「自己分析って、結局何から手をつければいいの?」「自分の本当の強みがわからず、自己PRが書けない」。こうした声は、en-courageに寄せられる就活生のリアルな悩みです。
そんな悩みを解決すべく、本記事では日系大手企業の元人事で、現在en-courageで就活サポーターを務める成田さんが、客観的に自分を理解するための「自己分析ツール」を徹底解説。大手就職サイトが提供する信頼性の高いツールから、登録不要で気軽に試せるものまで、厳選した20個のツールを網羅的にご紹介します。
さらに、あなたの目的や状況に合わせたツールの選び方から、診断結果を自己PRや志望動機へ昇華させる具体的な活用法まで、この記事一つで全てがわかります。もう自己分析で迷わない、確かな一歩を踏み出しましょう。
自己分析ツールの概要
そもそも自己分析とは
就職活動における自己分析とは、自身の長所や短所、価値観などを正確に理解し、言語化する作業のことです。これまでの経験や考え方を振り返って整理することで、自分だけの「企業選びの軸」を明確にします。自己分析は、自分を効果的にアピールするための土台作りであり、数多くの企業のなかから自分に合った一社を見つけ、説得力のある自己PRや志望動機を作成するための重要な第一歩といえるでしょう。
▼自己分析の定義や目的、メリット、やり方などは以下の記事もご参照ください。
自己分析を深める11のやり方目的・注意点・活用方法まで完全ガイド
自己分析ツールとは
自己分析ツールとは、Webサイトやアプリなどを通じて、自身の性格や価値観、強み・弱みなどを客観的に把握できる診断サービスです。多くのツールは質問形式で、回答結果をもとに多角的な分析が行われます。
就職活動や転職活動で自己理解を深めるために利用されることが多く、自分では気づかなかった新たな側面を発見するきっかけにもなるでしょう。無料で手軽に利用できるものも多く、客観的な視点を取り入れることで、より具体性のある自己PRの作成に繋がります。
自己分析ツールを使う目的
自己分析ツールは、単なる性格診断としてだけでなく、自身のキャリアを考える上での長期的な指針を得ることを目的としています。多種多様なツールが存在し、それぞれが異なる角度から自己理解を深める手助けをしてくれます。これらのツールを活用することで、自分の価値観や適性を客観的に把握し、納得のいくキャリア選択に繋げることが可能です。
自己分析ツールのメリット
自己分析ツールを利用するメリットは多岐にわたりますが、主に以下の点が挙げられます。
- 客観的な自己理解の深化
- 効率的な業界・職種選び
- 説得力のある自己PR・志望動機の作成
- 無料で手軽に利用可能
最大のメリットは、自身の性格や価値観、適性を客観的な視点から理解できる点にあります。これにより、自分に合った業界や職種を効率的に見極められるようになるでしょう。
また、ツールを通じて強みや弱みが明確になるため、面接やエントリーシートで説得力のある自己PRや志望動機を作成しやすくなることも大きな利点です。多くのツールが無料で利用でき、時間や費用をかけずに自己分析を進められる点も魅力といえます。
自己分析ツールのデメリット
自己分析ツールには多くのメリットがある一方で、利用する上での注意点も存在します。
- 診断結果に縛られ、視野が狭まる可能性
- ツールの信頼性や結果のばらつき
- 自己分析が浅くなる危険性
最も注意すべきは、手軽さゆえにツールをこなすこと自体が目的となり、診断結果を見て満足してしまうことです。ツールはあくまで自己分析の「きっかけ」にすぎません。診断結果を鵜呑みにするのではなく、それを基に「なぜその結果が出たのか」を自身の経験と結びつけて深掘りする作業が不可欠です。診断結果は客観的な視点の一つとして捉え、多角的に自己を理解する姿勢が大切です。
自己分析ツールの選び方
en-courageのキャリア面談では、「たくさんありすぎて、どの自己分析ツールを使えばいいかわからない」という相談が後を絶ちません。診断結果を就活で最大限に活かすためには、自分の目的や状況に合ったツールを選ぶことが不可欠です。
ここでは、成田さんが提唱する「最適なツールを見つける方法」について解説します。
実際のデータ(企業・求職者)に基づいているか
診断結果の信頼性を判断する上で、そのツールが実際のデータに基づいているかは重要な指標です。例えば、数万人規模の社会人データやAI技術を活用し、個人の価値観だけでなく「入社後の活躍可能性」まで予測するツールもあります。
企業で実際に働く人々のデータを基に分析されたツールは、より実践的で信頼性の高い自己理解に繋がるでしょう。提供元がどのようなデータを基にしているかを確認することも、ツール選びのポイントです。
単なる性格分析に留まらず向いている仕事がわかるか
自己分析ツールの価値は、単に性格を分析するだけでなく、その結果を「向いている仕事」という具体的なキャリアの選択肢に繋げられるかどうかにあります。診断結果を基に、活躍が期待できる職種や企業風土を提示してくれるツールを選びましょう。診断結果が自己満足で終わらないよう、具体的な求人情報と連携しているかどうかも、ツールを選ぶ上での重要な視点です。
