し組織に貢献する「攻め」の姿勢を示しています。
定量的な成果:業務改善による具体的な効果(時間削減など)を示し、実務能力の高さをアピールしています。
役割の理解:事務職が組織全体のパフォーマンスにどう影響するかを理解しています。
マーケティング職
<落ちる例文>
私は貴社の商品が大好きで、もっと多くの人に広めたいと思いマーケティング職を志望しました。SNSを見るのが好きで、流行には敏感です。貴社の広告はいつも素敵で、私もあんな広告を作ってみたいです。アルバイトでは、お客様にお勧めの商品を紹介して喜ばれました。インターンシップでは、マーケティングの基礎を学び、アイデアを出してみたいです。
<受かる例文>
「顧客インサイトを起点とした市場創造」を学びたいです。私はWebメディアの長期インターンで、記事のPV数向上に取り組みました。当初は流行のキーワードを追うだけでしたが、読者アンケートを分析し「潜在的な悩み」に焦点を当てた企画に転換した結果、検索順位1位を獲得し、サイト全体の流入増に貢献しました。この経験から、データと感性の両面から顧客を深く理解する重要性を学びました。貴社は徹底した顧客視点でロングセラー商品を生み出し続けています。本ワークでは、私の「分析力」を活かし、論理に基づいた戦略立案に挑みたいです。
<ポイント>
プロセスへの言及:結果だけでなく、データ分析やインサイト発掘といったマーケティングの具体的なプロセスを経験しています。
論理と感性:SNSが好きという感性だけでなく、分析や戦略といった論理的な側面もアピールしています。
再現性:インターンでの成功体験が、企業のマーケティング業務でも再現可能であることを示唆しています。
【理由別】志望動機の例文
「企業理念」「社風」「商品」「制度」など、何に魅力を感じたかによって志望動機の切り口は変わります。ここでは、それぞれの志望理由に説得力を持たせるためのロジック構築と、具体的な例文を紹介します。どの理由であっても、「自分自身の経験」と紐づけることが重要です。
企業理念への共感
<落ちる例文>
私は貴社の「お客様第一」という企業理念に強く共感しました。私もアルバイトで接客をしており、お客様のために行動することを大切にしているからです。貴社のように素晴らしい理念を持つ会社で働きたいと強く思いました。インターンシップでは、その理念がどのように現場で実践されているのかを見学し、社員の方々の想いを聞きたいです。
<受かる例文>
貴社の掲げる「挑戦と創造」という理念に、私の価値観が重なるため志望します。私は高校時代、廃部寸前の演劇部を立て直すため、従来の公演形式を打破し、観客参加型の演出を取り入れるという「挑戦」を行いました。批判もありましたが、結果として満員の観客を動員し、新たな価値を「創造」する喜びを知りました。この原体験があるからこそ、常に変革を続ける貴社の姿勢に深く共感しています。本インターンでは、理念がお題目に留まらず、実際のビジネス現場でどう意思決定の軸となっているのかを体感したいです。
<ポイント>
原体験とのリンク:理念の文言をなぞるだけでなく、自身の過去の行動(演劇部の改革)がその理念と合致していることを証明しています。
共感の深さ:「良い言葉だから共感した」ではなく、「自分の人生のテーマと同じだから共感した」という必然性を伝えています。
実践への関心:理念が現場の意思決定にどう反映されているかを知りたいという、ビジネス的な視点を持っています。
社風・社員の人柄
<落ちる例文>
説明会でお会いした社員の方々がとても優しく、楽しそうに働いている姿を見て、貴社を志望しました。アットホームな雰囲気に魅力を感じています。私は人と関わることが好きなので、貴社のような温かい職場で働きたいです。インターンシップでは、さらに多くの社員の方とお話しして、会社の雰囲気に馴染めるか確認したいです。
<受かる例文>
「個を尊重し、チームで成果を最大化する」貴社のカルチャーに惹かれ志望します。私は大学のゼミ活動で、意見が対立した際に、妥協せず徹底的に議論を尽くすことで、より質の高い研究成果を出した経験があります。この経験から、真のチームワークとは仲の良さではなく、互いに高め合う関係性だと考えています。OB訪問で貴社の社員様が「若手の意見でも論理的であれば採用される」と語る姿に、私が求める環境があると確信しました。インターンでは、多様なバックグラウンドを持つ仲間と議論を戦わせ、共創による価値創出に挑戦したいです。
<ポイント>
