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【軸100選&回答例文30選付き】「企業選びの軸」の見つけ方と面接で受かる答え方

企業選びの軸の見つけ方と面接・ESでの答え方を元日系大手人事が解説。価値観・業界・職種別の軸の例100選や、ESや面接での回答例文30選、避けるべき注意点なども具体的にお伝えします。この記事を読めば、企業選びの軸が見つからない、答え方がわからないという方の疑問が解消されます。

「企業選びの軸って、結局何をどう決めればいいの?」
「面接で聞かれたときにうまく答えられるか不安」
こうした声は、en-courage利用者からよく聞かれます。

元日系大手人事で、3,000名以上の学生と接点を持ってきた成田さんは「企業選びの軸は、自己分析と企業研究を通じて自分の価値観を言語化したもの。面接では、その軸がなぜ生まれたのかという原体験と、企業の特徴との接点を伝えることが重要」と語ります。

この記事では、成田さん監修のもと、企業選びの軸の見つけ方から面接・ESでの答え方、価値観・業界・職種別の軸の例100選や、ESや面接での回答例文30選、避けるべき注意点まで徹底解説します。

企業選びの軸とは

企業選びの軸=あなたの「譲れない条件」を言語化したもの

スライドタイトル「企業選びの軸とは」。中央の枠内に「企業選びの軸=譲れない条件を言語化したもの」と大きく書かれている。下部には成田さんという人物の吹き出しがあり、「自分に合った企業を効率的に見つけやすくなり、就職活動がスムーズに進むメリットがあります」と説明されている。

企業選びの軸とは、就職活動において企業を選ぶ際に定める「希望条件」や「判断基準」を指します。数ある企業から応募先を選ぶ際の、自分なりの基準とも言えるでしょう。具体的には、自身の価値観や将来のキャリアプランに基づき、「何を重視するか」「どのような環境で働きたいか」といった譲れない条件を明確に言語化したものです。

例えば、「なんとなく良い」「絶対に嫌だ」と感じる理由を深掘りし、言葉にしたものが企業選びの軸です。この軸が明確であれば、自分に合った企業を効率的に見つけやすくなり、就職活動がスムーズに進むメリットがあります。

就活の軸との違い

「企業選びの軸」と「就活の軸」は似ていますが、厳密には視点が異なります。

  • 就活の軸:就職活動全体における「あなたの価値観や判断基準」のことで、キャリア観や働き方全般に関する考え方を含む
  • 企業選びの軸:「どの企業を選ぶか」という具体的な選択場面における判断基準

面接やESでは「企業選びの軸」として聞かれることが多いですが、どちらで聞かれても、あなたの価値観をベースに一貫した回答をすることが重要です。

▼就活の軸について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
”就活が有利になる”就活の軸とは?見つける5STEPと厳選120例

【目的別】この記事の読み進め方

(1)ゼロから「企業選びの軸」を作りたい

「企業選びの軸」を何から手をつければよいか分からない方は、次の「(1)企業選びの軸の作り方・見つけ方」セクションから順にお読みください。軸を見つけるためのステップや具体的な例を詳しく解説します。

(2)ESや面接での「企業選びの軸」の答え方を知りたい

すでに自分なりの軸は持っているものの、エントリーシート(ES)や面接でどう伝えれば評価されるのかを知りたい方は、「(2)受かる企業選びの軸の答え方」セクションに進んでください。具体的な回答の構成や例文を紹介します。

(1)企業選びの軸の作り方・見つけ方

元人事の成田さんは「企業選びの軸を作ることで、就活の効率が上がり、面接での説得力も増す」と語ります。ここでは、成田さんが考える軸を作るべき理由から、具体的な見つけ方まで解説します。

企業選びの軸を作るべき5つの理由

スライドタイトル「企業選びの軸を作るべき5つの理由」。以下の5つの項目が緑色の帯で箇条書きされている。 理由1:無駄なエントリーを減らし、効率的に就活できる 理由2:就活における意思決定を迷わずに行うことができる 理由3:入社後の早期離職のリスクを回避できる 理由4:一貫性のある志望動機で面接官を納得させられる 理由5:「企業選びの軸」自体が面接・ESでよく聞かれる

成田さんは「企業選びの軸があると就活の羅針盤になる」と語ります。具体的にどのようなメリットがあるのか見ていきましょう。

理由①:無駄なエントリーを減らし、効率的に就活できる

軸を明確にすると、応募すべき企業や業界をスムーズに絞り込めます。「どんな仕事をしたいのか」「どんな環境で働きたいのか」といった基準があれば、手当たり次第にエントリーして疲弊することを避けられ、本当に必要な選考準備に集中できます。

理由②:就活における意思決定を迷わずに行うことができる

軸は就活における「羅針盤」のような役割を果たします。周囲の内定状況を見て焦ったり、膨大な企業情報の中で迷ったりしても、明確な判断基準があれば冷静に意思決定ができます。複数の内定を得て悩んだ場合でも、軸が判断基準として役立ちます。

理由③:入社後の早期離職のリスクを回避できる

軸を定めないまま、「大手企業だから安心」といった外面的な理由で入社すると、「想定していた社風と違った」などのギャップが生まれやすくなります。就活の段階で自分が譲れない条件を軸として定め、それに合った企業を選ぶことで、入社後も納得して長く働き続けられるでしょう。

理由④:一貫性のある志望動機で面接官を納得させられる

軸が明確だと、志望動機に一貫性が生まれ、説得力が格段に増します。面接官が知りたい「なぜ他社ではなく、うちの会社なのか」に迷うことなく答えられます。軸と具体的なエピソード(原体験)を結びつけることで、単なる企業の受け売りではない、あなた自身の言葉として熱意を伝えられます。

理由⑤:「企業選びの軸」自体が面接・ESでよく聞かれる

「企業選びの軸」という質問自体がESや面接で頻繁に問われます。企業側はこの質問を通し、学生の価値観が自社とマッチしているか、志望度が高く長く働いてくれる人材かを見極めようとしています。選考本番で答えに困らないよう、事前に軸を具体的なエピソードと共に言語化しておくことが不可欠です。

企業選びの軸を作る3つの切り口will・can・mustフレームワーク

3つの円が重なり合ったベン図のイラスト。「やりたいこと(WILL)」「できること(CAN)」「やるべきこと(MUST)」の3つの要素が示されている。3つの円すべてが重なる中心部分を矢印で指し示し、「自分の能力を活かし高い意欲と満足感を得ながら働ける理想的な仕事」と説明している。

成田さんが推奨する、Will・Can・Mustの3つのフレームワークで軸を整理する方法をご紹介します。

will:やりたいこと軸情熱を仕事にする

「Will(やりたいこと)」は、未来に視点を当て、「将来どうなりたいか」「何を成し遂げたいか」という自分の理想や情熱を基準に企業を選ぶアプローチです。例えば、「AI技術をビジネスに実装する提案に挑戦したい」、「データエンジニアリングの専門性を高めて特定の課題解決に貢献したい」といった、能動的な目標が軸となります。自分のやりたいことを仕事にできれば、高いモチベーションを持って働けます。

can:得意なこと軸強みを最大限活かす

「Can(できること)」は、過去の経験を振り返り、自分が成果を出してきたことや、得意とすること、強みを発揮できた状況を分析する軸の作り方です。例えば、「リーダーシップを発揮した経験」から「チームで取り組む仕事」を選んだり、「逆境で周囲を巻き込んだ経験」から「成果を出すまで挑戦する姿勢」を自身の強みとして軸に据えたりします。自分の強みを活かせる企業を選ぶことで、選考でもアピールしやすく、入社後も活躍してやりがいを感じられます。

must:譲れない条件軸ミスマッチを防ぐ

「Must(譲れない条件)」は、自分の「価値観」に基づき、働く上で「これだけは絶対に譲れない」という条件を軸にするアプローチです。例えば、「英語力を活かせる環境であること」「地元で働けること」「育児と両立しやすい環境があること」などがこれにあたります。Mustを明確にすることで、企業とのミスマッチを防げます。

