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新卒4年目でベンチャー企業の役員になった男はどんなことを考えて就活をしていたのか

”想いを持ったキャリア選択をしてほしい”この合言葉で集まった社会の第一線で活躍するトップランナーたち。彼らが"志"や"想い"を遺憾なく語ったcareer theaterで、中でも人気を博した、レバレジーズ株式会社藤本氏の講演を記事化。本記事では、新卒でレバレジーズに入社し、4年目で執行役員に抜擢された藤本氏のキャリア論をお伝えします。

創業15年で年商449億円。圧倒的な成長率を誇るベンチャー企業

みなさんこんにちは。レバレジーズ株式会社執行役員の藤本と申します。

本日は、「新卒4年目でベンチャー企業の役員になった僕が、どんなことを考えて就活をしていたのか」というテーマでお話ししようと思います。

まず、レバレジーズについて簡単に説明させてください。

レバレジーズは、創業15年目で年商449億円(2020年3月時点)まで成長しており、手前味噌ですが成長率は日本でトップクラスに近い会社だと思っています。昨年本社を渋谷スクランブルスクエアに移転し、これから更に事業成長を加速させる予定でして、日本を代表するメガベンチャーへと王手をかけています。

また、日本における働きがいのある会社ランキングで、3年連続ベストカンパニーを受賞し、特に女性部門では日本第3位(※2020年)に選ばれており、社員が非常に前向きに働いている会社であると自負しています。 就活生の間では、ワンキャリアの就活口コミアワード「参加してよかったインターンシップランキング」で第5位(※2019年)をいただき、新卒採用にも力を入れています。

私自身は、2014年に新卒でレバレジーズに入社し、1年目で新規事業責任者、2年目で事業部長、4年目にレバレジーズ初の執行役員就任というキャリアを歩んできました。

事業づくりがキャリアの中心になりますが、レバレジーズが500名から1,100名になるまでの人事の責任者も務めてました。本日はよろしくお願いします。

「仕事をしなくても生きられる」時代で、何を選択するべきか

それでは、これから今日の本論に入りますが、はじめに「自分の人生において、何に時間を使っていくかをしっかり考えることが重要である」ということをお伝えしておきたいと思います。

正直、仕事をしなくても生きていられます。そもそも大学に行かなくてもいいですし、大学を卒業したら絶対に就職しなくて良いのに、それでも仕事をするという選択をする理由を考えてみてほしいです。

というのも、自分のやりたいことをやっている方が、人生が豊かになると思っているからです。

就職活動を始めると、「自分の強みを活かせる会社に行きたい」とか「自分の研究内容を活かしたい」という方も多いですが、「強みを活かせること」が、「自分がやりたいこと」と必ずしも一致するとは限りません。

大体の仕事は10年続ければうまくなることが多いので、今は「苦手なこと」でも、10年続けて得意になるのなら、「やりたいこと」を選んだ方がいいです。

仕事をしなくても生きられる時代に、わざわざ仕事をするという選択をするのであれば、「将来何がしたいのか」「何に自分の時間を使うのか」をしっかり考えた上で、自分の人生の選択をしていただきたいなと思います。

大阪大学の理系学生が、新卒でベンチャー企業に入社することになった3つのきっかけ

前置きが長くなりましたが、ここからは、僕がどのように「やりたいこと」を見つけていったのかお話ししていきます。

僕は大阪大学の工学部出身で、大学院進学後に推薦をもらった企業に就職することが当たり前の環境でした。

そんな環境下で僕は学部生で就職活動をして、外資系の戦略コンサルや大手企業の内定をもらいながらもレバレジーズというベンチャー企業を選びました。

僕が就職活動をしていた10年前は、ベンチャー企業に就職する人はほとんどいなかったので、研究室の教授にベンチャー企業に入社することを伝えたら、「何考えているんだ」と反対されるくらいでした。

当時珍しい意思決定ができたのも、大学入学当初から自分のキャリアについてを考えていたことが大きく影響しています。

大学在学中、家から大学までの通学時間が非常に長かったので、電車の中で経済学や心理学、経営学など幅広い分野の本を読んでいたのですが、それらを勉強していくうちに、非常に将来が不安になってきました。

現在と比べて、僕たちの両親の時代は日本経済の調子がよかったので、人と同じように仕事をしていたら給与がもらえて、自然と生活が豊かになりました。

しかし僕たちの時代は、みなさんご存知の通り経済の調子が悪いので、人と同じように仕事をしていても豊かな生活は送れません。それまでの僕は、親世代の価値観を見ながら生きていたので急に危機感が芽生え、将来を真剣に考えるようになりました。

そうすると、自分の選択を決定づける3つの大事な経験が思い浮かんだんです。

1つ目は、予備校の責任者の経験です。

僕は大学1年生から、大手予備校の国内最大規模の校舎で約1,000人の生徒と、50人のスタッフを統括していました。

自分が頑張ることで人の人生が変わったり、自分のサポートで生徒の将来の可能性が広がったりすることがすごく面白くて、自分が頑張った分だけ誰かの人生に影響を与えられることにやりがいを感じていました。