社風の再定義:「優しい」「アットホーム」といった表面的な言葉ではなく、「個の尊重」「切磋琢磨」といった、仕事における関係性の質を評価しています。
情報源の提示:OB訪問など、具体的な行動を通じて社風を感じ取ったことを示しています。
自身の適性:自分自身も議論や共創を好む人間であり、そのカルチャーにフィットすることを原体験で裏付けています。
商品・サービスへの魅力(まちづくり等)
<落ちる例文>
私は貴社が開発した街の雰囲気が大好きで、よく遊びに行きます。洗練されたデザインや、便利な施設がたくさんあるところに魅力を感じています。私もあんな素敵な街をつくる仕事に関わりたいと思い、志望しました。インターンシップでは、街づくりの裏側を見学し、開発の苦労話などを聞いてみたいです。
<受かる例文>
ハードとソフトの両面から「人の営みを豊かにする空間」を創出したいです。私は建築学科で都市計画を学ぶ中で、建物単体ではなく、そこで過ごす人々のコミュニティ形成が街の価値を決めると気づきました。貴社の開発プロジェクトは、竣工後のエリアマネジメントに注力し、地域住民と共に街を育てる姿勢を貫いている点に強く惹かれます。本インターンでは、私の強みである「生活者視点での観察眼」を活かし、単なる開発に留まらない、持続可能な賑わいを生むための仕掛けづくりを学びたいです。
<ポイント>
ユーザー視点からの脱却:単なる利用者としての「好き」から、提供者としての「なぜその空間が価値を持つのか」という分析視点に切り替えています。
専門的な関心:都市計画の学びなど、アカデミックな背景や専門的な視座を持っていることを示しています。
事業の本質理解:建物を作るだけでなく、コミュニティ形成や運営(エリアマネジメント)が重要であるという事業の本質を突いています。
評価制度・実力主義(自己成長)
<落ちる例文>
私は早く成長したいと考えており、貴社の実力主義の制度に魅力を感じました。若いうちから裁量権を持って働ける環境で、自分の力を試したいです。負けず嫌いな性格なので、競争のある環境の方が頑張れると思います。インターンシップでは、優秀な学生と競い合いながら、自分の実力がどこまで通用するか挑戦したいです。
<受かる例文>
「圧倒的なスピードで専門性を磨き、市場価値の高い人材」になりたいです。私は長期インターンでWeb営業に従事し、毎月の厳しいノルマを達成するために、自身のトークを録音・分析し、PDCAを回し続けた結果、半年でリーダーに昇格しました。この経験から、高い目標と公正な評価こそが人を成長させると確信しています。貴社の「年齢に関係なく成果を正当に評価する」環境は、私のこの志向に合致しています。本ワークでは、ハイレベルな課題に対して、自身の「成果への執着心」を武器に、妥協のないアウトプットを出し切りたいです。
<ポイント>
成長意欲の具体化:漠然と「成長したい」ではなく、どうなりたいか、そのために過去どう努力してきたかを示しています。
ストイックな姿勢:PDCAを回す、録音して分析するなど、成長のための具体的な行動習慣を持っていることをアピールしています。
Win-Winの関係:自分が成長することで企業に成果をもたらすという、健全なギブアンドテイクの精神が見えます。
教育制度・スキルアップ
<落ちる例文>
貴社は研修制度が充実しており、一から丁寧に教えていただけると聞きました。私は文系出身でITの知識はありませんが、貴社の教育カリキュラムなら安心して働けると思いました。入社後は研修でしっかり学び、早く一人前になって会社に貢献したいです。インターンシップでも、いろいろなことを教えていただきたいです。
<受かる例文>
貴社の充実したナレッジ共有の文化を活用し、早期にプロフェッショナルとして貢献したいです。私は大学でプログラミングを独学した際、オンラインコミュニティで知見を共有し合うことで学習効率が飛躍的に高まることを経験しました。貴社は個人のスキルを組織全体知として蓄積する仕組みが整っており、私の「自ら学び、周囲に還元する」スタンスと親和性が高いと感じます。本インターンでは、受け身で教わるのではなく、社員の方々の思考プロセスを貪欲に吸収し、最終日には社員の方を唸らせる提案ができるよう挑戦したいです。
<ポイント>
自走力の提示:「教えてもらう」のではなく、自ら学ぶ姿勢(独学経験など)があることを前提にしています。
還元の視点:教育を受けるだけでなく、得た知識を共有・還元することで組織に貢献するという視点を持っています。
制度の解釈:制度を「安心材料」ではなく、「成長を加速させるツール」として捉えています。