企業選びの軸を見つける4ステップ

スライドタイトル「企業の軸を見つける4ステップ」。以下の手順が1から4の番号順に記載されている。 1. 自己分析で価値観の「言語化」をする 2. 業界・職種研究で「選択肢の幅」を広げる 3. OB訪問・インターン・説明会で「企業のリアル」を知る 4. 軸をリスト化し「Must・Want・Better」で優先順位づけ

ここでは、成田さんが考える企業選びの軸をゼロから見つけるための、具体的な4つのステップを紹介します。

STEP1:自己分析で価値観の「言語化」をする

最初におこなうべきは「自己分析」です。過去の経験を振り返り、自分がどんな時にやりがいを感じたかを考えましょう。

<自己分析のポイント>

  • 部活やサークル、アルバイトなどを選んだ際の「選択の基準」を思い出す
  • なぜその活動を始めたのかという動機や背景、きっかけとなった「原体験」を深掘り

自己分析の手法には、自分史の作成、モチベーショングラフ、マインドマップなどがあります。

▼自己分析について、目的や手法などを詳しく知りたい方は以下の記事もご参照ください。
自己分析を深める11のやり方目的・注意点・活用方法まで完全ガイド

STEP2:業界・職種研究で「選択肢の幅」を広げる

自己分析で価値観が見えてきたら、業界研究や職種研究を通じ、「世の中にどのような仕事があるか」を知り、選択肢の幅を広げます。

<業界研究のメリット>

  • 様々な業界のビジネスモデルや働き方の違いを比較・分析できる
  • 当初は興味がなかった業界が意外と自分にマッチすると気づくこともある
  • 逆に「やりたくない仕事」を明確にすることでも軸は絞られる

自分が知っている企業や業界はごく一部です。幅広く調べることで、新たな可能性が見えてきます。

STEP3:OB訪問・インターン・説明会で「企業のリアル」を知る

自己分析と業界研究で得た仮説を検証するために、実際に行動に移します。Webサイトや書籍の情報と、実際に働く人の「リアル」な情報は往々にして異なります。

<企業のリアルを知る方法>

  • インターンシップ:業務を実際に経験し、想像との違いや新たな魅力を発見
  • OB・OG訪問:社員の「生の声」を聞き、企業のリアルな雰囲気や社風を知る
  • 会社説明会・座談会:説明会では得られない企業の内面に触れる

これらの経験は、自分が業務をおこなう上で何を重視するのかを再確認し、自己理解をさらに深めることにもつながります。

STEP4:軸をリスト化し「Must・Want・Better」で優先順位づけ

ここまでのステップで得られた情報を整理し、自分が企業に求める軸をリストアップします。

<優先順位づけの方法>

  • Must(絶対に譲れない条件):これがなければ、その企業で働く意味がない条件
  • Want(できれば欲しい条件):あると嬉しいが、なくても許容できる条件
  • Better(あればなお良い条件):優先順位は低いが、あるとプラスになる条件

すべての軸を100%満たす完璧な企業を求めるのは現実的ではありません。優先順位を明確にしておくことで、複数の内定先から最終的な一社を決定する際の判断基準としても役立ちます。

企業選びの軸を作る際に必ず押さえるべき3つのポイント

スライドタイトル「軸を作る際に必ず押さえるべき3つのポイント」。以下の3つのポイントが緑色の四角枠に記載されている。 ①本音ベースで考える ②エピソードと紐づける ③自分らしい言葉で表現する 下部の吹き出しでは成田さんが「軸は自分の本音から作ることが最重要。受け売りにならないように、原体験を深掘りして、あなたならではの軸を見つけましょう」とアドバイスしている。

成田さんは「軸は自分の本音から作ることが最重要」と強調します。押さえるべき3つのポイントを確認しましょう。

ポイント①:自分の本音ベースで考える

企業選びの軸で最も重要なのは、「自分の本音の価値観」をベースに据えることです。親や周囲が認めるかといった「他人軸」でキャリアを選択したり、企業の価値観に迎合した軸を述べたりしても、入社後にミスマッチが起こり、苦痛を感じる原因となります。最終的に働くのはあなた自身です。まずは自分の本音と向き合いましょう。

ポイント②:過去のエピソードと紐づける

企業選びの軸に説得力を持たせるためには、必ず「なぜその軸を持つに至ったのか」を裏付ける具体的なエピソードと紐づける必要があります。「過去にこういう経験をしたから、私はこれを大事にしたい」という、きっかけとなる「原体験」をセットで伝えることが不可欠です。自分自身の経験に基づいて軸を語ることで、単なる受け売りではない「あなただけの軸」として面接官に伝わります。

ポイント③:自分らしい言葉で表現する

企業選びの軸は、ありきたりな表現では面接官の印象に残りません。独自のエピソードを使い、「自分らしい言葉」で表現することが重要です。例えば、「人の役に立ちたい」という軸なら、「学生時代のボランティア経験から、高齢者の支援にやりがいを感じている」というように、具体的な経験を交えて表現しましょう。

企業選びの軸の例100選

en-courage利用者へのインタビューでは「軸が思いつかない」という声をよく聞きます。ここでは、参考となる軸の例を価値観・業界・職種別に100個ご紹介します。

企業選びの軸が思いつかない時のために、参考となる軸の例を「価値観別」「業界別」「職種別」に分けて紹介します。これらはあくまで一例です。自分自身の経験と結びつけられる、しっくりくる軸を見つけるためのヒントとして活用してください。

【価値観別】企業選びの軸30選

スライドタイトル「企業選びの軸の例100選」。中央に大きく「【価値観別】企業選びの軸30選」と書かれている。 下部の吹き出しのテキスト:「自己成長、やりがい、社風、社会貢献、企業理念への共感など、様々な切り口があります。」

まずは、多くの就活生が設定する「価値観」に基づいた企業選びの軸の例を紹介します。自己成長、やりがい、社風、社会貢献、企業理念への共感など、様々な切り口があります。

<ワークライフバランス重視型(3つ)>

  • 仕事とプライベートのメリハリをつけ、どちらも充実させられる環境で働きたい。
  • 心身の余裕を保ち、自分も周囲の人も大切にしながら長期的に働けることを重視する。
  • 将来のライフイベント(結婚や育児など)を見据え、柔軟な働き方をサポートする制度が整っている企業を選ぶ。

<成長・スキルアップ重視型(3つ)>

  • 若手のうちから裁量権を持ち、挑戦と失敗を繰り返しながら専門性を高められる環境で成長したい。
  • 多様なステークホルダーと協働する困難な課題に取り組むことを通じて、自己を成長させ続けたい。
  • 第一線で活躍するプロフェッショナルの下で、実務を通じてスキルを磨き、社会に大きなインパクトを与えられる人材になりたい。

<仕事のやりがい重視型(3つ)>

  • 顧客の潜在的なニーズや課題を探り出し、その解決策を提案することにやりがいを感じる。
  • 人の想いや夢に深く寄り添い、交渉や調整を通じてその実現をサポートし、未来を共創する仕事がしたい。
  • メンバーやチームの力を最大限に引き出すマネジメントを通じて、一人では達成できない大きな成果を出すことにやりがいを求める。

<企業文化・社風重視型(3つ)>

  • 年齢や役職に関係なく、若手のうちから裁量権を持って挑戦できるオープンな社風の企業で働きたい。
  • 多様なバックグラウンドを持つ仲間と協力し、互いの意見を尊重しながら「共創」を重視する文化が根付いていること。
  • 社員一人ひとりの自律的な行動と、チーム全体の連携による高い価値創造を重んじる企業文化に身を置きたい。

<企業の安定性・規模重視型(3つ)>

  • 強固な顧客基盤やグループ全体の総合力を背景に、信頼性の高い仕事がしたい。
  • 業界内での確固たる地位や、他社にはない独自の体制・アセット(基盤)を持っている企業を選ぶ。
  • 国内外に広がる大規模なネットワークや基盤を活用し、スケールの大きな仕事に携わりたい。