診断の種類(適職診断・性格診断)
自己分析ツールは、主に以下の2種類に分けられます。
- 適職診断:個人の興味や価値観、スキルから向いている仕事や職種を具体的に示す。
- 性格診断:個人の性格や行動パターンを分析し、強みや弱み、コミュニケーションの特性を明らかにする。
適職診断は、具体的なキャリアの選択肢を探している場合に役立ちます。一方で性格診断は、自己理解を深め、自己PRの材料を見つけるのに適しています。自身の目的や就職活動の段階に応じて、これらのツールを使い分けることが重要です。
診断結果の網羅性
自己分析ツールを選ぶ際は、診断結果がどれだけ網羅的であるかも重要なポイントです。ツールによっては強みだけに焦点を当てるシンプルなものもあれば、性格や能力を細かく数値化し、克服すべき課題まで具体的に示してくれるものもあります。事前に診断結果のサンプルなどを確認し、自分の目的に合った詳しい分析が得られるツールを選びましょう。
利便性(登録不要・所要時間)
自己分析ツールを選ぶ際には、利便性も考慮すべき点です。会員登録が不要で、Webサイトにアクセスするだけですぐに始められる手軽なものもあります。また、設問数もツールによって様々で、数分で完了するものから、時間を要するものまで存在します。気軽に試したい場合は設問数が少なく登録不要のツールを、診断結果の精度を重視するなら設問数が多いツールを選ぶなど、自身の状況に合わせて選びましょう。
提供元の信頼性
自己分析ツールを選ぶ上で、提供元の信頼性は非常に重要です。運営元が不明確なツールでは、診断結果の信憑性に疑問が残ります。大手就職サイトや転職エージェントが提供しているツールや、長年の実績があり多くの利用者がいるツールは、比較的安心して利用できるでしょう。
おすすめの自己分析ツール
en-courageでは、毎年多くの就活を終えた学生たちに「後輩に勧めたい、本当に役立った自己分析ツールは?」というアンケートを実施しています。
今回はその調査結果の中から、特に多くの支持を集めたツールをリストアップしました。さらに、元人事である成田さんにそのリストを見てもらい、「これは診断の切り口が鋭く、自己PRにも繋げやすい」と太鼓判を押していただいたものを厳選してご紹介します。
アッテル診断
アッテル診断は、AIを活用し、10万人の社会人データを基に設計した信頼性の高い性格診断サービスです。わずか5分程度で、自身の隠れた才能や強み、思考の傾向、どのような環境で力を発揮できるかなどを分析できます。スマートフォンから手軽に受検でき、診断後すぐに結果を確認できるため、就職活動での自己PR作成や、自分に合った企業・職種を見つけるための指針として役立ちます。
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16Personalities
16Personalitiesは、個人の性格を16のタイプに分類する、世界的に広く利用されている性格診断ツールです。約12分で完了し、診断結果から自身の行動パターンや強み、適したキャリアの方向性を深く理解できます。その信頼性の高さから企業の採用選考で活用されることもあり、自分の性格を多角的に掘り下げたい人におすすめです。
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AnalyzeU+
AnalyzeU+は、オファー型就活サイト「OfferBox」が提供する自己分析ツールです。累計100万人以上の診断データに基づいた詳細な分析が特徴で、251問の質問に答えることで「社会人基礎力」など計28項目にわたる診断結果が得られます。他の就活生との比較(偏差値)も表示されるため、より客観的にアピールポイントを明確にしたい人に適しています。
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COLOR INSIDE YOURSELF
COLOR INSIDE YOURSELFは、生年月日と108の質問から約26万通りものパターンで性格や適性を分析する診断アプリです。診断結果がユニークなキャラクターとして表示されるため、楽しみながら自己分析を進められます。SNSでも話題になるほどの人気があり、自己PRの作成や志望企業との適性診断に活用できます。
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Future Finder
Future Finderは、心理学統計に基づいた本格的な自己分析ツールです。151問の質問に答えることで、性格を16タイプに分類し、「マッチする組織風土」や「得意な組織行動」といった企業選びに直結する実践的な能力を分析します。診断結果の信頼性が高く、自身の強みを活かせる企業を具体的に探したい人におすすめです。
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m-gram(エムグラム)