志望動機を書く前の準備
志望動機の質は、書く前の準備で決まると言っても過言ではありません。成田さんの経験上、評価されるESの共通点は、深い「自己理解」と「企業理解」が接続されていることです。ここでは、志望動機作成の土台となる2つの準備について解説します。
自己分析で「就活の軸」を定める
志望動機を作成する第一歩は、自己分析による「就活の軸」の確立です。「仕事を通じて何を実現したいか」「どんな価値観を大切にしたいか」を言語化しましょう。
この軸が定まっていないと、志望動機に一貫性が生まれません。独自の背景に基づいた「譲れない軸」を持つことで、どの企業に対しても説得力のある志望動機が書けるようになります。
▼自己分析については以下の記事で詳しく解説しています。
自己分析を深める11のやり方目的・注意点・活用方法まで完全ガイド
企業研究で「求める人物像」との接点を探す
「就活の軸」が定まったら、次は企業研究を通じて「企業の求める人物像」との接点を探します。
企業の採用サイトやインターンシップ情報には、大切にしている価値観が明記されています。自分の強みや価値観を、企業の言葉に合わせて接続することで、「この学生は自社に合う」と直感させることができます。
▼企業研究については以下の記事で詳しく解説しています。
社会人が教える企業研究!企業研究の方法とは
志望動機が思いつかないとき・企業の志望度が低いときの対処法
どうしても志望動機が思いつかない場合は、まず「なぜなんとなく良いと思ったのか」を深掘りする「なぜなぜ分析」が有効です。直感を言語化することで、隠れた志望理由が見えてきます。
また、IR情報(投資家向け情報)や転職サイトの企業ページを活用して、企業の強みや将来性をリサーチするのも一つの手です。実際の業務スキルと自分の経験(エピソード)との接点を無理やりにでも見つけ出し、「現場で求められる力」と「自分が持っている力」を合体させることで、短時間でも説得力のある志望動機を作成できます。
よくある質問
就活のサポーターとしてよく聞かれる質問や、en-courage利用者へのインタビューで出てきた疑問への回答をご紹介します。
文字数はどのくらい書くべき?
指定がない場合は200〜300文字程度が目安です。指定がある場合は9割以上を埋めるのがマナーですが、多すぎても要点がぼやけます。
適切な分量や構成に迷う場合は、自己判断せず、就活のプロ(就活エージェント)に相談して、客観的なアドバイスをもらうことをおすすめします。
志望動機が全く思いつかないときはどうすればいい?
「なぜなぜ分析」や企業比較を行っても志望動機が浮かばない場合、自己分析や企業理解が不足している可能性があります。
一人で抱え込まず、就活のプロ(就活エージェント)に相談しましょう。第三者の視点から、あなた自身の隠れた強みや、企業との接点を見つけ出してもらえます。
「御社」と「貴社」の正しい使い分けは?
書類上では「貴社」、面接などの話し言葉では「御社」を使います。銀行は「貴行/御行」など業界ごとの違いもあります。
こうした細かいマナーに不安がある場合も、就活のプロ(就活エージェント)に相談すれば、添削を通じて正しい言葉遣いを指導してもらえます。
他社の志望動機を使い回してもいい?
完全な使い回しは「志望度が低い」と見抜かれるためNGですが、「就活の軸」や「自己PR」の部分は共通していても構いません。
効率的に企業ごとのカスタマイズを行う方法については、就活のプロ(就活エージェント)に相談し、質の高い志望動機を短時間で作成するコツを学ぶと良いでしょう。
監修:成田 駿
元日系大手人事/就活サポーター
日系大手事業会社で最年少部長に就任し、新卒採用に5年以上従事。戦略設計からイベント企画、選考フロー、研修まで新卒採用の入口から出口までを幅広く担当し、延べ3,000名以上の学生と接点を持つ。人事業務以外でも累計2,000名以上の就活生を個別に支援し、大手・外資・メガベンチャーなど多様な企業への内定実績を誇る。
協力:NPO法人en-courage
全国約120の大学に支部を展開し、就活生を対象としたキャリア教育支援を行うNPO法人。独自にイベントやメディアを多数運営し、年間2,500件以上のセミナーを開催。企業と学生の間に年間約80万回の接点を創出するなど、国内最大級の規模で活動している。すべての就活生が本質的なキャリアを通じて人生を最大化できるよう、個別支援やコミュニティづくりを通じたサポートを目指している。