<成果・報酬重視型(3つ)>

  • 年齢や経験に関わらず、成果が正当に評価され、報酬やポジションに反映される成果主義の環境を重視する。
  • 自分の努力やこだわりが、数字や企業の意思決定といった目に見える「結果」として実感できる仕事がしたい。
  • 自らの市場価値を高めるため、プロセスだけでなく成果にこだわり、適切な評価を受けられる環境で働きたい。

<ビジョン・理念共感型(3つ)>

  • 企業の掲げる理念やビジョン(例:「交流を通じた心豊かな社会の創造」)に深く共感できること。
  • 事業活動の根底にある独自の哲学(例:「信用を重んじ、浮利を追わず」)が、自分の価値観と一致していること。
  • その企業が目指す未来像や社会に対する考え方(例:「ウッドサイクルの理念」)が、自身の成し遂げたいことと重なること。

<社会貢献・意義重視型(3つ)>

  • 自分の専門性やスキルを活かし、GX(グリーントランスフォーメーション)や脱炭素社会の実現に貢献したい。
  • テクノロジーや先端技術の社会実装を推進し、医療、物流、金融など幅広い産業の社会課題解決に携わること。
  • 地域振興やスマートシティ構想など、社会の持続的な価値創造や変革に直接貢献できる仕事がしたい。

<キャリアパス明確性重視型(3つ)>

  • 3年後、5年後、10年後に目指す姿(例:プロジェクトリーダー、スペシャリスト)が明確であり、その実現に向けたキャリアパスが描けること。
  • 特定の専門性を深める(縦軸)と同時に、他分野の知見(横軸)も広げられる「T字型人材」として成長できるキャリアを歩みたい。
  • 将来的にはグローバルなチームのリーダーや、案件を執行できる専門家として、社会課題の解決に挑戦できるキャリアを築きたい。

<グローバル環境重視型(3つ)>

  • 留学や国際交流の経験から、日本の価値や技術を海外に広める業務にやりがいを感じるため、グローバルに事業展開していること。
  • 世界中に広がるグローバルネットワークや拠点を活かし、多様な国や業界をまたぐ包括的な課題解決に挑戦したい。
  • 将来的に海外駐在やグローバルプロジェクトに携わり、多様な価値観を持つ人々と協働できる環境であること。

【業界別】企業選びの軸44選

スライドタイトル「企業選びの軸の例100選」。中央に大きく「【業界別】企業選びの軸44選」と書かれている。 下部の吹き出しのテキスト:「業界特有のビジネスモデルや役割に着目することで、より具体的な軸を設定できます。」

次に、特定の業界を志望する場合に役立つ企業選びの軸の例を紹介します。業界特有のビジネスモデルや役割に着目することで、より具体的な軸を設定できます。

<メーカー(6つ)>

  • 日本の「ものづくり」を通じて、社会インフラや基幹産業を支え、世界に変化をもたらす仕事がしたい。
  • 「生活者の声」を徹底的に重視し、人々の暮らしに寄り添うオンリーワンの商品開発に携わりたい。
  • 自身が研究してきた専門分野(例:化学、バイオ)の知見を活かし、技術の力で環境問題や健康課題の解決に貢献したい。
  • 最先端の技術(例:IoT, MaaS)を活用し、従来の製品(例:自動車)の枠を超えた新しいユーザー体験やサービスを企画したい。
  • 社会インフラを支えるという使命感のもと、常に技術革新に挑み続ける企業で、産業課題の解決に貢献したい。
  • 原材料の調達から製造、販売まで一貫して携わり、ものづくりの川上から川下までを支える役割を担いたい。

<商社(4つ)>

  • トレーディング(既存の商流)だけでなく、事業投資(新たな価値創造)の両面からビジネスの成長に携わりたい。
  • エネルギー、インフラ、食料など、社会基盤を支え、国家規模の大きな課題解決に挑戦したい。
  • 何もないところに新たな仕組みや事業を創り出し、現地の人々を巻き込みながら、地域や社会の課題を解決したい。
  • 「人」が最大の資本である環境で、困難な状況でも関係者を巻き込み、熱意と試行錯誤でプロジェクトを推進したい。

<金融(5つ)>

  • 金融のプロフェッショナルとして、高度な専門性や分析力を武器に、企業の経営課題を特定し解決に導きたい。
  • 企業の資金調達やM&Aといった戦略策定を金融面から支援し、日本企業の競争力強化やサステナブルな社会の実現に貢献したい。
  • データ分析や数理モデルといった自身の専門性を活かし、高度な資産運用(アセットマネジメント)の可能性を探求したい。
  • 自然災害や事故といった予測不可能なリスクに備え、「安心」を提供することで人々の生活や企業の挑戦を支えたい。
  • 銀行・証券・信託といったグループの垣根を超えた総合力を活かし、顧客の多様なニーズに応えたい。

<コンサル(4つ)>

  • 戦略立案(What)だけでなく、実行支援(How)まで一貫して顧客に寄り添い、社会課題の解決を実現したい。
  • 技術(テクノロジー)とビジネス(経営)の両方を深く理解し、企業の経営課題に対して実行可能性の高い解決策を提示したい。
  • M&A戦略やPMI(統合プロセス)の支援を通じて、企業のイノベーションや成長戦略を加速させる仕事がしたい。
  • 顧客の真のニーズや課題を発見し、IT活用やCX(顧客体験)向上など、最適なソリューションを提案する力を磨きたい。

<不動産(4つ)>

  • 建物を建てる(ハード)だけでなく、その後の運営やサービス(ソフト)まで含め、街の未来をハード・ソフト両面から創りたい。
  • 目先の利益(浮利)を追うのではなく、長期的な視点に立った計画と収益性を両立させ、「長く愛される街づくり」に携わりたい。
  • 地域住民や社会を巻き込み、多様な関係者の価値観を調整しながら、その土地の真のニーズに応える革新的な再開発を実現したい。
  • 人々の生活に寄り添い、その街で暮らす人々の記憶に残るような、より良いまちづくりに貢献したい。

<IT(5つ)>

  • 技術者(開発)と顧客(ビジネス)の間に立つ「橋渡し役」として、最適な技術を選定し、ビジネス課題を解決したい。
  • IT(デジタル)とOT(制御技術)やプロダクトを融合させ、社会インフラが抱える複雑な課題解決に挑みたい。
  • 企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援し、技術と事業運営の両面から最適な変革を実現したい。
  • ITの力で情報や課題を「可視化」し、地域活性化や新たな人の流れを生み出す「仕組みづくり」に貢献したい。
  • 高齢者など「デジタル弱者」にも優しいAIの社会実装や、医療現場のニーズに即したシステム開発に携わりたい。

<サービス(7つ)>

  • 「一顧客一担当制」など、一人ひとりのお客様と真剣に向き合い、その人の人生に影響を与えるような介在価値を提供したい。
  • 顧客の期待を超える「体験価値」の創出と、事業としての「収益性」を両立させる企画提案に挑戦したい。
  • 人と地域、人と人をつなぐ「交流」を生み出し、新たな価値や感動を社会に提供したい。
  • 映画やテーマパークなど、人々に喜びや感動、新たな価値観を提供できる「非日常の空間」を創り出す仕事がしたい。
  • 現場の最前線で働く「人財(キャスト)」の育成に携わり、彼らの成長を通じて顧客満足度を高めていきたい。
  • 地域社会に貢献し、そこで暮らす人々の生活をより豊かにする手助けができる仕事がしたい。
  • 「相手のために期待以上の何かをして喜んでもらうこと」にやりがいを感じるため、ホスピタリティを追求できる環境で働きたい。

