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インタビュー
2018/11/27

日本を代表するベンチャーキャピタル、ジャフコ 高原氏が語る「起業家に学ぶキャリア観・仕事観」

名だたる企業の経営者が一堂に会し、1,500人の就活生に講演を行うイベント”en-courage Career Theater”。 今回は、株式会社ジャフコ、高原瑞紀氏の講演内容をご紹介いたします。
日本を代表するベンチャーキャピタル、ジャフコ 高原氏が語る「起業家に学ぶキャリア観・仕事観」

ベンチャーキャピタル、ジャフコとはどういう会社か?

高原:みなさん、こんにちは。株式会社ジャフコの高原と申します。今日は「起業家のマインドセット」について、お話をさせていただこうと思っています。

まずはじめに、この中で株式会社ジャフコという会社を知っているという方、どれくらいいらっしゃいますでしょうか?

(会場の参加者が挙手)

ほぼ、手が上がらないですね。実は私も就職活動をするまでは知りませんでした。

ジャフコは何をやっている会社かというと、ベンチャーキャピタルという仕事をしております。

これから社会を変えていきたい、新しい産業を作りたい、会社を大きくしたいというスタートアップを探し、出資をして成長のサポートをさせていただく会社です。

私達はファンドを通じて将来有望な企業に投資をすることで、それらの会社が成長して株式上場や事業売却した時に株式を売却し、収益を上げています。

ジャフコは1973年創業で、現存しているベンチャーキャピタルの中で実は一番古いんです。これまで約4,000社への投資をしてきましたが、その中の約1,000社が株式上場を果たしました。
今日は京都からお越しいただいている学生さんが多いと聞いています。京都の企業ですと、古くはロームや日本電産などにも投資をさせて頂いてました。

最近では、HIKAKINで有名なUUUM、この中の多くの方がアプリを使っているであろうGunosyなども投資後に成長して上場された会社です。

起業家に学ぶ、キャリア観・人生観

高原:ここで、簡単に自己紹介をさせていただきます。私は大阪生まれの大阪育ちで、同志社大学を卒業しました。2010年に新卒でジャフコに入社してから8年間、名古屋にある中部支社で投資の仕事に携わっていました。

今年3月に地元の大阪に戻り、関西支社で引き続きスタートアップの投資や、成長支援の仕事をさせていただいています。

ジャフコに入社してから8年の間に、数百人の起業家とお会いしてきました。いろいろとお話させていただく中で、起業家の方々の「仕事の仕方」や、大げさにいうと「人生観」に触れることができて、私自身のキャリア観も大きな影響を受けました。

今日はぜひ起業家の方々の「仕事観」や「マインドセット」をシェアしたいと思っております。これから就職活動を行われる皆さんの、会社選び、仕事選び、そしてキャリアに、少しでも参考になれば幸いです。

本日は大きく3つのポイントに絞って、お話をさせていただきます。

ポイント1:起業家の原動力は「原体験」

高原:そもそも起業家はなぜ起業するのか? 実は答えはとてもシンプルで、「その事業をやりたいから」なんですね。

起業家は、大なり小なり事業に結びつく「原体験」というものを持っています。その原体験こそが起業家が今日、この日も事業をやっている根本的な理由だと私は思っています。この強烈な原体験があるからこそ、それが原動力となり、困難を乗り越えていけるんですね。

事例をご紹介したいと思います。名古屋にある「ユニファ」という会社です。私が名古屋にいる時に投資させて頂きました。数年前、最初に訪問したのは、名古屋にある小さな小さなシェアオフィスの一室でした。社員は社長お一人。

最初にご経歴を尋ねると、大手の総合商社に入られて、その後複数の外資系のコンサルティングファームで事業再生などを手掛けてこられた、いわゆるエリートといえるビジネスパーソンでした。

私はとても不思議に思ったんですね。「なぜこの人は、そのキャリアを捨てて、起業という道を選んだのだろうか」と。

その疑問をぶつけると、社長は「お恥ずかしい話なんですが」という前置きをされたうえで、ご家庭の話をしてくださいました。長時間仕事をされる一方で、結婚やお子様の誕生があって、ワークライフバランスに悩まれる日々が続いていたと。

そんな状況のなか、もがき苦しんで出したのが、「自分が一番大事にしているのは、家族のコミュニケーション」という結論だったそうです。

であるならば、今のキャリアは自分には合っていないから、自分で事業を作ろうと考え、これまでのキャリアを捨てて起業した。それがそもそもの出発点なんですね。

そして、この原体験に基づいて作ったのが、保育園で撮られる日常的な写真をインターネットで販売するという事業です。現在、約2000施設が使っていて、業界大手にまで成長しました。またその後、写真販売事業で見えてきた保育園の課題にフォーカスしたサービスをローンチし、高い評価を受けています。昨年、第1回スタートアップワールドカップに、日本代表として選抜されて見事優勝されました。

ここまで大きく成長しましたが、社長は今でも起業にあたっての原体験を鮮明に覚えていらっしゃって、それを大事にしながら会社を経営されています。起業家を突き動かす原動力は原体験という、わかりやすい例です。

皆さんは、好きな仕事を選ぶ「原体験」が何かありますでしょうか。キャリア選びの際には、ぜひ考えてみてください。

ポイント2:日々、小さな努力ができる「継続力」

高原:次に2つめのお話ですが、原体験とは車でいうとエンジンです。ただ、いくらエンジンとなる思いがあっても、それだけでは成功するとは限りません。エンジンを動かすためにはガソリンが必要だからです。