m-gram(エムグラム)は、世界で1,200万人以上が利用した実績を持つ、超精密な性格診断ツールです。105問の質問に約10分で答えることで、「感受性高め」といったハッシュタグ形式で自分を構成する8つの特徴的な性格を知ることができます。オリジナリティのある詳細な自己分析を求める人におすすめです。
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My Analytics
My Analyticsは、キャリアパークが提供する自己分析ツールで、36問の質問に答えるだけで適職から性格タイプまで診断可能です。診断結果として「理知的なエンジニア」のように、個人の性格的特徴と具体的な職種が掛け合わされて表示されるため、入社後にどのような強みを活かして活躍できるかをイメージしやすくなります。
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questi
questiは、「向いている企業」や「モチベーションの源泉」など、多様な角度から自己分析ができるツール群を提供しています。特に「自己分析ツール・就活編」は7つのテーマに分かれた10個の診断ツールで構成されており、それぞれ3〜5分で完了するため、スキマ時間を活用して多角的に自己理解を深められます。
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アカリク診断
アカリク診断は、大学院生の利用者が多い自己分析ツールで、社会で必要とされるスキルを定量的に分析できるのが特徴です。60問の質問に答えると、「アカデミックキャリア」「ビジネスキャリア」「ライフキャリア」の3つのカテゴリで診断結果が表示され、他の利用者とのスコア比較も可能です。
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エニアグラム
エニアグラムは、心理学に基づいた性格診断の一種で、人間の性格を9つの基本的なタイプに分類します。比較的少ない質問で手軽に取り組める無料の診断が多く、自己分析を初めて行う人でも直感的に自分の性格傾向を理解しやすいのが特徴です。
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キャリアタイプ診断
キャリアタイプ診断は、大手転職エージェントdodaが提供する自己分析ツールです。120問の質問に約10分で答えることで、自身の強みや能力だけでなく、自分に合った働き方や企業風土まで診断してくれます。自分では気づいていないキャリアの可能性を知り、入社後のミスマッチを防ぎたい人におすすめです。
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キャリタスクエスト
キャリタスクエストは、RPGゲームのような世界観で楽しみながら自己分析ができるユニークなツールです。王様からの質問に答えていくだけで、診断結果が「甘口カレー魔導士」といった独自のキャラクターで表示されます。約5分で完了し、登録不要で気軽に試せるため、自己分析に苦手意識がある人でもゲーム感覚で取り組めます。
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就活伸びしろ診断
就活伸びしろ診断は、dodaキャンパスが提供する自己分析ツールで、18問の二者択一形式の質問に1〜5分で答えられます。診断結果では「特徴」や「伸びしろ(弱み)」、「あなたを表すキーワード」などが示され、弱みを克服するためのアドバイスも得られます。登録不要で利用できるため、気軽に自己分析を始めてみたい人に最適です。
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ストレングスファインダー
ストレングスファインダーは、米ギャラップ社が提供する世界的に有名な自己分析ツールで、個人の「強み」の発見に特化しています。177の質問に答えることで、34の資質の中から自分の才能を最も特徴づける上位5つの資質を明らかにします。弱みの改善よりも強みを活かすことに重点を置いており、自己PRやキャリア形成に役立てたい人におすすめです。利用は有料ですが、その分詳細な分析結果が得られます。
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適性診断MATCHplus
適性診断MATCHplusは、マイナビが提供する自己分析ツールで、世界40ヶ国で利用されている診断テストを基に日本の学生向けに開発されました。300万人以上の利用実績があり、行動傾向や興味・関心を多角的に測定し、109の職種の中から向いている仕事を示してくれます。
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適職診断NAVI