<小売(5つ)>

  • SPA(製造小売)のように、企画から製造、販売まで一貫しておこない、顧客ニーズをダイレクトに商品開発へ反映できること。
  • 店舗という「生活者との物理的な接点」を持ち、お客様の反応や変化を直接見ながら仕事がしたい。
  • 人々の日常に「楽しさ」や「遊び心」といった付加価値を提供し、生活を豊かにする商品やサービスを届けたい。
  • お客様のニーズを店頭で的確に把握し、それを素早く商品やサービス改善に活かせるスピード感のある環境であること。
  • 「お客様は大切な友だち」のように、顧客に寄り添い、潜在的なニーズを汲み取って最適な提案ができること。

<インフラ(4つ)>

  • 電力、ガス、鉄道など、人々の生活に必要不可欠な基盤を支え、社会貢献性の高い仕事がしたい。
  • 再生可能エネルギーや脱炭素商材など、エネルギーの安定供給と環境問題の解決を両立させる事業に携わりたい。
  • スマートシティや次世代エネルギーなど、既存のインフラ事業の枠を超え、次世代のまちづくりに挑戦していること。
  • 日本の持つ世界屈指のインフラ技術(例:鉄道)を海外に展開し、グローバルな社会基盤の発展に貢献したい。

<マスコミ(4つ)>

  • 社会的弱者や少数派の声なき声を拾い上げ、埋もれている問題を世間に発信することで社会課題の解決に貢献したい。
  • ドラマやコンテンツ制作を通じて、視聴者に社会問題や新たな価値観を問いかけ、考える「きっかけ」を提供したい。
  • 報道の最前線に立ち、当事者の感情や思いに寄り添いながら、公正な視点で事実を伝えたい。
  • テレビや新聞といった既存メディアの枠にとらわれず、デジタル(新メディア)を活用した新たな情報発信の方法を模索したい。

【職種別】企業選びの軸26選

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最後に、特定の職種を希望する場合の軸の例を紹介します。営業、企画、技術職、事務職など、職種ごとの具体的な業務内容に着目した軸です。

<営業職(7つ)>

  • 顧客の潜在ニーズや課題(What)を起点に、自社のアセットを組み合わせて最適なソリューションを提案するコンサルティング営業がしたい。
  • 単なるモノ売りではなく、顧客の生活背景や事業課題にまで踏み込み、「心を動かす提案」をおこないたい。
  • 海外市場において、自社製品の価値や日本文化の魅力を正しく伝え、グローバルに市場を開拓したい。
  • 社内の技術部門や他部署を巻き込む「旗振り役」として、大規模なプロジェクトを推進する営業に携わりたい。
  • 顧客のニーズを深く汲み取り、それを社内にフィードバックすることで、新たな商品開発やサービス改善につなげたい。
  • 地域の店舗や企業と伴走し、その課題を解決することで、地域経済の活性化に貢献したい。
  • 有形商材だけでなく、DX支援やソリューションといった無形商材も扱い、顧客の課題を多角的に解決したい。

<企画職(7つ)>

  • 徹底的な顧客理解(お客様理解)に基づき、上流のブランド戦略やマーケティング戦略の設計に携わりたい。
  • ゼロから新しいビジネスやイベントを企画し、人や地域をつなぐ新たな価値を生み出したい。
  • 消費者の潜在ニーズを読み取り、データ分析や仮説検証を繰り返して「選ばれる商品」の企画開発をおこないたい。
  • 自社の持つ幅広い技術やリソースを活かし、収益性やコストも意識した新規ビジネスプランの立案に挑戦したい。
  • AI、IoT、MaaSといった最先端技術を活用し、既存の枠組みにとらわれない新しいサービスやユーザー体験を企画したい。
  • 顧客の「体験価値」の向上と、事業としての「収益性」の確保を両立させる企画提案がしたい。
  • 原料調達から企画、製造、販売まで、バリューチェーン全体を見据えた商品企画に携わりたい。

<技術職・エンジニア(7つ)>

  • 技術者(エンジニア)と顧客(ビジネス)の間に立つ「橋渡し役」として、技術の社会実装を推進したい。
  • 自身の研究分野(例:AI、化学、材料)の専門性を活かし、前例のない研究開発(R&D)に挑戦したい。
  • 技術的な視点だけでなく、顧客ニーズや業務フロー、コストといったビジネス上の制約も理解した上でシステム設計がしたい。
  • 実験と失敗を粘り強く繰り返し、PDCAを回しながら最先端の技術を実用化につなげる研究開発に携わりたい。
  • 再生可能エネルギーや蓄電池技術など、脱炭素社会の実現に不可欠な技術の研究開発をしたい。
  • AIや自然言語処理の専門知識を活かし、AI技術の価値を最大化するビジネス実装やモデル構築に携わりたい。
  • 医療、製造、物流など、特定の産業(ドメイン)における課題を、技術の力で解決するソリューション開発がしたい。

<事務職(5つ)>

  • (人事・総務)社員が最高のパフォーマンスを発揮できるよう、多様な立場の人々と信頼関係を築き、働きやすい環境づくりで組織を支えたい。
  • (経理・財務)会計や税務の専門知識を活かし、支出管理や収入増加の提案を通じて、企業の経営基盤を数字の面から支えたい。
  • (生産管理・調達)モノづくりの根幹であるサプライチェーンに携わり、多角的な視点から安定した生産体制を支えたい。
  • (営業事務・アシスタント)第一線で活躍する営業担当やチームメンバーが本業に集中できるよう、先回りしたサポート業務をおこないたい。
  • (経営企画・財務)企業の金融支援や経営データ分析を通じて、経営層の意思決定をサポートし、事業の成長に貢献したい。

(2)受かる企業選びの軸の答え方

日系大手企業で人事を務めていた成田さんに、企業が企業選びの軸を聞く理由と、面接・ESで評価される答え方を教えてもらいました。

企業側が「企業選びの軸」を聞く3つの理由

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企業が面接やESでこの質問をするのには、明確な意図があります。企業側は、多大なコストと時間をかけて採用活動をおこなっているため、主に以下の3つの点を確認し、自社にマッチする人材かを見極めようとしています。

理由①:自社に合う人材か確かめるため

企業は、学生が持つ企業選びの軸(価値観や人柄)が、自社の企業理念や社風(カルチャー)と合致しているかを確認しています。どんなに優秀な学生でも、価値観が企業の方向性と合わなければ、入社後に活躍できず、早期離職につながるリスクがあるためです。例えば、Amazonが「リーダーシップ・プリンシプル」を重視するように、JFEスチールが「挑戦・柔軟・誠実」を行動規範とするように、企業にはそれぞれ大切にしている価値観があります。面接官は、あなたの軸がその価値観と重なるかどうかを見極め、ミスマッチを防ごうとしています。

理由②:志望度の高さや熱意を測るため

企業選びの軸は、その学生がどれだけ真剣に就職活動に向き合い、自社を研究しているかを測る指標にもなります。軸が明確であり、それがその企業の強みや特徴と具体的に結びついているほど、「とりあえず受けに来た」のではなく「明確な意思を持って選んでいる」と判断され、入社意欲(志望度)が高いと評価されます。特に、その軸を持つに至った「原体験」が伴っていると、単なる表面的な関心ではない本気度が伝わりやすくなります。

理由③:長く働いてくれる人材かを見極めるため

企業は多大な時間とコストを採用・育成にかけているため、入社した人材にはできるだけ長く活躍してほしいと願っています。短期間での退職は、企業にとって大きな損失となるからです。学生の企業選びの軸が明確で、それが自社で実現できる内容であれば、企業は「この学生は入社後も目標を持って働き、多少の困難があっても乗り越えて長く活躍してくれるだろう」と期待します。企業選びの軸は、入社後の定着率を見極めるための重要な判断材料なのです。

企業選びの軸を面接・ESで答える時の構成

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企業選びの軸をESや面接で効果的に伝えるためには、決まった「型」(構成)に沿って話すのが最も分かりやすいです。ここでは成田さんが考える、論理的で説得力のある回答にするための4つの構成要素をご紹介します。