よく聞かれる質問があります。「どういう会社が成功しますか?」というものです。大変難しい質問なのですが、答えの一つは「継続力」だと思っています。

日々、手を抜かずに小さな努力をしっかり続けられる人こそ、そこに原体験が相まって、はじめて成功に結びつくのだろうと。「日々の小さな努力を怠らない人は、ふいに訪れるチャンスを必ずつかめる」、多くの起業家にお会いして感じたことです。

これについても事例をご紹介したいと思います。ユニフォームネクストという会社です。馴染みがない方も多いと思いますが、飲食店などで着るユニフォームを販売する、福井県にある会社です。現在の社長は2代目で、約10年前に家業を継がれました。

2代目に就任した際、社長はどうすれば会社が成長するかを考えたのですが、その中でヒントになったのがランチェスター戦略というものだったそうです。ランチェスター戦略というのは、イギリス発祥の軍事戦略で、転じて経営戦略になったのですが、あまり事業を手広くやらずに特定の分野で高いシェアをとりにいきましょうという戦略です。

もともと他の事業も手掛けられていたんですが、全部たたんでユニフォームの販売に集中することに決め、新たにインターネット販売に取り組みました。つまり、ユニフォームとECの掛け算1本で事業を成功させようという戦略に変更したのです。

社長はそこからの約10年間、地道にこれを守り続けています。事業が成長してくると、どうしても他の事業もやりたくなるのが経営者の性ですが、その誘惑を一切断ち切ってひたすらランチェスター戦略を守って、継続し続けてきたわけです。

この社長は他にも続けていることがたくさんあって、例えば、毎日ブログを書きます。小さな気づきも含めて、社員に向けた内容もあれば、クライアントに向けた内容もありますが、ほぼ欠かさず毎日書かれています。

他にも、初めてお会いした方には翌日自筆の手紙を書いて送るということも欠かさず実践されています。私もいただきました。また、毎朝全社員で朝礼をするなど、一つひとつを見るとささやかなことに聞こえますが、その小さな取り組みを、目的意識を持って、続けられるというのは、実はものすごく精神力が問われることで、やり続けられる人はなかなかいません。

それで、この会社がどうなったかというと、2代目が社長を継いでから10年強、毎期、増収増益を続けています。昨年、それが実を結び、福井県初のマザーズ上場企業になりました。

「継続する力」がいかに大事なことなのか、20代でこの社長と仕事をさせていただき実感したことです。

これも、皆さんがこれから社会に出る上で、すごく参考になるポイントではないかと思います。

ポイント3:優れた起業家に共通する「人を惹きつける力」

高原:3つめのポイントとして、優れた起業家に共通することがあります。それは「人を惹きつける力」です。事業は社長一人では限界があります。いいチームを作ること、いいビジネスパートナーをきちんと獲得していくこと、これらは会社が成長するための必要条件だと思います。

人が自然と寄ってくる起業家というのは、自分の思いをストーリーとしてストレートに表現できて、かつ相手に伝わる言い方できちんと共感させる力がある方です。魅力的な起業家とお会いするたびに感じます。

それはどうしてなのかと考えると、特別な訓練を受けたということではなく、社長がどうしてもこの人を口説いてうちの会社に入れたい、どうしてもこの商談をまとめたいという思いがあるから、そういうお話の仕方になるのだと思います。

ここでもうひとつ事例です。名古屋にMTGという会社があります。この会社はとても有名で、クリスティアーノ・ロナウドと一緒に「シックスパッド」という商品を売っている会社です。

この会社の凄いところは、従業員と社長との結びつきが非常に強いということです。1996年創業のMTGは、20年ほど続いている会社ですが、創業メンバーの大半が社内に役員として残っています。

会社のこれまでの苦労や、成長過程をしっかりと社員に語ることができる創業者が、社長のみならず大勢残っているんですね。現在は社員約1500人の会社にまで成長していますが、大家族主義で非常に強い会社になっています。これも社長の人柄、魅力がなせるわざだと思います。

いろいろお話をしてきましたが、今の常識というのは、10年後は間違いなく常識ではなくなっていると思います。会社と個人の関係もそうだと思っています。もともと日本は家族経営に端を発し、会社があって、組織があって、その延長線上に個人があるという価値観でしたが、間違いなく逆になると思っています。個人があってその延長線上に組織・会社があると。

個人にフォーカスが当たる時代、を言い換えると、状況は自分次第でどうにでも変えられる時代ということだと思います。ひとつの会社に勤めないといけない理由はないですし、どんどん副業も解禁されるでしょうし、いろんな働き方が認められるようになると思います。

そのような社会で活躍するのはどんな人材なのか。今日は起業家の話をしましたが、大企業で働こうが、スタートアップで働こうが、自分の意思を持って行動できる人、そこで自分の努力を継続できる人、そういう人がこれからの社会で活躍するのではないかと思っています。

今日は私が起業家の方々とお会いする中で知った、3つのポイントについてお話をしてまいりました。

今日お集まりのみなさん、これからいろいろな会社を見られると思いますが、この話が少しでもみなさんの参考になればうれしいですし、いつの日かみなさんと一緒に仕事ができる日がくれば素敵だなと思います。短い時間でしたが、本日はありがとうございました。

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