適職診断NAVIは、35問の質問に約5分で答えるだけで、自身の性格、キャリア志向性、適職を診断できる手軽な自己分析ツールです。診断結果と合わせて「職業図鑑」が掲載されており、自分にマッチする仕事を具体的に探せます。「まずは気軽に自己分析を試してみたい」と考える人に最適です。
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トーテム診断
トーテム診断は、86問の質問から26万通り以上のパターンで自分のタイプを分析する、精度の高い自己分析ツールです。回答を進めるごとに自分の「トーテム」が装備を追加していくゲーム感覚の楽しさが特徴で、AIが自己PRや志望動機まで生成してくれるため、効率的に就職活動を進めたい人におすすめです。
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ミイダス
ミイダスは、転職アプリとして知られていますが、専門家が監修した本格的な自己分析ツールも提供しています。「コンピテンシー診断」では、202問の質問から、マネジメント資質やストレスを感じやすい環境、相性の良い上司のタイプまで具体的に分析します。自分の強みだけでなく、どのような職場環境が自分に合っているのかまで深く知りたい人におすすめです。
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リクナビ診断
リクナビ診断は、リクルートが提供する自己分析ツールで、実際の採用選考で使われる適性検査の内容を基に開発されています。約100問の質問に5分程度で答えることで、向いている仕事のタイプや個人の特徴を診断します。診断結果は「あなたの傾向」「よくある日常のシーン」「仕事探しのアドバイス」に分けて表示され、働く場面を具体的にイメージしながら自己理解を深められます。
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ワンキャリア適職診断
ワンキャリア適職診断は、わずか18問の設問に約2分で回答するだけで、手軽に自己分析ができるツールです。診断結果は9つのタイプに分かりやすく分類され、「あなたの性格」や「あなたに合った仕事内容」といった具体的なアドバイスが提供されます。短時間で自身の強みや適性を把握し、キャリア選択の参考にしたい人に最適です。
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ツール以外の自己分析方法
自己分析ツールは手軽に客観的な視点を得られる便利な手段ですが、より深く自己理解を進めるためには、他の方法と組み合わせることが効果的です。ツールで得た結果と、自らの経験や他者からの視点を照らし合わせることで、多角的で立体的な自己分析が可能になります。
以下に、代表的な自己分析の方法をいくつかご紹介します。
- 就活エージェントに相談する:キャリア相談のプロに強みや価値観を引き出してもらう。
- 自分史を作成する:過去の経験を時系列でまとめ、価値観を深く理解する。
- モチベーショングラフを作成する:感情の浮き沈みを可視化し、やりがいを感じるポイントを把握する。
- マインドマップを作成する:思考を放射線状に広げ、新たな自分の一面を発見する。
- 「なぜ?」を繰り返して深掘りする:行動の根本的な理由を掘り下げ、本質的な価値観を見つける。
- Will・Can・Mustで考える:「やりたいこと」「できること」「やるべきこと」の重なりから最適な仕事を見つける。
- 強み・弱みを書き出す:具体的なエピソードと共に整理し、自己PRの材料にする。
- 他己分析を行う:他者からの客観的な視点を取り入れ、自己評価とのギャップを認識する。
- ジョハリの窓を活用する:4つの領域で自己を分析し、新たな強みや可能性を発見する。
- 企業分析/比較シートを作成する:自己分析と企業研究を結びつけ、自分軸を明確にする。
これらの方法をツールと併用することで、より納得感のある自己分析を進めることができるでしょう。
▼自己分析のやり方について、詳細は以下の記事に記載しております。
自己分析を深める11のやり方目的・注意点・活用方法まで完全ガイド
自己分析ツール結果の活用方法
元人事の成田さんは、「診断結果という『客観的な事実』と、あなた自身の『具体的な経験』が結びついたとき、自己PRは圧倒的な説得力を持ちます」と断言します。せっかく得た診断結果を宝の持ち腐れにしないために、企業の人事に響く自己PRや志望動機へ応用する実践的な方法を学びましょう。
強み・弱みと関連エピソードの整理
自己分析ツールの結果を最大限に活用するには、診断で明らかになった強みや弱みを、自身の過去の経験と結びつけて整理することが不可欠です。例えば「計画性がある」という強みが出た場合、それを裏付ける具体的なエピソード(文化祭の企画で詳細なスケジュールを作成し、成功に導いた経験など)を言語化します。この作業を通じて、単なる診断結果が、面接で語れる説得力のある自己PRの材料に変わります。
▼強み・弱みの書き方は、こちらの記事に詳細が書かれています。
好印象を与えるエントリーシート・面接の長所・短所とは!?