結論:企業選びの軸を明確に述べる

まず冒頭で、あなたの企業選びの軸を端的に述べます。「私の企業選びの軸は〇〇です」と結論から始めることで、面接官に明確な印象を与えられます。

理由:その軸を持つに至った背景・エピソード

次に、なぜその軸を持つに至ったのか、具体的なエピソードで説明します。過去の経験や原体験を交えることで、説得力が増します。

企業マッチ:軸とその企業の接点を示す

あなたの軸と、その企業の特徴や強みがどう合致するのかを説明します。「だから貴社を志望しています」という志望動機につなげます。

貢献イメージ:入社後の具体的な活躍像

最後に、入社後にどう貢献したいか、具体的な活躍イメージを伝えます。これにより、企業側は「この学生が入社後に活躍する姿」をイメージしやすくなります。

企業選びの軸を面接・ESで答える時の4つのポイント

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元人事の成田さんが実際に面接やESで評価していた点をもとに、評価を高めるために押さえておくべき4つの重要なポイントをご紹介します。

ポイント①:結論から端的に伝える

面接でもESでも、必ず「結論ファースト」で話し始めてください。「私の企業選びの軸は〇〇です」と最初に端的に述べることで、聞き手は話の全体像を把握でき、その後のエピソードも理解しやすくなります。ESでは、冒頭の一文で読み手の印象が左右されます。成果や姿勢を含めたキャッチーな見出しを立てる(例:「【県大会4位】チーム強化を主導」)など、結論が瞬時に伝わる工夫をしましょう。

ポイント②:具体的なエピソードで裏付ける

軸そのもの(例:「成長したい」)だけでは、具体性に欠け、説得力がありません。なぜその軸を持つようになったのか、必ずあなた自身の「原体験」や具体的なエピソードをセットで伝えましょう。面接官が知りたいのは、軸という言葉そのものではなく、あなたが「どのような経験」をし、「何を感じた」結果、その価値観を持つに至ったのかという背景です。過去の経験と軸が強く結びついているほど、その軸の信頼性が高まります。

ポイント③:その企業でないと実現できない理由を示す

軸が抽象的だと「他社でもいいのでは?」と思われてしまいます。その企業の「固有の強み」や「独自の事業」と自分の軸を結びつけ、「なぜあなたの会社でなければならないのか」を明確に説明しましょう。企業研究を徹底的におこない、その企業ならではの魅力を見つけることが重要です。

ポイント④:他の質問との一貫性を保つ

企業選びの軸、自己PR、ガクチカ、志望動機は、すべて同じ「あなた」という人物の価値観から派生しているはずです。全てのエピソードと主張に一貫性を持たせましょう。

▼落ちないESのポイントを詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
落ちないエントリーシートの書き方企業が見ているポイントと対策まとめ

企業選びの軸の回答例文30選

ここからは成田さん監修のもと、価値観別・業界別・職種別に分けた実践的な回答例文をご紹介します。自分の経験や志望企業に合わせて活用してください。

【価値観別】回答例文10パターン

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まずは、自己成長、やりがい、社風、社会貢献など、個人の「価値観」に基づいた回答例文のパターンを紹介します。

<ワークライフバランス重視の回答例>

私の企業選びの軸は、心身ともに健康で、長期的に高いパフォーマンスを発揮し続けられる環境であることです。私は大学時代、サークル活動に打ち込むあまり体調を崩し、周囲に迷惑をかけた経験があります。この時から、継続的に成果を出すためには心身の余裕やコンディション管理が不可欠だと痛感しました。貴社は、社員が長期的に安心して働けるよう、柔軟な働き方や福利厚生の制度を整えている点に魅力を感じています。私も、自己管理を徹底して常に高いパフォーマンスを発揮し、長く貴社に貢献したいと考えています。

<成長・スキルアップ重視の回答例>

私の企業選びの軸は、若手のうちから裁量権を持って挑戦できる環境で、専門性を磨き続けられることです。私はIT企業の長期インターンで、経営者の方からM&Aによる事業シナジーの重要性を学びました。しかし、自身の知識不足で踏み込んだ提案ができず、悔しい思いをしました。この経験から、挑戦と失敗を繰り返しながらも、第一線で通用するスキルをいち早く身につけたいと強く考えるようになりました。貴社は、若手であっても挑戦を歓迎し、専門性を高める環境が整っていると伺っています。私もその環境で自身の能力を最大限に高め、一日も早く社会に大きなインパクトを与えられる人材として貴社に貢献したいです。

<やりがい重視の回答例>

私の企業選びの軸は、「人の想いに寄り添い、その未来を共創する仕事」に携われることです。私は学園祭の運営サークルで副代表を務め、メンバーが熱望していたアーティストライブの企画を実現するために大学側と粘り強く交渉した経験があります。困難はありましたが、最終的に5000人規模のライブを実現でき、メンバーの夢を形にできたことに大きなやりがいを感じました。貴行の個人営業(WM)は、金融の枠を超えてお客様の人生設計そのものをサポートできる業務だと伺っています。私も、学生時代に培った「人の想いを形にする力」を活かし、お客様の夢と挑戦を支えることで貴行に貢献したいです。

<社風・文化重視の回答例>

私の企業選びの軸は、「多様なバックグラウンドを持つ仲間と連携し、チームで協力しながら挑戦できる」社風であることです。私は塾のアルバイトで、生徒のニーズに応えるデータベースを作成した際、一人では限界がありましたが、他の講師と協力し、それぞれの得意分野を活かしたことで、より良いものを作ることができました。この経験から、個人の力だけでなく、チームの連携を重視する環境で働きたいと考えるようになりました。貴社は、社員同士の「共創」や「人の連携」を非常に重視する文化があると説明会で伺い、強く共感しました。私も、多様な仲間と協力してチームの力を最大化し、貴社のプロジェクト成功に貢献したいです。

<安定性重視の回答例>

私の企業選びの軸は、強固な経営基盤と社会的な信頼を背景に、お客様と長期的な関係性を築ける企業であることです。私はアルバイト先の駐輪場で管理システムを構築した際、一時業務停止命令が下るという事態を経験しました。この時、利用者の方々の不安な顔を目の当たりにし、事業の継続性や社会的な信頼がいかに重要かを痛感しました。貴社は、みずほフィナンシャルグループという大規模な顧客基盤と「信頼」を背景に、IT機能の中核を担っています。私も、この揺るぎない基盤の上で、お客様に安心して利用していただけるシステムを提供し続け、社会インフラとしての貴社の役割に貢献したいです。

<成果・報酬重視の回答例>

私の企業選びの軸は、年齢や社歴に関わらず、出した成果が正当に評価される実力主義の環境であることです。私は体育会ゴルフ部の活動で、スコアという「数字で結果の出る世界」にやりがいを感じてきました。練習の成果がスコアとして明確に表れるため、常に高いモチベーションで自己研鑽を続けることができました。貴社は、成果に対して正当な評価がなされる風土があると伺っており、その環境が私の負けず嫌いな性格と合致すると感じています。私も、成果にこだわり、企業の重要な意思決定に貢献することで、自身の価値を証明し、貴社の発展に寄与したいです。

<ビジョン共感型の回答例>

私の企業選びの軸は、貴社の「ウッドサイクルの理念」に深く共感していることです。私は大学時代、登山部での活動を通じて、森林が持つ水の浄化や生物多様性の維持といった偉大な力に日々触れてきました。この経験から、環境問題に関心を持ち、持続可能な社会の実現に貢献したいという思いが強くなりました。貴社は、「木」を中心に据えた事業を通じて、資源の循環型社会の推進に貢献されています。私も、貴社の理念に共感する一員として、環境貢献と企業成長を両立させるという貴社の事業に携わりたいです。

<社会貢献重視の回答例>

私の企業選びの軸は、自身の専門性を活かし、「サステナブルな社会の実現」に貢献することです。私は大学でサステナビリティ経営を学ぶ中で、多くの日本企業がESG対応の遅れという課題に直面していることを知りました。同時に、企業の構造変革やビジネスの実装こそが、脱炭素社会を実現する鍵であると痛感しました。貴社は、ESG関連のM&Aや資金調達に積極的に取り組み、金融面から企業のGX戦略をリードされています。私も貴社の一員として、金融スキームの提案を通じて「サステナブルな社会」と「日本企業の競争力強化」の両立に貢献したいと考えています。