2つ目は、アメリカ人研究者との出会いです。

大学生時代は熱心に研究をしていて、2年生の頃から論文を書いていました。その際にアメリカの研究者と話す機会があり、アメリカでは10年前から、優秀な学生はベンチャー企業に就職したり、大学卒業後すぐに起業したりしていることを知りました。

当時の日本では、当たり前のように大手企業に就職する人が多く、起業する人やベンチャー企業へ入社する人はほとんどいなかったので、日本とアメリカの学生の生き方の違いに衝撃を受けました。

みなさんご存知の通り、現在の世界時価総額ランキングの上位はGoogleやFacebookのようなベンチャー企業が占拠しています。アメリカが不況だった30〜40年前、その状況を打破できたのは、国の柱となる産業が、メーカーや金融からITにシフトしたからです。

そしてその背景には、「新しいものを創って世の中を変えていく」という高い志を持った優秀な若者が新産業にチャレンジしていったことがあります。

そのため、アメリカの学生は新産業でチャレンジすることを魅力的に感じていたのです。

それで僕も「旧産業に入って、産業とともに衰退していくキャリアを歩むより、新しい産業を自ら切り開いていきたい」という思いを持つようになりました。

これからみなさんが就職活動を通して出会う仕事も、大きく旧産業と新産業の2つに分けられますが、それぞれの産業でミッションは異なります。

旧産業は昔からある産業ですが、現状はマイナス成長気味なので、この状況をプラスに変えていくことがミッションです。一方で新産業は、ITのように新しく出てきた産業を次の国の柱にすることがミッションになります。

僕の場合は、新産業で新しいサービスを生み出して人の生活を豊かにしていくことで、社会に貢献したいと考えていました。

3つ目は祖父の死です。

僕の家系は、一族全員が三菱系列で働いていて、唯一祖父だけが起業家だったんです。

幼い頃から、一族の誰よりも祖父が仕事を楽しそうにしている姿を見ていましたが、一番違いを感じたのは祖父のお葬式の時でした。

大手企業に勤めていた叔父の葬儀には、同じ部署の人が100人程度参列していたのに対して、たった20人規模の会社を経営する祖父の葬儀には2,000人もの関係者が参列していたんです。

そして、参列されたみなさんは口を揃えて「あなたのおじいちゃんがいたからうちの街が変わって生きやすくなったよ」とおっしゃっていたんですよね。そんな風景を見て、祖父のように「自分がいたから世界が変わった」と言われる人生を歩みたいと思ったんです。

それから、「自分が生きた地球と生きてなかった地球に、何かしらの差を生み出せる生き方をしたい」と思うようになりました。

これら三つの経験を思い返して、最終的に新産業での事業家を目指すキャリアを選択しました。

僕が就職活動をしていた当時、ちょうどクックパッドやiPhoneが誕生し、主婦やサラリーマンの生活が大きく変わった時代だったので、自分も新しい産業で世の中を変えるサービスや事業を作ることで、世界に貢献していきたいと思ったんです。

起業か社内起業か。世界を変えるために選んだ道とは

事業をつくる環境として、僕は起業ではなくあえて「社内起業」を選択しました。

起業の道を選んでも世界を変えることはできますが、資源や人など、サービスをつくるために必要となるリソースを十分に確保するには、どうしても時間がかかってしまいます。

僕は、出来るだけ早く、そして大きく世界を変えたかったので既にリソースが揃っている環境である「社内起業」を選びました。

そのような軸で就職活動をして、最終的に選んだのがレバレジーズでした。

当時から様々な業界にどんどん事業を展開していこうというスタンスが魅力的でしたが、意思決定する決め手となったのは、1年目からでも事業を作れる環境があり、新卒が活躍していることでした。

実際に入社すると、早速「レバテックアカデミー」というエンジニア向けプログラミングスクールの新規事業を任されました。しかし、8年前ということもあり全然ニーズがなくて、3ヶ月で潰してしまったんです。

その悔しさをバネにして、次にチャレンジしたのが「teratail」というエンジニアのプラットフォームサービスで、現在月間120万人ものエンジニアが使うサービスに成長しました。

他にも、美容系メディア、M&A、難病患者向けシステムなど多くのサービス開発に関わり世の中の数百万人単位に貢献できているのではないかと思っています。

このように、僕は単純にやりたいことだけを考えて、やりたいと決めたことをやりきるキャリアを歩んできました。

僕の場合、「事業をつくること」でしたが、それがパンをつくることでもサッカーをすることでも何でも良いんです。

やりたいことをやってるのが一番健全な姿ですし、人は若いときのほうが成長するので、ファーストキャリアから自分のやりたいことを全力でやりきることで、良いキャリアを作れるのではないかと思っています。

最後に、これから就職活動を始める皆さんにメッセージをお伝えします。 お話してきた通り、皆さんが生きる時代の日本経済は調子がよくありません。だからこそ、これまで正しいとされていた生き方ではなく、自分で変革を起こしていかなければいけません。

どうか、前向きに自分のやりたいことに挑戦して、僕たちと一緒に良い世の中を創っていってくれたら嬉しいです。

ありがとうございました。