就職活動の軸の明確化
自己分析ツールの結果は、自分自身の価値観や「就職活動の軸」を明確にする上で非常に役立ちます。診断によって明らかになった自身の特性や興味の方向性を基に、「自分が本当に求めていること」を言語化しましょう。これが企業選びの判断基準となり、エントリーシートや面接で志望動機を語る際の一貫した土台となります。軸が明確であれば、数多くの企業のなかから自分に合った企業を効率的に見つけることが可能です。
自己PR・志望動機への応用
自己分析ツールで得られた結果は、自己PRや志望動機を作成する際の強力な武器になります。ツールによって客観的に示された「強み」は、具体的なエピソードを添えることで、説得力のある自己PRの核となります。同様に、自身の価値観や「パフォーマンスが上がる環境」を理解することで、なぜその企業でなければならないのかという志望動機を、自分自身の言葉で論理的に説明できるようになります。
自己分析ツール利用時の注意点
「複数のツールで結果が違って混乱する」「診断された『弱み』を見て落ち込んでしまった」。en-courageの就活相談では、そんな声も寄せられます。
しかし、ツールに振り回されすぎると「ツールの言葉をそのまま話しているだけで、本人の考えが見えないな」というマイナス評価に繋がりかねないと、成田さんは語ります。ここではツールと上手に付き合い、自己分析を深めるための注意点をお伝えします。
診断結果を鵜呑みにし、自己分析の幅を狭めない
自己分析ツールの診断結果は、客観的なデータに基づく参考情報にすぎません。これを絶対的なものとして鵜呑みにすると、「自分はこういう人間だ」という思い込みにつながり、かえって自身の可能性を狭めてしまうおそれがあります。
診断結果は、自分を客観視するための「きっかけ」と捉え、自身の経験や価値観と照らし合わせながら、「なぜこの結果が出たのか」を自問自答するプロセスこそが自己分析を深めます。最終的なキャリアの判断をツールに委ねるのではなく、自分自身で行う意識を持つことが重要です。
一つのツールの結果だけで判断しない
自己分析ツールは提供元によって診断の切り口や重点項目が異なるため、一つの結果だけを信じると偏った自己理解に陥る可能性があります。複数の異なるツールを利用し、結果を比較検討してみましょう。
複数の診断で共通して指摘される項目は、ご自身の核となる特性である可能性が高いと考えられます。逆に結果が異なった場合は、その違いが生じる理由を考えることが、自分を多角的に捉える良い機会となるでしょう。
理想の自分を演じて回答しない
診断時に「良い結果を出したい」という気持ちから、無意識に理想の自分を演じて回答してしまうことがあります。それでは、本来の自分とはかけ離れた、就職活動において有益ではない結果しか得られません。
質問には正直に、そして深く考え込まず直感で答えることが、本質的な自己像を反映させるコツです。ツールは選考ではないため、自分を取り繕う必要は全くありません。ありのままの自分を入力することで、初めて有益な結果が得られると認識しましょう。
診断された「弱み」に一喜一憂しない
ツールによっては、自身の「弱み」や「課題」が指摘されることもあります。その結果をネガティブに捉えすぎて自信を失っては、自己分析本来の目的から外れてしまいます。診断された「弱み」は、自分を成長させるための貴重な「伸びしろ」と捉えることが大切です。
自身の弱点を客観的に把握することは、克服に向けた対策を立てる第一歩となります。また、弱みは視点を変えれば長所になることも少なくありません。例えば、「慎重すぎる」は「リスク管理能力が高い」、「頑固」は「意志が強い」のように言い換えられます。弱みと冷静に向き合う姿勢が、自己成長につながります。
自己分析ツールに関するよくある質問
就活のサポーターとしてよく聞かれる質問や、en-courage利用者へのインタビューで出てきた疑問への回答をご紹介します。
Q1. 自己分析ツールの結果は信用できますか?