<キャリアパス重視の回答例>

私の企業選びの軸は、自身のキャリアビジョンである「データエンジニアリングの専門家として、教育現場のDX化に貢献する」ことが実現できる環境であるかです。私は大学院で機械学習を研究しており、その技術的な面白さと同時に、この技術をいかに社会課題、特に教育格差の問題に応用できるかを模索してきました。貴社は、ミッションとして「出会いからイノベーションを生み出す」ことを掲げ、教育分野のDXにも注力されています。私も貴社の研究員として、データエンジニアリングの専門性を高めながら、教育現場の課題解決に貢献するというキャリアビジョンを実現したいと考えています。

<グローバル環境重視の回答例>

私の企業選びの軸は、留学経験から培った異文化理解力と主体性を活かし、「日本の価値をグローバルに広める業務」に挑戦できることです。カナダ留学中、よさこい交流団体に所属し、当初は日本人だけだった活動をSNS配信などの工夫で多国籍なチームへと拡大させた経験があります。この時、日本の文化が海外の人々に受け入れられる瞬間に立ち会い、大きなやりがいを感じました。貴社は、世界150か国以上にまたがるグローバルネットワークを持ち、日本の優れた技術を積極的に海外展開されています。私も、貴社のグローバルな環境で、日本の価値を世界に広める一翼を担いたいと考えています。

【業界別】回答例文10パターン

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続いて、志望する業界が決まっている方向けに、業界ごとの特徴を踏まえた回答例文のパターンを紹介します。

<メーカー志望者の回答例>

私の企業選びの軸は、「生活者の声を徹底的に重視した、オンリーワンの商品開発」に携われることです。私は大学でナトリウムイオン電池の研究を通じ、仮説検証の面白さを実感すると同時に、自分の研究がどうすれば「暮らしへの貢献」につながるかを常に考えてきました。貴社は、独自のメーカーベンダーシステムを持ち、「生活者の声」を起点にしたスピーディーな商品開発を強みとされています。私も、研究で培った仮説検証力を活かし、貴社の生活者目線の商品開発に主体的に挑戦し、人々の暮らしを豊かにする貢献がしたいです。

<商社志望者の回答例>

私の企業選びの軸は、自身の熱意で人を動かし、ゼロから事業を創り出すことで社会課題の解決に貢献することです。私は趣味の養蜂を活かし、アフリカの貧困問題解決に挑戦しました。現地の木材加工屋に何度も断られながらも、活動の意義を現地の言葉で伝え、養蜂箱の制作にこぎつけました。この経験から、熱意で人を巻き込み、人々の幸せを生み出すことに大きな達成感を学びました。貴社は、トレーディングだけでなく、若手のうちから挑戦し、新たな事業投資を通じて価値を創造する風土があると伺っています。私も、アフリカでの経験で培った「困難な状況でも熱意で人を動かす力」を活かし、貴社のビジネスに貢献したいです。

<金融志望者の回答例>

私の企業選びの軸は、企業の経営課題を特定し、金融という視点からその成長を支える役割を担うことです。私は実家が珈琲豆の卸売業を経営しており、幼い頃から経営の難しさや、それを支える銀行の役割の大きさを身近で見てきました。この経験から、大学では経済学を専攻し、法人RM(リレーションシップマネージャー)の業務に関心を持つようになりました。貴行は、グループの総合力を活かした多様なソリューションを強みとされています。私も、実家の経営を見てきた当事者意識と大学での学びを活かし、顧客に寄り添いながら最適な解決策を提案し、企業の成長に貢献したいです。

<コンサル志望者の回答例>

私の企業選びの軸は、テクノロジーとビジネスの両方を深く理解し、企業の経営課題解決に「伴走型」で携わることです。私は大学院でAIによる物体検出技術を研究しています。研究を進める中で、優れた技術も、現場の業務プロセスやビジネス課題と切り離されては社会実装が進まないことを痛感しました。貴社のビジネスコンサルタント職は、戦略立案という上流工程だけでなく、その後の業務改革や実行支援までを一貫して顧客と共に歩むアプローチを強みとしています。私も、自身の技術的知見と「現場に寄り添う」という姿勢を活かし、貴社の伴走型コンサルタントとして社会課題の解決に貢献したいです。

<不動産志望者の回答例>

私の企業選びの軸は、建物を建てるという「ハード」面だけでなく、その後の運営という「ソフト」面も含め、人々の生活に寄り添う「長期的なまちづくり」に携わることです。私は地域創生サークルの活動を通じ、イベント開催といった短期的な盛り上がりだけでなく、その地域が持続的に成長するためには、長期的な計画と収益性の確保が不可欠であることを実感しました。貴社は、目先の利益にとらわれず、「長く愛される街づくり」を理念として実践されています。私も、ハード・ソフト両面から街の未来を創る貴社の一員として、地域に根差した持続可能な価値創造に貢献したいです。

<IT志望者の回答例>

私の企業選びの軸は、技術者(開発)と顧客(ビジネス)の「橋渡し役」として、AI技術の価値を最大化するビジネス実装に携わることです。私は大学院で自然言語処理(LLM)の研究をしています。その中で、優れたモデルを構築するには、技術力だけでなく、顧客の業務フローやリソースといった「ビジネス上の制約」の理解が不可欠だと痛感しました。貴社は、長年にわたる日本語処理研究の実績と、SIerとして技術と事業運営の両面を見据えるノウハウをお持ちです。私も、研究で培った専門知識を活かし、技術とビジネスを繋ぐSEとして、貴社のプロジェクトに貢献したいと考えています。

<サービス業志望者の回答例>

私の企業選びの軸は、「顧客の体験価値の向上」と「事業の収益性」を両立させ、人と地域をつなぐ新たな価値を生み出すことです。私はサークル活動で、大学と地域をつなぐ交流イベントをゼロから企画しました。その際、参加者の満足度を追求するだけでなく、主催側として活動を継続させるための収益確保にも注力し、両立の難しさと重要性を学びました。貴社は、「交流を通じて心豊かな社会を創造する」という理念のもと、まさに体験価値と収益性の両立を多彩な事業で体現されています。私も、企画で培った両立の視点を活かし、貴社の企画提案に挑戦したいです。

<小売志望者の回答例>

私の企業選びの軸は、「店舗」という生活者との物理的な接点を持ち、お客様の変化やニーズを直接見ながら仕事ができることです。私は接客のアルバイトで、お客様の表情やコミュニケーションから得られる情報をもとに、接客方法を工夫してきました。その結果、お客様から笑顔や感謝の言葉をいただけることが、私にとっての大きなやりがいでした。貴社は、企画から製造、小売まで一貫して手掛け、店舗で得たお客様のニーズを素早く商品開発に活かす体制が強みだと存じます。私も、顧客の変化をダイレクトに感じられる店舗運営に携わり、お客様の日常を豊かにする貢献がしたいです。

<インフラ志望者の回答例>

私の企業選びの軸は、人々の生活基盤を支えるという使命感と、次世代のまちづくりへの挑戦を両立していることです。私は大学で都市情報学を専攻し、インフラが人々の生活にとっていかに重要であるかを学んできました。同時に、従来のインフラ維持だけでなく、脱炭素化やスマートシティといった未来への変革が急務であると実感しています。貴社は、電力の安定供給という基盤を守りながらも、スマートシティやエネルギーシェアリングなど、次世代のまちづくりに積極的に挑戦されています。私も、大学で学んだ知識を活かし、地域社会に貢献する新たなエネルギー活用のアイデアの提案を通じて、貴社の挑戦に貢献したいです。

<マスコミ志望者の回答例>

私の企業選びの軸は、社会的に声が届きにくい人々に着目し、埋もれている問題を発信することで社会課題の解決に貢献することです。私は大学のゼミで、あいりん地区の住民の方々と交流を深めてきました。そこで、世間一般のイメージとは異なる実情や、人情味あふれる姿に触れ、当事者の感情や思いを最前線から伝えたいと強く思うようになりました。貴社は、社会的弱者に寄り添う報道姿勢を貫き、「点字毎日」の発刊など、声なき声に光を当てる取り組みを続けています。私も、当事者の感情に寄り添う記者として、公正な視点で社会の課題を発信し、貴社の報道姿勢に貢献したいです。

【職種別】回答例文10パターン

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最後に、営業職、企画職、技術職、事務職など、希望する「職種」の業務内容に基づいた回答例文のパターンを紹介します。

<営業職志望者の回答例(新規営業)>

私の企業選びの軸は、地域の店舗(お客様)と深く関わり、その課題解決を通じて共に価値を創り出していくことです。私はコロナ禍で、人と人との繋がりの重要性を痛感しました。同時にお酒というものが、国や年齢を超えて楽しみを共有できる特別な価値があると強く感じました。貴社の業務用営業職は、地域の店舗に寄り添い、単に商品を売るだけでなく、SCMやデータ分析を駆使して店舗ごとの課題を解決する提案をされています。私も、地域の店舗と共に商品価値を最大限に引き出し、魅力的な場を増やすことで貴社に貢献したいです。

<営業職志望者の回答例(ソリューション営業)>

私の企業選びの軸は、技術の専門性を理解した営業職として、多様な関係者と連携しながら顧客の課題を解決することです。私はパソコン教室のアルバイトで、多くの高齢者がデジタル技術に取り残されている現実を目の当たりにしました。この経験から、今後AI活用が進む金融や行政分野において、利用者視点を持った技術提案が不可欠だと考えています。貴社は、IT・OT・プロダクトの三位一体で社会課題に挑む強みがあります。私も、技術を理解できる営業職として、デジタル弱者にも優しい社会イノベーションを実現し、貴社のビジネスに貢献したいです。

<企画職志望者の回答例(新規事業)>

私の企業選びの軸は、ゼロからイチを生み出す新規事業立案に挑戦できることです。私はポルトガル語学習の一環で、ブラジル料理店でアルバイトを始めました。店の集客課題を解決するため、自らマーケティングを学び、市場調査とターゲティング戦略を立案・実行しました。試行錯誤の末、SNS訴求で新規顧客を獲得できた経験から、ゼロから戦略を立てて実行することに大きなやりがいを感じました。貴社のインターンシップは、「CREATE NEW BUSINESS」をテーマに、まさにゼロからイチを生み出す体験を重視されていると伺いました。私も、行動力と分析力を活かし、貴社の「ワイガヤ」文化の中で新しい価値を生み出す挑戦をしたいです。

<企画職志望者の回答例(マーケティング)>

私の企業選びの軸は、「徹底的なお客様理解」に基づき、人々の習慣や文化にまで影響を与えるような、上流のマーケティング戦略に携わることです。私は香水メーカーの長期インターンでSEO記事のライティングを担当しました。当初は成果が出ませんでしたが、情報を届ける相手を本気でイメージして記事を書き直した結果、検索1位を獲得できました。この経験から、ユーザーを深く理解するマーケティング業務に強い関心を抱きました。貴社のブランドマーケティングは、「お客様のことを徹底的に考え抜く」姿勢にこだわり、ブランドイメージの上流戦略から磨き込まれている点に魅力を感じています。私も、インターンで培った顧客視点を活かし、貴社のマーケティング戦略の真髄を学び、貢献したいです。

<技術職志望者の回答例(研究開発)>

私の企業選びの軸は、まだ解明されていない未知の課題に対し、粘り強く仮説検証を繰り返しながら、最終的に人々の心を動かす価値創出につなげる研究開発ができることです。私は大学で、腎臓病予防効果が示唆されている新分子の「未解明な仕組み」について研究しています。当初は評価手法が確立されておらず困難でしたが、教授や先輩と議論を重ね、自ら仮説を立てて手法を設計し、粘り強く検証を繰り返してきました。貴社は、技術の進化そのものではなく、技術を通じて「世界を感動で満たす」という理念に共感しています。私も、研究で培った仮説構築力と粘り強さを活かし、貴社の研究開発職として、人々の心を動かす新たな価値創出に貢献したいです。

<技術職志望者の回答例(インフラエンジニア)>

私の企業選びの軸は、ITの力で人々の生活に不可欠な社会インフラの基盤を支え、その安定稼働に貢献することです。私は大学で都市情報学を専攻し、スマートシティなど次世代のインフラがいかにITシステムによって支えられているかを学びました。目立つことはなくても、社会基盤を根底から支えるインフラエンジニアの仕事に強い使命感と魅力を感じています。貴社は、ITだけでなくOT(制御技術)やプロダクトも含めた三位一体で社会イノベーションに挑んでおり、社会インフラのDXをリードされています。私も、大学で学んだ知識を活かし、ミッションクリティカルなシステムの安定稼働を支えるインフラエンジニアとして、貴社の事業に貢献したいです。

<技術職志望者の回答例(Webエンジニア)>

私の企業選びの軸は、Web技術を用いて顧客やユーザーの具体的な課題を解決し、その業務効率化や体験向上に直接貢献することです。私はプログラミングスクールの講師リーダーとして、講師の業務非効率という課題を解決するため、Reactを用いてタスク管理Webアプリを開発・実装しました。結果として業務時間が短縮され、「生徒との雑談時間」が生まれるなど、現場から感謝されたことに大きなやりがいを感じました。貴社は、「出会いからイノベーションを生み出す」というミッションのもと、Web技術を駆S使して企業の働き方を変えるサービスを提供されています。私も、自身のWebアプリ開発経験と、顧客の業務フローまで理解しようとする姿勢を活かし、貴社のサービス開発に貢献したいです。

<事務職志望者の回答例(総務)>

私の企業選びの軸は、組織の「縁の下の力持ち」として、社員一人ひとりが最高のパフォーマンスを発揮できるような働きやすい環境づくりで貢献することです。私は体育会サッカー部でマネージャーを務め、選手70名の活動を支えてきました。練習環境の整備や備品管理、他大学との調整など、選手が練習に集中できる環境を整えることにやりがいを感じてきました。貴社の総務職は、まさに組織全体の土台を支え、社員の働きやすさを追求する重要な役割だと認識しています。私も、マネージャー経験で培った「多様な立場の人と信頼関係を築き、協働を促す力」を活かし、貴社の組織運営を円滑にし、全社のパフォーマンス向上に貢献したいです。

<事務職志望者の回答例(人事)>

私の企業選びの軸は、「人の成長」に深く関わり、組織に所属する全員が「大切にされている」と感じられるような風土づくりに貢献することです。私はクラシックギター部の部長として、退部者が相次ぐという課題に対し、「風通し」改革を実行しました。匿名アンケートを導入して部員の声を聞き、練習メニューやイベントに反映させた結果、退部者ゼロを達成できました。貴社の人事職は、採用、育成、制度設計を通じて、まさに社員と組織の成長を支える仕事だと理解しています。私も、部長経験で培った「部員の声を聞く調整力」を活かし、社員一人ひとりに寄り添い、そのポテンシャルを最大限に引き出すことで貴社の組織発展に貢献したいです。

<事務職志望者の回答例(経理)>

私の企業選びの軸は、会計の専門性を活かし、数字の面から企業の経営基盤を支え、その成長に貢献することです。私はアイスホッケー部で会計を務め、練習場の値上げによる60万円の支出増という課題に直面しました。私はOBからの寄付金を増やす目標を立て、ただお願いするだけでなく、「大学寄付制度を活用した税控除のメリット」という新たな提案をおこなうことで、目標を超える80万円の収入増を達成しました。この経験から、数字を管理するだけでなく、知識を活かして経営課題を解決することにやりがいを感じました。貴社の経理職においても、単なる処理業務にとどまらず、会計のプロとして数字に基づいた改善提案をおこない、貴社の安定経営に貢献したいと考えています。