自己分析ツールの信頼性は、ツールによって異なります。一般的に、設問数が多く、利用者数が多いツールは、豊富なデータベースに基づいているため診断結果の精度が高い傾向にあります。手軽な診断は自己分析の入り口として、より正確な分析を求める場合は実績のある詳細なツールを選ぶなど、目的に応じて使い分けましょう。もし結果の解釈に迷ったり、より客観的な意見が欲しかったりする場合は、就活エージェントなどのプロに相談し、第三者の視点を取り入れるのも有効です。
Q2. 複数のツールで診断結果が違う場合、どう解釈すればいいですか?
複数のツールで異なる結果が出た場合は、まず、それぞれの結果に共通している部分を探してみてください。その共通点が、あなたの核となる個性である可能性が高いです。また、各診断結果について、それを裏付けるような過去の具体的なエピソードがあるかを考えてみましょう。
もし心当たりがなければ、その結果は参考程度に留めておくのが賢明です。友人や家族に結果を見せて意見を求める「他己分析」も解釈の助けになりますが、一人で解釈するのが難しい場合は、就活エージェントに相談してみるのも一つの手です。
Q3. 自己分析はいつまでに終えるべきですか?
自己分析に「いつまでに終えるべき」という明確な期限はありません。自己分析は一度行ったら終わりではなく、就職活動を通して深まっていくものです。
企業説明会への参加や面接を経験する中で、新たな気づきがあったり、考え方が変化したりすることは自然なことです。その都度、自己分析の結果を見直し、考えを整理していくことで、より自分に合った企業選びが可能になり、アピール内容にも深みが増します。定期的に就活エージェントと面談し、思考を整理するのもおすすめです。
Q4. 診断結果で出た「弱み」をどう捉えればいいですか?
診断結果で示された「弱み」は、ネガティブに捉えるのではなく、自分を成長させるための貴重なヒントと捉えましょう。自分の弱点を客観的に知ることで、それを克服するための具体的な対策を立てられます。また、弱みは見方を変えれば長所になることもあります。例えば「慎重すぎる」は「リスク管理能力が高い」と言い換えられます。
弱みと向き合い、どう改善していくかを考える姿勢は、就職活動においてもポジティブな印象を与えるでしょう。どう言い換えれば良いか分からない場合は、就活エージェントに相談すると良いアドバイスがもらえます。
Q5. ツールだけでの自己分析に限界を感じます。他に良い方法はありますか?
自己分析ツールは手軽な一方、それだけでは深い自己理解に至らない場合もあります。ツールでの分析に限界を感じたら、他の方法と組み合わせるのが効果的です。
例えば、過去の経験を書き出す「自分史」や、友人などに自分の長所や短所を聞く「他己分析」は、ツールでは得られない具体的なエピソードや客観的な視点を与えてくれます。これらの自己分析手法とツールの結果を照らし合わせることで、より立体的で深い自己理解に繋がるでしょう。また、就活エージェントに相談すれば、客観的な視点からあなたに合った自己分析の方法を提案してくれます。
成田 駿
元日系大手人事/就活サポーター
日系大手事業会社で最年少部長に就任し、新卒採用に5年以上従事。戦略設計からイベント企画、選考フロー、研修まで新卒採用の入口から出口までを幅広く担当し、延べ3,000名以上の学生と接点を持つ。人事業務以外でも累計2,000名以上の就活生を個別に支援し、大手・外資・メガベンチャーなど多様な企業への内定実績を誇る。
協力:NPO法人en-courage
en-courage(エンカレッジ)は、就活生のキャリア形成を支援する日本最大級のNPO法人です。全国約120大学に支部を展開し、約2,000名のメンターが在籍しています。メンターは就活を終えたばかりの一つ上の先輩で、週次の面談を通じて担当する就活生のキャリア支援を行っています。 常に最新かつリアルな就活情報を収集できるため、学生の視点に立った信頼性の高いキャリア情報や実践的な就職活動ノウハウを発信できます。