企業選びの軸で避けるべき7つの注意点と改善策

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成田さんが実際に不合格にした学生に共通していた、企業選びの軸でやりがちな失敗パターンと、その改善策をご紹介します。

注意点①:「好き・興味がある」という表面的な理由で終わらせない

「御社の商品が好きだから」という理由は、それだけでは「顧客でいてくれれば良い」と判断されます。面接官が知りたいのは「なぜ好きなのか」という深掘りした部分です。改善策としては、「好き」を深掘りし、「なぜ?」を繰り返すことです。例えば「オシャレなデザインが好き」→「なぜ?」→「気分が上がるから」→「軸:オシャレなもので消費者の生活に彩りを与えたい」というように、自身の価値観や社会への貢献に結びつけて言語化しましょう。

注意点②:「福利厚生が良い」という本音を露骨に出さない

「給与が高い」「残業が少ない」といった待遇面をそのまま伝えると、「仕事への意欲が低い」とネガティブな印象を与えます。改善策としては、ポジティブな表現に変換することです。「福利厚生が充実している」は「社員が安心して長く働ける環境が整っている」、「残業が少ない」は「メリハリをつけて効率的に働き、高いパフォーマンスを発揮したい」と言い換えましょう。

注意点③:「知名度がある」という理由だけに頼らない

「大手企業だから」という理由は、企業の外面しか見ていないと判断されます。改善策としては、なぜ知名度のある企業に惹かれるのかを深掘りしましょう。もし「安定性」を求めているならそれを軸にし、もし「大きな仕事」がしたいなら、「知名度」ではなく「貴社の〇〇という大規模プロジェクトに携わりたい」というように、その企業独自の事業内容と結びつけて伝えましょう。

注意点④:「周囲が認める」という他人軸で考えない

「親や友人から評判が良いから」という理由は、あなた自身の意思が感じられない「他人軸」での選択と見なされます。改善策としては、なぜ周囲がその企業を認めているのかを自分なりに分析し、自分の価値観と一致する部分を見つけましょう。相談はしても良いですが、最後の決断は必ず「自分の内から出てくる価値観」に基づいておこなうことが大切です。

注意点⑤:抽象的すぎて多くの企業に当てはまる軸にしない

「社会に貢献したい」「成長したい」といった軸は、あまりにも抽象的すぎて、ほとんどの企業に当てはまってしまいます。改善策としては、軸を具体的にしましょう。①対象を絞る(例:「高齢者の生活を豊かにしたい」)、②企業固有の特徴と結びつける(「貴社の〇〇という独自の技術があるからこそ、私の目指す社会貢献が実現できる」)といった方法があります。

注意点⑥:企業ごとに軸をコロコロ変えすぎない

就活の軸は、あなたの価値観の根幹であるため、選考を受ける企業ごとにコロコロと変えすぎるのは一貫性がなく、信頼を失う原因となります。改善策としては、あなたの「核となる軸」(例:社会課題を解決したい)は変えず、その軸を「どう実現するか」という側面で企業ごとに微調整しましょう。例えば、A社では「IT技術で」、B社では「金融の力で」というように、核はブラさずに、企業の特性に合わせた切り口で伝えるのが理想です。

注意点⑦:他の質問(自己PR・志望動機・ガクチカ)と矛盾させない

面接での全ての回答は、一本の線でつながっている必要があります。企業選びの軸で「チームワークを重視する」と語っているのに、ガクチカで「一人で黙々と達成した」エピソードばかり話していると、回答に矛盾が生じます。改善策としては、全てのエピソードと主張に一貫性を持たせましょう。例えば、「吹奏楽部で観客を感動させた経験(ガクチカ)」→「人に感動を与えることがやりがい(自己PR・軸)」→「感動を提供する貴社のサービス(志望動機)」というように統一します。

企業選びの軸に関するよくある質問

就活のサポーターとしてよく聞かれる質問や、en-courage利用者へのインタビューで出てきた疑問への回答をご紹介します。

どうしても企業選びの軸が思いつかない場合は?

「どうしても軸が思いつかない」と悩む場合、「面接で評価されなければ」と相手視点になりすぎている可能性があります。一度、自分本位な本音からスタートし、「なぜそう思うか?」を深掘りしてみましょう。また、軸はあなた自身の「原体験」からしか生まれません。過去の経験をもう一度振り返り、自己分析を深めてください。それでも言語化が難しい場合は、家族や友人、就活エージェントなど第三者に相談するのも有効です。

企業選びの軸は1つに絞るべき?何個あるといい?

企業選びの軸は、必ずしも1つに絞る必要はありません。ただし、軸が多すぎると応募企業を絞り込めなくなるため、2〜3個程度を目安にするのがおすすめです。複数の軸がある場合は、それらに「Must(絶対)」「Want(できれば)」といった優先順位をつけることが重要です。一人で悩んでいても答えが出ない場合は、就活のプロである就活エージェントに相談することをおすすめします。

企業選びの軸が幅広い業界や企業に当てはまる場合は?

「人々の生活を豊かにしたい」や「社会貢献したい」といった軸は、抽象度が高く、ほとんどの企業に当てはまってしまいます。対策としては、①複数の軸を掛け合わせる(例:「社会貢献」×「グローバル」)、または②「誰に」価値を提供したいかを明確にする(例:「高齢者の生活を豊かにしたい」)といった方法があります。困った際は就活エージェントに相談し、客観的な視点から、あなたの経験や価値観を整理してもらっても良いかもしれません。

企業選びの軸は企業によって変えるべき?

あなたの価値観の根幹である「就活の軸」は、企業ごとにコロコロと変えるべきではありません。軸がブレていると、回答全体の一貫性が失われます。ただし、あなたの軸が複数ある場合、どの軸を一番に強調するかは、企業の特性や求める人物像に合わせて微調整するべきです。例えば、A社では「挑戦」の軸を、B社では「社会貢献」の軸をメインに据える、といった具合です。就活エージェントなど就活のプロに相談するすると、企業ごとにどのくらい微調整すればいいかアドバイスをもらえます。

面接で企業選びの軸を深掘りされたらどう答える?

面接で軸を深掘りされた場合、それは「なぜ、あなたはその軸を大切にしているのですか?」という理由を問われています。ここで答えるべきは、あなた自身の「原体験」や「具体的なエピソード」です。例えば、「なぜものづくりに貢献したいのですか?」と聞かれたら、「幼少期に発明者の図鑑を読み、困難に挑む人類に尊敬を抱いたからです」といった、あなただけの具体的な背景・動機を説明します。
伝え方に悩む場合は、就活エージェントなどを頼りつつ模擬面接で練習すると良いでしょう。

企業選びの軸と実際の企業選びにギャップがある場合は?

まず、自分の軸に100%完璧にマッチする企業は存在しない、と理解することが重要です。軸に優先順位をつけ、「Must(絶対譲れない)」が満たされていれば、他の「Want」や「Better」は妥協点となるのが普通です。就活のプロである就職エージェントに相談すると、どこまで企業選びの軸にこだわり、どこで妥協すべきか客観的な視点でアドバイスをもらえます。


監修:成田 駿

元日系大手人事/就活サポーター

日系大手事業会社で最年少部長に就任し、新卒採用に5年以上従事。戦略設計からイベント企画、選考フロー、研修まで新卒採用の入口から出口までを幅広く担当し、延べ3,000名以上の学生と接点を持つ。人事業務以外でも累計2,000名以上の就活生を個別に支援し、大手・外資・メガベンチャーなど多様な企業への内定実績を誇る。

協力:NPO法人en-courage

全国約120の大学に支部を展開し、就活生を対象としたキャリア教育支援を行うNPO法人。独自にイベントやメディアを多数運営し、年間2,500件以上のセミナーを開催。企業と学生の間に年間約80万回の接点を創出するなど、国内最大級の規模で活動している。すべての就活生が本質的なキャリアを通じて人生を最大化できるよう、個別支援やコミュニティづくりを通じたサポートを目指している。